店頭には黄金の北島三郎像 「演歌日本一」「テープ日本一」を掲げる「あこや楽器店」を訪ねた(2/2 ページ)

» 2015年06月24日 14時33分 公開
[谷町邦子ねとらぼ]
前のページへ 1|2       

創業から65年

 65年前にオープンしたあこや楽器店。野村社長(91歳)は当時20代で、姉のいた奈良の楽器店で修業した後、独立して心斎橋筋商店街に店を構えた。店名の由来は、歌舞伎の演目「阿古屋琴責(あこやことぜめ)」に出てくる琴・三味線・胡弓(こきゅう)が得意な遊女、阿古屋(あこや)からとのこと。趣のある店名である。

 当時の音楽事情について野村社長はこう語る。「音楽の業界に入ったのは戦争が終わってから4、5年たってからやから、そのころはやっぱり歌は全盛でしたよ。昔からの歌手がたくさんでたから。今でもそういう人のものが売れている。娯楽というもんが(戦争で)途絶えとった時代やからね。そのころはまだレコード屋さんも数が少なかったですよ」

 「演歌専門店」と銘打つようになったのは25年ほど前の90年代から。不況でCDが売れなくなって多くの音楽店が閉店しだすようになり、演歌という特色を打ちだすことにしたという。

音楽配信が拡大しても「テープ日本一」

 音楽配信サービスの普及などによってCDの売り上げが減少している現在、あこや楽器店にも影響はあるのだろうか。

テープの品ぞろえも豊富

 「音楽配信とかあるでしょ。そういうふうなのは、なんも目を通さんと売ってるわけでね。題だけ言うて、買う。やっぱりね、目で見て買うのが一番賢いんですわ。そんなもん(音楽配信)はね、形も何にもないわけでしょ。そういうのんは嫌やいう人もいるんですよ。頼りないでしょ」(野村社長)

 あこや楽器店には、目で見てCDを選び購入するのを好むお客さんからの強い支持がある。お客さんの年齢層から考えても、手にとって見ることのできないネット配信にはなじみにくいのかもしれない。

 店内にはカセットテープの棚もあり、「テープ日本一」というポップも貼られている。カセットを多く扱う店は珍しいと思うのだが、その理由を尋ねた。

 「カセットそのものがね、機械も今の若い人が使わないような機械になっているでしょ。でも、カセットの機械でしか聞いてない人も、たくさんおるんですわ、特に女の人に多い。そういう人のために作ってる。主力ではない。お客さんのこと考えると、やめるにやめられない。要望があるからね」と野村社長。

 昔からのお客さんを大切にし、地元のお客さんのニーズに寄り添い続けるのが、65年も続くあこや楽器店の生き残り戦略なのだろう。

谷町邦子

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/18/news134.jpg 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  2. /nl/articles/2404/18/news025.jpg 生後5日の赤ちゃん、7歳のお姉ちゃんから初めてミルクをもらうと…… 姉も驚きの反応がかわいい
  3. /nl/articles/2404/18/news057.jpg 9カ月の赤ちゃん、バスで外国人の女の子赤ちゃんと隣り合い…… 人生初のガールズトークに「これは通じあってますね!」「ベビ同士の会話、とろけます」
  4. /nl/articles/2404/17/news037.jpg 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  5. /nl/articles/2404/17/news034.jpg 「妹が入学式に着るワンピース作ってみた!」 こだわり満載のクラシカルな一着に「すごすぎて意味わからない」「涙が出ました」
  6. /nl/articles/2404/18/news155.jpg 大谷翔平選手、ハワイに約26億円の別荘を購入 真美子夫人とデコピンとで過ごすかもしれないオフシーズンの拠点に「もうすぐ我が家となる場所」
  7. /nl/articles/2404/17/news179.jpg 「ケンタッキー」新アプリに不満殺到 「酷すぎる」「改悪」の声…… 運営元「大変ご迷惑をおかけした」と謝罪
  8. /nl/articles/2404/16/news192.jpg 「ゆるキャン△」のイメージビジュアルそのまま? 工事の看板イラストが登場キャラにしか見えない 工事担当者「狙いました」
  9. /nl/articles/2404/17/news129.jpg 「ハーゲンダッツ硬すぎ!」と力を入れたら……! “目を疑う事態”になった1枚がパワー過ぎて約8万いいね
  10. /nl/articles/2404/16/news175.jpg 「そうはならんやろ」をそのまま再現!? 「ガンダムSEED FREEDOM」のズゴックを完全再現したガンプラがすごすぎる
先週の総合アクセスTOP10
  1. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  2. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  3. 安達祐実、成人した娘とのレアな2ショット披露 「ママには見えない!」「とても似ててびっくり」と驚きの声
  4. 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
  5. “これが普通だと思っていた柴犬のお風呂の入れ方が特殊すぎた” 予想外の体勢に「今まで観てきた入浴法で1番かわいい」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
  8. お花見でも大活躍する「2杯のドリンクを片手で持つ方法」 目からウロコの裏技に「えぇーーすごーーい」「やってみます!」
  9. 弟から出産祝いをもらったら…… 爆笑の悲劇に「めっちゃおもろ可愛いんだけどw」「笑いこらえるの無理でした」
  10. 3カ月の赤ちゃん、パパに“しーっ”とされた反応が「可愛いぁぁぁぁ」と200万再生 無邪気なお返事としぐさから幸せがあふれ出す
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」