「倒産」「破産」「民事再生」「会社更生」 それぞれの意味の違いは?(2/2 ページ)

» 2017年04月28日 07時00分 公開
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会社更生とは 〜民事再生との違い〜

 会社更生は、破産しかない状態になる前に、民事再生と同様に返済プランを作り、従う点は同じです。では、民事再生と会社更生ではどこが違うのでしょうか。

(1)経営陣の進退と返済プランの作成者

 1つ目に、民事再生では、それ以前の経営陣が続投でき、返済プランの作成も会社の関係者が行うことができます。

 それに対して、会社更生では基本的に経営陣は一新され、返済プランも外部の専門家が作成します。

 これだけ見ていると、どの企業も経営陣が続投できる民事再生を選べばいいじゃないか、というお話になってしまいますね。さらなる違いを見ていきます。

(2)会社の財産がどのくらい残るか

 借金をするときには何かしらの財産を担保(借金が返済できない場合に備えた保証)に入れます。

 民事再生では原則、その会社が債務を返済できなかった債権者に対して、担保に指定していた財産(例:土地や建物)の競売を申し立てる権利が与えられます。

 一方で会社更生では、この競売権が債権者のものではないため、債権者自ら競売を申し立てることはできません。

【2017/4/28 16:25追記】
当初、上記本文中に誤解を招く恐れのある表現があったため、文章を修正しました。修正前の記述は下記の通りです。
「民事再生では原則、その会社が債務を返済できなかった債権者に対して、担保に指定していた財産(例:土地や建物)を明け渡します。一方で会社更生では、会社の再建に必要な大事な財産であれば、担保に入っていたとしても明け渡されないことがあります。」

(3)会社の形態をどこまで変えられるか

 会社が合併されたり事業を再編するには、「会社法」で決められた「株主総会の同意」などの別の手続きが必要です。しかし、会社更生の場合は、「会社法」で決められた手続きなくして事業再編や合併が可能です。


 まとめると、民事再生では「身内の権利を守る代わりに、会社の再建のための手段が減る」、会社更生では「会社の身内の意見を締め出す代わりに、より確実に会社自体を再建できる」という具合です。

 会社更生によって再建した会社として、近年で最も有名な例は日本航空(JAL)です。

 JALは2010年に経営破綻すると1月に会社更生法の適用を申し立てました。同年2月には代表取締役社長や会長らが交代し、新経営陣が発足しています。JALは日本の輸送を担う重要な企業であり、確実な再建が求められたため「会社更生」を選択しました。

 「会社更生」は、民事再生と比べて強力な再建手段なので、債務に関する権利関係が複雑な会社や、大きな株式会社がよく選択する傾向にあります。

まとめ

 各用語の違い、つかんでいただけたでしょうか。

 これ以外にも、借金の貸方と借方が直接話し合う「私的整理」や、株式会社が解散したうえで手続する「特別清算」などの手続きもあります。最近ではパナソニックの子会社「パナソニックプラズマディスプレイ」が「特別清算」の手続きをしていますが、ニュースで耳にすることは少ないのでここでの紹介にとどめます。

 倒産処理のなかでも、「破産」が債権者の資金回収を重視しているとするなら、「民事再生」や「会社更生」はその後の会社の再建をより重視した手続きであることは、覚えておいて損はありません。

 新しい企業が生まれていく一方で、経営破綻する会社も少なからず存在します。このとき、その会社が選択した手続きに注目することで、世の中を少しだけ理解できるかもしれません。

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