マイナス20度で寝られるか!? 日本一寒い北海道陸別町の人間耐寒テストに挑む極寒を味わい尽くせ!(2/2 ページ)

» 2012年02月13日 10時37分 公開
[鉢須祐子,ITmedia]
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 しばれ花火の後は、勇敢なチャレンジャーが全国から集結して開催される「人間耐寒テスト」が始まる。一晩、会場に設置されているバルーンマンションの中で過ごすというものだ。今年は過去最多のおよそ350人が参加した。正直なところ、わざわざ極寒の地で一夜を明かそうと思うなんて、筆者を含め物好きな参加者たちだ、などと考えていたのだが、実際に一晩寝てみると、リピーターが続出するくらいの人気がある理由が分かった気がする。

 1つのバルーンマンションにつき定員は3人ほど。大人の男性3人が横になると少し狭く感じるくらいの広さである。床には発泡スチロール製の薄いシートしか敷かれていない。これだけでは明らかに寒すぎるため、段ボールを敷き、上から銀色の断熱用シートを重ねて対応してみた。

 寝袋は必須。冬用のしっかりしたものをおすすめする。筆者は夏用の寝袋を2枚重ねにして使用したが、すぐに足先や腰、指先などが冷えて痛くなってしまった。この世界には、過度な防寒など存在しない。考えうるかぎりの対策を尽くすべきだ。準備段階から試されている、これが人間耐寒テスト。


画像 バルーンマンションの外観
画像 入口から撮影。到着したら、まず寝床対策を万全にしておこう
画像 住みます芸人のバルーンマンションも

 町に住み、毎年しばれフェスティバルを運営している人々に聞いてみると、「あんな冷え切ったところで熟睡できるはずがない、無理っしょ」とのこと。実際、耐寒テストの時間中、参加者は仲間同士でバーベキューしながら飲んでいたり、命の火で暖をとったりしていた。これが最高に楽しい。私もちゃっかりおじゃまして、北海道の鮭とばやホタテなどを炭火で焼いて食しながら、おいしいお酒を楽しんだ。外気の冷たさは、温かい食事と会話があれば案外カバーできてしまうものである。午前3時ごろに私はバルーンマンションに戻ったが、外ではまだ楽しそうな声が聞えていた。夜通し、火を絶やさず過ごす人もいるという。

 バルーンマンションで寝られたのは、トータルで2時間ほど。足先や背中にホッカイロを貼ってみたものの、かなわない。体の端々から痛みを伴う冷えが来る。寝袋を頭の方まですっぽりとかぶり、膝を曲げて身を縮め横向きの姿勢になり、なんとかウトウトできる程度であった。


画像 鮭とばを炭火であぶる。うまみがぐっと増す
画像 しばれを吹き飛ばすうまさ、北海道産ホタテで贅沢な夜を過ごす
画像 こぼしたビールは数十秒で凍ります。飲み口もしかり

 2日目。午前7時。ステージ前でラジオ体操をする。ここまでたどり着ければ人間耐寒テストもあとわずか。寒さでガチガチになった体を動かしたのち、認定証授与式へ向かう。ここで認定証を受け取り、耐寒テスト終了! 実はこの時、完全に足が冷え切ってしまい非常に痛く、気持ちの余裕は全くなし。でも、それ以上にやり終えた達成感があった。

 人間耐寒テスト参加者は、別会場で朝食と朝風呂が提供される。シャンプーや洗顔料、化粧水等は自分で持参しなければならないのだが、あらゆるアイテムがことごとく凍っており、使うのに一苦労。風呂桶で湯せんにかけないといけない状態になってしまった。これもまた、いい思い出だ。

画像 しばれくん・つららちゃんもラジオ体操に参加。着ぐるみ、暖かそうでうらやましい

 昼間の会場は昨夜と違い、元気いっぱいな雰囲気。乗馬体験やスノーモービル、スノーラリーやラフティングなどのコーナーも設置された。電機連合によるショーや大抽選会など、最後まで盛り上がるイベントが続いた。日が出ているうちは気温もそこまで下がらず、防寒対策をぬかりなくしていれば過ごしやすい。そりに子どもを乗せて歩く親子連れの姿も多かった。


画像 陸別小学校の生徒による展示ドーム
画像 しばれフェスティバルの歴史を写真で振り返ることができるミュージアム。壁面はもちろん手作り
画像 イベントの最後はもちまきで大盛り上がり

 イベント開催中の最低気温はマイナス20.7度。肌が痛いくらいの寒さを感じる時間帯もあったが、それ以上に温かい気持ちになれるフェスティバルであった。カラダひんやり、ココロあったか。この内外のギャップがやみつきになりそうである。また必ず参加したい。

画像

鉢須祐子 プロフィール

1982年生まれ。大学卒業後、証券会社・銀行で営業職を経験。FP資格を取得後、コンサルティングの力を磨くためにFP事務所で働く。その後、自分らしく生きるために2009年、独立。フリーランスのFP・ライターとして活動中。セミナー講師、雑誌・Webメディア掲載多数。専門分野は家計管理・ライフプラン。個人顧客の家計相談では、数字上の問題点を解決するだけではなく、人生設計におけるお金の不安を解消し、生きたい道を進めるようサポートすることに全力をかけている。ライター業では、人生設計に必要なお金の情報はもちろん、生き方に関する話題を幅広く執筆している。


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