思いがあればできる。“ワクワク”にふたをしないで――好きを貫き起業したCyta.jp創業者(2/2 ページ)

» 2011年09月01日 21時30分 公開
[山本恵太,ITmedia]
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徹底した差別化

「おしえるまなべる」

 Cyta.jpは2009年にβ版としてオープンした。当時、ネットを使った講師と生徒のマッチングサービスはリクルートの「おしえるまなべる」など既にあったが、「講師の質」と「きめ細かな受講者サポートができるシステム作り」を徹底することで差別化を図った。

 質の高い講師を獲得する仕掛けは、採用方法にある。講師になりたいと思っても、Cyta.jp上では募集をしておらず、すぐ応募することはできない。「ユーザーは誰でも講師になれるサイトで講師を見つけたいと思わないし、簡単に登録できてしまうと責任感が生まれない」と有安氏は言う。講師はサイト外に求人を出して募集している。応募できても、次は面接試験が待っている。

 Cyta.jpでは講師のことを「先生」ではなく「(プライベート)コーチ」と呼んでいる。人材開発用語では「ティーチング」は知識やスキルを伝えることを指し、コーチングは対話を重視し、やる気を引き出すことを目的としている。どれだけ知識、技能を持っていたとしても、面接でコーチとして向いていないと判断されれば不合格。その倍率は約10倍にもなる。

 受講者サポートの面では、すべてのやり取りをシステムで管理し、例えばどの県のどの講師がどの授業で何分遅れたかという情報から、問い合わせに講師がきちんと返信しているかまで確認している。こうした差別化が奏功し、受講者数は8月に1万人を突破。2013年末までに10万人を目指す。

思いを伝えれば必要なものは集まる

 有安氏は大学在学中に起業を経験し、外資系大手企業に就職した後、再び起業して現在も事業の拡大を模索し続けている。起業して成功している人には特別な才能があり、誰でもまねできることではないと考えてしまいがちだが、有安氏は「やめなければ必ずいつかは成功する。(起業に限らず)ワクワクにふたをしてしまう人が多い。何かに夢中になる気持ちを解放したほうがいい」と語る。

 中学生のときにインターネットに出会い、大学でeラーニングを研究し、その延長線上に生まれたひらめきを5年かけて形にする。有安氏がここまで築いてきた成功は、好きを貫いてきた結果だ。

現在のオフィス風景

 「ヒト・モノ・カネ・技術はあとからついてくる。お金がないから、技術がないから起業できないなんてのは嘘だ」と話す通り、コーチ・ユナイテッドはゼロから築き上げたもの。ベンチャーキャピタルの資本を入れずに、自己資本で運営している。それも立ち上げの際に使ったのは100万円以下。技術についても、有安氏は簡単なプログラムコードを書くことこそできるが、大規模サイトを作ることはできない。

 ではどうやってヒト・モノ・カネ・技術を集めるのか。その質問には、一言で「思いを伝えること」だと教えてくれた。何かに夢中になる気持ちを伝えることで、協力してくれる人や、必要なモノは自然と集まってくる。コーチ・ユナイテッド社員の半数近くが母校であるSFCの卒業生である事実が、それを物語っている(もっとも、今後は外国人も含めより多様な人材を迎え入れたいと考えている)。

 すごいアイデアを思いついたとしても、いつまでも胸に秘めていては、何も起こらない。本を読んでアイデアを思いついたとき、「同じことを考えていた人は全世界にいくらでもいたと思う」と話す。それを形にできた人はどれくらいいるだろうか。思いついたアイデアをすぐ母親に話し、すぐ弟に協力してもらって実行に移す。成功するかどうかの差はそこにあるのかもしれない。

 有安氏の「ワクワク」はCyta.jpにとどまらない。今月には新たな事業展開に向けた視察で、台湾を訪れた。「インターネットには国境がないのに、国内やグローバルという選択肢を考えるのはナンセンス」と語る。

 「夢中になる人を増やす」というミッションを掲げるCyta.jp。その中で誰よりも何かに夢中なのは、有安氏かもしれない。

受講者数は8月に1万人を超えた
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