就活の「お祈りメール」っていつから存在してるの? 学生から人事担当者まで徹底調査してきた(3/4 ページ)

» 2017年12月17日 11時00分 公開
[高橋ホイコねとらぼ]

ネット就活が広がった時期と一致

 「祈られる」という言葉が生まれた2000年代前半に何が起きていたのでしょうか? アンケートから推測するに、インターネットを利用した就活が広がった時期と重なっているようです。

 アンケートの回答者にいろいろ聞いてみると、「祈られる」という言葉があったと答えた人は、就職情報サイトの利用だったり、企業とのメールでのやりとりだったり、ネット上での情報交換など、就職活動のさまざまな場面でインターネットを使っていました。

就職年 各年代の回答例
2001年以前 そもそもメールではなかった
2002年〜03年 インターネット就活の走りだった
2004年〜08年 「祈られた」のような表現があった
2009年〜2010年 「専用サイトで祈られました」など、言葉を使いこなした回答が来る
2011年〜 「使ってました!」と即答される

 複数の書籍などを調べると、ネット就活が普及したのはやはり2000年代前半

 ある就職情報サイトの担当者の記憶では、紙の時代では、郵送代もかかるということで、今ほどには不採用通知は出していなかったそうです。これがメールに置き換わるようになるにつれて、不採用通知を出すことが主流となります。

 「ネットで情報交換がされるようになったこと」「学生側が平等性を求める傾向にあること」などの背景から、非礼とならないよう企業が努力した結果が「お祈りメール」の形になったのではないか、と話していました。

「お祈り手紙」は存在したのか?

 では、ネット就活が始まる以前、2001年よりも前には「お祈り手紙」はなかったのでしょうか? 当時就職した人たちに聞いてみましたが、不採用通知をもらったという人たちも文面までは覚えていませんでした。

 筆者は2001年就職ですが、不採用通知はあっても電話か封書。封書の不採用通知を受け取ったこともありましたが、封筒を開ける前に透かしてみて「不採用」の文字が見えてしまって、開封したものの、ろくに読まずに捨てた思い出があります。「祈られ」ていたかどうか、中の文面は一切記憶に残っていません。

 調べた書籍の中にも、不採用通知が紙だった時代から「お祈り文」は使われていたという情報はあるのですが、それが「お祈り手紙」と呼ばれることはなかったようです。

お祈り手紙のイメージ 筆者の記憶を頼りにお祈り手紙を再現

言葉が誕生してから数年後にメディアが取り上げた理由

 お祈りメールが誕生してから十数年、今これだけメディアに取り上げられるようになったのには何か理由があるのでしょうか。各就職年の求人倍率を見ていたところ、ある仮説にたどり着きました。

 2000年代前半、インターネット就活の普及と時期を同じくして「お祈りメール」という言葉が広がりました。この時期の就職環境は回復傾向にあります。

 そして、2008年9月のリーマンショックを期に、一気に就職難となります。2009年卒が2.14倍なのに対し、2010年卒は1.62倍と急降下。これをメディアが取り上げる際、従来の「就職氷河期」とは違う新たな就職難の象徴として、不採用を表す「お祈りメール」という言葉に目を付けたのではないでしょうか。

求人倍率のグラフ 求人倍率の推移(リクルートホールディングスサイトより)

 どちらも就活生にとって大きな変化が訪れた年代。その激変期が言葉を生み育てた、そんなドラマを感じます。

 それにしても、どうしてこんなにも多くの企業の不採用通知が「お祈り申し上げます」と同じような文章で終わっているのでしょうか。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2403/26/news158.jpg 元横綱・貴乃花、再婚後の激変ぶりに驚きの声 ヒゲ生やした近影に「ショーケンみたい」「ワイルドー」
  2. /nl/articles/2403/27/news130.jpg 中山美穂、金髪&ミニ丈の大胆イメチェンに視聴者びっくり! “格付け”出演の最新ビジュアルに「誰だか分からなかった」
  3. /nl/articles/2403/26/news169.jpg 「『ちゅ〜る』の紅麹色素は大丈夫?」 小林製薬の「紅麹」報道で飼い主に不安広がる
  4. /nl/articles/2403/27/news126.jpg ミス筑波大モデル、25キロ減量したビフォーアフターに「ホント凄い」 整形疑う声も「元々は埋もれてたようですね」
  5. /nl/articles/2403/26/news161.jpg 【まとめ】小林製薬「紅麹」問題 味噌や酒など紅麹原料使用メーカーの自主回収相次ぐ 20社以上が発表
  6. /nl/articles/2403/27/news127.jpg 日本エレキテル連合・中野、ネタで酷使し容姿に異変→手術を決断 「ダメよ〜、ダメダメ」でブレイク、2022年にがん公表
  7. /nl/articles/2403/20/news067.jpg 「紫のトトロ買った」 “ジブリを1ミリも知らない”友だちから連絡→まさかの正体に爆笑 友だちはその後ジブリを見た?
  8. /nl/articles/2403/26/news016.jpg ドイツ人家族が日本のバウムクーヘンを実食、一番おいしいと絶賛したのは…… 満場一致の結果に「参考になります」「他の食べ比べもお願い」
  9. /nl/articles/2312/30/news041.jpg 「紫のトトロ買った」 “ジブリを1ミリも知らない”友人から連絡→まさかの正体に爆笑「それトトロやない」
  10. /nl/articles/2403/26/news145.jpg 「ご安心ください」 “紅麹ショック”でDHCとファンケルが声明…… サプリ販売は継続中 小林製薬では死亡患者がサプリ摂取
先週の総合アクセスTOP10
  1. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  2. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  3. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  4. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  5. 田代まさしの息子・タツヤ、母の逝去を報告 「あんなに悲しむ父親の姿を見たのは初めて」
  6. 「遺体の写真晒すのはさすがに」「不愉快」 坂間叶夢さんの葬儀に際して“不適切”写真を投稿で物議
  7. 大友康平、伊集院静さんの“お別れ会”で「“平服でお越しください”とあったので……」 服装が浮きまくる事態に
  8. 妊娠中に捨てられていた大型犬を保護 救われた尊い命に安堵と憤りの声「絶対に許せません」「親子ともに助かって良かった」
  9. 極寒トイレが100均アイテムで“裸足で歩ける暖かさ”に 今すぐマネできるDIYに「これは盲点」「簡単に掃除が出来る」
  10. 「奥さん目をしっかり見て挨拶してる」「品を感じる」 大谷翔平&真美子さんのオフ写真集、球団関係者が公開
先月の総合アクセスTOP10
  1. 釣れたキジハタを1年飼ってみると…… 飼い主も驚きの姿に「もはや、魚じゃない」「もう家族やね」と反響
  2. パーカーをガバッとまくり上げて…… 女性インフルエンサー、台湾でボディーライン晒す 上半身露出で物議 「羞恥心どこに置いてきたん?」
  3. “TikTokはエロの宝庫だ” 女性インフルエンサー、水着姿晒した雑誌表紙に苦言 「なんですか? これ?」
  4. 1歳妹を溺愛する18歳兄、しかし妹のひと言に表情が一変「ちがうなぁ!?」 ママも笑っちゃうオチに「かわいいし天才笑」「何度も見ちゃう」
  5. 8歳兄が0歳赤ちゃんを寝かしつけ→2年後の現在は…… 尊く涙が出そうな光景に「可愛すぎる兄妹」「本当に優しい」
  6. 1人遊びに夢中な0歳赤ちゃん、ママの視線に気付いた瞬間…… 100点満点のリアクションにキュン「かわいすぎて鼻血出そう!」
  7. 67歳マダムの「ユニクロ・緑のヒートテック重ね着術」に「色の合わせ方が神すぎる」と称賛 センス抜群の着こなしが参考になる
  8. “双子モデル”りんか&あんな、成長した姿に驚きの声 近影に「こんなにおっきくなって」「ちょっと見ないうちに」
  9. 犬が同じ場所で2年間、トイレをし続けた結果…… 笑っちゃうほど様変わりした光景が379万表示「そこだけボッ!ってw」
  10. 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」