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» 2017年02月10日 10時32分 UPDATE

「なんでも鑑定団」で「国宝級」と鑑定も…専門家から疑義で一転、文化財調査を中止

「開運!なんでも鑑定団」で「国宝級」と鑑定された茶碗を巡って、所有者から文化財指定に向けた調査中止の申し出があった。

[産経新聞]
産経新聞

 昨年12月に放送されたテレビ東京系の人気番組「開運!なんでも鑑定団」で、「国宝級」と鑑定された茶碗(ちゃわん)をめぐり、所有者が住む徳島県の教育委員会が、文化財指定に向けた調査を計画しながら、一転して取りやめていたことが9日、分かった。番組放送後、専門家から鑑定結果を疑問視する指摘が相次ぎ、所有者から調査中止の申し出があった。


なんでも鑑定団 人気番組「開運!なんでも鑑定団」で「国宝級の曜変天目」と鑑定された茶碗(テレビ東京の放送画面から)(写真:産経新聞)

 「国宝級」と鑑定されていたのは、昨年12月20日放送の同番組に持ち込まれた茶碗。古美術鑑定家の中島誠之助さんが、南宋時代(12〜13世紀)の中国・福建省で制作され、完全な状態では3つしか現存しない「曜変天目(ようへんてんもく)」に間違いない−などとし、2500万円の鑑定額がついた。

 茶碗の所有者は徳島県内でラーメン店を経営する男性で、曽祖父が買った古美術品の中に交ざっていたとされる。徳島県教育委員会によると、同番組での鑑定を受け、茶碗を文化財に指定するための調査を計画。県文化財保護条例に基づき、男性に文化財指定の申請をする意向を確認した。

 男性は当初協力的だったが、しばらくして男性から「諸般の事情で資料を外に出さないでもらいたい」「この件は今後ノーコメントにします」との申し出があり、調査実施は白紙となった。鑑定された茶碗をめぐっては、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などを通じ、鑑定結果を疑問視する専門家たちの意見も相次いでいた。

 曜変天目は窯で焼いたときに偶然に近い形で青や藍の斑紋がつき、光の当て方や見る角度によって色が変わる。曜変天目の再現に父の代から挑み続け、何度も中国に赴くなどして研究を続けてきた愛知県瀬戸市の陶芸家、九代目長江惣吉さん(54)は「番組の茶碗は国宝の曜変天目とは似ても似つかない」と語る。本物の模様は破裂痕のようになるのが主な特徴だが、番組の茶碗の模様は絵の具を塗ったように見えると指摘。鑑定額についても、本物だとすればもっと高額になるとして「安すぎる」と首をかしげた。

 曜変天目に詳しい美術館学芸員は「番組で紹介された茶碗は、本来のものと模様が異なる上、模様がつかないはずの部分にも模様があった」と話した。欠損などのない完全な状態で現存する曜変天目は3つある。現在は藤田美術館(大阪市都島区)、静嘉堂文庫美術館(東京都世田谷区)、大徳寺龍光院(京都市北区)に所蔵されており、いずれも国宝に指定されている。

 県教委の担当者は「茶碗は個人の所有物なので、所有者の協力がなければ(調査で)専門家に見せることができない」と困惑。今後、所有者から再度申し出があれば調査を検討する。テレビ東京広報部は取材に対し、「鑑定結果は番組独自の見解に基づくものです。また、番組の制作過程等については従前よりお答えしておりません」としている。

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