新着記事一覧

新着記事一覧

ニュース
» 2014年11月17日 11時00分 UPDATE

近未来ここにあり――フィリップ・K・ディックがテーマの「PKD酒場」でSFの世界に浸ってきた

早川書房1階「カフェ クリスティ」で、SF界の巨匠フィリップ・K・ディックとコラボした「PKD酒場」が営業中。一体どんな体験ができるのか、担当者からは次回のコラボ企画の内容も聞くことができた。

[宮澤諒,eBook USER]

 ――『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』。

 物語の内容は知らなくても、この奇抜なタイトルを目にしたことのある人はきっと多いはずだ。

 作者の名は、フィリップ・K・ディック。彼は53年の生涯を閉じるまで、SFを中心に数多くの小説を世に送り出した。アイデンティティ、哲学、心理学、形而上学など、作品に用いられているテーマは多岐に渡り、文学界のみならず映画界や音楽界などにも多大な影響を及ぼしている。「ブレード・ランナー」(1982)や「トータル・リコール」(1990)、「マイノリティ・リポート」(2002)など、彼の作品を原作とした映画も多い。

 そんなディック作品とコラボレーションした「PKD酒場」なる店が、12月26日までの期間限定で早川書房1階の「カフェ クリスティ」でオープンしている。カフェクリスティはこれまでに、「BAR ロング・グッドバイ」「パブ シャーロック・ホームズ」といったコラボを実施しており、今回のPKD酒場はその第3弾だ。

これがPKD酒場だ

rmfigd1.jpg 入り口には、ブレード・ランナーでおなじみ「強力わかもと」の看板

rmfigd18.jpg SF評論家の高橋良平さん所蔵、ブレード・ランナーでエキストラが着ていたという衣装。かなりマニアック

rmfigd3.jpg 店内ではブレードランナー ファイナル・カットが流れていた(閉店近くなると貸切の映画館みたいになる)

 国内外のディック作品の表紙が壁一面に貼られていたり、映画の大判ポスターが飾ってあったりと、ほの暗い店内とあいまってブレード・ランナーの世界にいるかのよう。神田のビル街がもっと雑然としていたらよかったのに、とか思ってしまった。


rmfigd2.jpg 壁一面にディック作品の表紙が並ぶ

rmfigd5.jpg しっかりした紙に印刷すればそれだけで展覧会が開催できそう

rmfigd19.jpg もちろんディックの作品も販売している

rmfigd4.jpg 海外から取り寄せたというポスター。かなり大きい

rmfigd16.jpg ブレード・ランナーで警察官・ガフが折っているユニコーンに挑戦できる。折り方が描かれた紙をもらえたので挑戦してみたが、かなり難しい

rmfigd6.jpg 『ユービック』にちなんで、生クリーム入りのスプレー缶。「ユービック・コーヒー」を頼むとこれで生クリームが入れられる

名前がユニークなだけじゃない、料理の味はどれも本格的

 さっそく料理を頼むとしよう。メニューには、ディック作品をモチーフにした名前が並んでいる。「ヴァリス」や「時は乱れて」などタイトルがそのまま使われているものもあれば、「高い城の腸詰め」(『高い城の男』から)や「ノンアルにしてくれ、と警官は言った」(『流れよわが涙、と警官は言った』から)など、タイトルをもじったものもある。


rmfigd7.jpg 個人的に、ノンアルコールビールの「人間以前」がツボ(早川書房の編集者が考えたらしい)

 その中から今回は(リピーターになる気満々)、この5品を注文してみた。


rmfigd9.jpg トマトジュースの赤が火星にいたあのころを思い出させてくれそうな「トータル・リコール」(700円)

rmfigd8.jpg ハヤカワ文庫SFの背表紙のように青い「流れよわが涙、と警官は言った」(700円)

rmfigd12.jpg トータル・リコールの雑多な街並みによく似合う「青島(チンタオ)ビール」(600円)

rmfigd10.jpg グルーチョではないのでご安心を「アンドロイドはグリル羊の肉を食うか?」(900円)

rmfigd11.jpg 意外と量があって“2つで十分”な「PKD風焼きうどん」(700円)

 企画ものだからといってあなどるなかれ、料理はカフェ クリスティの地下1階にある「サロン クリスティ」のシェフが作った本格的なものばかり。焼きうどんと聞いて和風のものを想像していたが、ナポリタンのような洋風にアレンジされたものだった。

 焼きうどんは1つ頼むと2つでてくるのだが、これはブレード・ランナーの冒頭、主人公のリック・デッカード(ハリソン・フォード)が料理を注文するシーンが元ネタ。映画内では、丼の上に載っている魚のような2つの黒い物体を4つに増やしてくれというデッカードに対して、店の主人は「2つで十分ですよ」と返すのだが、もしかしたら店員さんもノリでセリフを返してくれるかもしれない。ちなみにこの丼料理は通称”デッカ丼”と呼ばれており、PKD酒場でもメニューに載せるべく開発中だという。

 さらに料理だけではなく、オリジナルのコースターや、フォークト=カンプフ・ペーパーテスト(アンドロイド――やブレード・ランナーに登場する人間とアンドロイド(レプリカント)を判別するための心理テストのようなもの)、パスポート風ポイントカードといったファンの心をくすぐるアイテムも用意されており、早川書房の熱の入れようが分かる。ちなみにポイントカードは1000円ごとにスタンプが押され、10個たまると素敵なプレゼントと交換してもらえるらしい。


rmfigd14.jpg もしかしたら記憶がないだけで、あなたはレプリカントなのかもしれない。タイレル社の開発したフォークト=カンプフ・ペーパーテストで診断することを薦める

rmfigd13.jpg 飲み物を頼むと付いてくるコースター。シンプルなデザインが映える

rmfigd15.jpg プレゼントをもらったあとはしおりとして使うのもあり?

次回はあの探偵作品とコラボ

 当日は、PKD酒場を企画した早川書房の方にお話を聞くことができたのでいくつかの質問にこたえてもらった。

―― 今回、PKD酒場を企画した理由とは?

担当者 『SFマガジン』で実施されたPKD総選挙や、人気アニメ「PSYCHO-PASS(サイコパス)」の登場キャラクター・槙島聖護が、『アンドロイド――』を薦めたことで女性を中心にファンが増えたこと、そして先日、フィリップ・K・ディック財団やデザイン会社「ポジトロン」の協力によって立ち上げた新ブランド「PKD」など、ディック周りが熱かったからです。

 PKDブランドのTシャツは、ディック作品の表紙をデザインしているポジトロンの土井宏明さんに、プロダクト・デザイナーを担当していただいています。ネット販売を始めてすぐに大量の注文が入って驚きました。Webサイトもかっこいいのでぜひ見てもらいたいです。

rmfigd17.jpg そのTシャツがこちら。S、M、L、XLの4サイズで価格は3000円(税別)

―― 販売している書店などでも売り切れが出始めているとか。ところで、毎日先着50人に配っているという強力わかもと、あれは購入したもの?

担当者 実は、わかもと製薬さんに今回の企画を説明しに行ったときに、大量の試供品をご提供してくださったんです。それとメニューにある、ジョニー・ウォーカー(ブレード・ランナーの中で、デッカードが飲んでいた酒)ですが、こちらも取り扱いをしているキリン・ディアジオさんにご協力いただいております。

―― 完成を待ち望むファンも多いと思われる“デッカ丼”、完成はいつごろ?

担当者 いつごろかはまだ明言できないですね。でも近日中に提供を開始するのでよろしくお願いします。楽しみにしていてください。

―― では最後に、次回のコラボ企画について公開できる情報があれば。

担当者 次回は2015年早々に、クリスティ繋がりで「名探偵ポワロ」をテーマにした企画を考えています。料理を食べたり、展示を見たり、読書体験だけでは得られない作品の世界を味わってもらいたいですね。

 開催のたびにクオリティが上がるカフェ クリスティでのコラボ企画。次回も期待せざるを得ない。

PKD酒場

期間:11月5日〜12月26日

営業時間

 平日 午後5時〜午後10時(ラストオーダー午後9時)

 土曜 午前11時〜午後4時(ラストオーダー午後3時)

休業日:日曜

場所:千代田区神田多町2-2 第三ハヤカワビル1F


Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のアイコン

注目のアイコン

「ITAN」×「ねとらぼ」コラボマンガ

ねとらぼがスマホからも見れる!

過去記事カレンダー

オススメ記事