「映画ハピネスチャージプリキュア!」の興行収入はなぜ半減した? 2014年の出来事から考えるサラリーマン、プリキュアを語る(2/3 ページ)

» 2017年11月09日 18時00分 公開
[kasumiねとらぼ]

2014年の子ども向け映画に起きたていたこと

 2014年は、「ファミリー向け映画界」で社会現象になるレベルの大きな出来事が次々と起こりました。

2014年の子ども向け映画の出来事

3月:「アナと雪の女王」の大ブーム到来

7月:「映画妖怪ウォッチ」の前売り券発売。「メダル付前売り券」に長蛇の列

8月:アイカツ!劇場版の前売り発売。カード付前売り券も好調な販売



■アナと雪の女王、大ブーム

 2014年3月14日に公開されたディズニー映画「アナと雪の女王」は空前の大ヒット映画となりました。

 最終興行収入は254億7000万円と、その年の日本公開の映画で最大のヒットとなり、社会現象レベルにまでなっていました。

 「みんなで歌おう上映」なども開かれ、映画はロングラン上映。

 このアナ雪ブームは大人だけではなく、子どもにも浸透していた様子が当時の記事などに残っています。

アナと雪の女王 「アナと雪の女王」(Amazon.co.jpから)

 「アナと雪の女王」を見に、子どももお母さん、お父さんに連れられて劇場に足を運んでいたのです。


■妖怪ウォッチ大旋風(せんぷう)

 また、2014年は「妖怪ウォッチ」がまさに社会現象と化した年でした。

 妖怪メダルの発売日には長蛇の列が出来、メダルの転売なども大きな問題となりました。

 アニメも大好評で「ゲラゲラポーのうた」「ようかい体操第一」の大ヒットも記憶に新しいですよね。

 2014年7月に発売された映画の前売り券は特典のメダル効果もあり、異例の113万枚を売り上げ特典を入手できない子どもが続出して大きな問題となりました(この前売り券は東宝が配給する映画では史上最高枚数を記録しています)。

 とにかく、あの年は異常なまでの「妖怪ウォッチブーム」だったのです。

 妖怪ウォッチは「男の子向けコンテンツ」かと思うかもしれませんが、玩具業界紙には「現在のユーザーの半分は女児が占める(トイジャーナル2014.6月号)」「妖怪ウォッチの人気は現在男子小学生のみならず、女児や未就学児までに波及しつつある。(同10月号)」とあるように、女児にも妖怪ウォッチは浸透していたようです。

 この2014年12月に公開された「映画妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!」は、最終の興行収入が78億円、動員700万人とこれもものすごい成績を残しました。

映画妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン! 「映画妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!」(Amazon.co.jpから)

■アイカツ!映画も公開

 2014年8月9日には「劇場版アイカツ!」の「特典つき前売り券」も発売されています。

劇場版アイカツ! 「劇場版アイカツ!」(Amazon.co.jpから)

 2013年後半に、バンダイのトイホビー売り上げでプリキュアを上回る好成績を残したアイカツ!。

 当時の女児向けコンテンツはアイカツ!が大きなシェアを占めていたことは間違いないと思われます。

 2014年も勢いはまだまだ健在で、劇場版のカード付き前売り券にも注目が集まりました。


 このように、2014年前半は「ファミリー向け映画」「子ども向け映画」に社会現象レベルの出来事が次から次へと起こっていました。

 プリキュア映画の前売り券が発売されたのが7月。

 それとほぼ同時期に、「アナ雪」のロングラン上映、映画妖怪ウォッチの前売り券発売、アイカツ!映画の前売り券発売などが相次いでいたのです。


年間で映画に使う額は一定

 これは総務省統計局が出している「1世帯当たりの品目別支出金額(総世帯)」中の「映画・演劇等入場料」の年次推移です。


 これを見ると「世帯が年間に使う映画、演劇の入場料の金額」はほぼ一定であることが分かります(大ヒット映画のある年は、2本見に行くので2倍になる、なんてことにはなりません)。

 もちろん2014年も例外ではありません。映画に使われる金額は一定なのです。

 つまり、

 ファミリーでアナ雪を見に行き、
 映画妖怪ウォッチの前売り券を買い、
 アイカツ!の前売り券も買う。
 しかし、「世帯が年間に使う映画の金額は変わらない」。

 となると、影響を受けるのは「定番映画」であるプリキュアなのです。

 しかもドラえもんのような「春映画」ならまだしも、プリキュアは「秋映画」です。

 年の後半になればなるほど影響を受けやすいでしょう。

 いつもであれば、子どもと見に行く映画にプリキュアが選ばれるところが、「別のもの」が選ばれてしまった。

 2014年のプリキュア映画はイレギュラーな「強大すぎるもの」に飲まれてしまったのです(もちろん、ハピネスチャージプリキュア!にアナ雪や妖怪ウォッチを超える魅力があれば、子どもたちもなびかなったかも知れませんが、「定番映画」となっていたプリキュアにはそれを覆すことは難しかったのでしょうし、「親の意向」が大きかったものと思います)。

 これが2014年ハピネスチャージプリキュア!の映画の興行収入が半減してしまった大きな理由であると自分は思います。

(つまり、同じ年に「超強大な家族向けコンテンツ」が複数生まれると、定番ものであるプリキュア映画は影響を受ける可能性が高いのです。仮にこの先、春に公開されるオリジナルのファミリー向け映画が空前の大ヒットで200億円を突破するようで、それが複数あればプリキュアもまた影響を受けるはずです)。

映画ハピネスチャージプリキュア!人形の国のバレリーナ ハピネス映画はキャラクターが本当にきれいなのです(YouTubeから)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/15/news019.jpg 4カ月赤ちゃん、おねむのひとり言が止まらず…… 心とけそうなおしゃべりに「とてつもなく可愛すぎる!」「ウルウルした」
  2. /nl/articles/2404/15/news020.jpg 1歳妹が11歳姉に髪を結んでもらうやさしい光景が160万再生 喜ぶ妹のノリノリのリアクションに「可愛すぎて息できない」「ねぇね髪の毛結ぶの上手」
  3. /nl/articles/2404/13/news014.jpg 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  4. /nl/articles/2404/14/news013.jpg 海岸を歩いていたら「めっちゃ緑のヨコエビがおって草」 作りものと見まごうほどの色合いに「ガチャの景品みたい」と驚きの声
  5. /nl/articles/2404/11/news165.jpg 遊び疲れた子猫を寝かしつけてみた 絵本のような光景に「きゃーあ」「可愛すぎて変な声出た!」
  6. /nl/articles/2404/15/news038.jpg ダイソーの材料を“くっつけるだけ”で作れる、高見え「カフェコーナー」 今流行りのジャパンディな風合いに「天才的に美しい」「まねする!」
  7. /nl/articles/2404/15/news103.jpg 「ケンタッキー」新アプリ、不具合や使いづらさに不満殺到…… 全面的刷新も「酷すぎる」「歴史に名を残すレベル」
  8. /nl/articles/2404/15/news014.jpg 100均大好き起業ママが「考えた人天才すぎる」と思わず興奮 ダイソー&キャンドゥの優秀アイテム5選が参考になりすぎる
  9. /nl/articles/2404/14/news006.jpg 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
  10. /nl/articles/2404/15/news021.jpg 下っ腹に合わせて購入したGUデニムで50代女性に悲劇→機転を利かせたコーデに称賛!! 「笑って楽しんで60代、70代を迎えたい!」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「歩行も困難…言動もままならず」黒沢年雄、妻・街田リーヌの病状明かす 介護施設入所も「急激に壊れていく…」
  2. 500円玉が1つ入る「桜のケース」が200万件表示越え! 折り紙1枚で作れる簡単さに「オトナも絶対うれしい」「美しい〜!」
  3. 赤ちゃんがママと思ってくっつき爆睡するのはまさかの…… “身代わりの術”にはまる姿に「可愛いが渋滞」「何回見てもいやされる!」
  4. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  5. 日本地図で「東京まで1本で行ける都道府県」に着色 → まさかの2県だけ白いまま!? 「知らなかった」の声
  6. 中森明菜、“3か月ぶりのセルフカバー動画”登場でネット沸騰 笑顔でキメポーズの歌姫復活に「相変わらずオシャレで素敵」「素敵な年齢の重ね方」
  7. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
  8. もう別人じゃん! 「コロチキ」西野、約8カ月のビフォーアフターが「これはすごい」と驚きの声集まる
  9. 娘がクッションを抱きしめていると思ったら…… 秋田犬を心ゆくまで堪能する姿が440万再生「5分だけ代わっていただけますか?」「尊いなぁ…」
  10. 業務スーパーの“高コスパ”人気冷凍商品に「基準値超え添加物」 約1万5000個販売……自主回収を実施
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」