「イルカがせめてきたぞっ」はありうるのか 1960年代から存在する「軍用イルカ」
半世紀以上にわたって続く「米海軍海洋哺乳類プログラム」。
――― イルカがせめてきたぞっ
これは、いくつものパロディー画像を生み出したネット上で有名なフレーズです。元ネタは、陸に上がったイルカが光線銃で人間を襲うイラストの描き文字。1970年代に刊行された「なぜなに学習図鑑」(小学館)に収録されているといわれています。
一般的には、非現実的でぶっ飛んだ表現として親しまれていますが、実は海外には「軍用イルカ」なるものが実在します。
1960年代から存在する「軍用イルカ」
「なぜなに学習図鑑」からさかのぼること約10年、米海軍は1959年にイルカの訓練を開始し、1960年代から「NMMP」(Navy’s Marine Mammal Program/海軍海洋哺乳類プログラム)を続けています。冷戦期には、ソ連軍も軍用イルカの利用を進めていたといわれていますが、1990年代にイルカの訓練を終了。数年前に、ロシア軍がイルカを入手する動きを見せた際には「軍用イルカ復活か」と国内外で報道されました。
米国の「SSC Pacific」(Space and Naval Warfare Systems Command/米国宇宙海戦システム司令部)によると、「イルカには科学的に知られている最も洗練されたソナーが生まれつき持っており」、海中のターゲットを見つけ出ることが可能。高い潜水能力も兼ね備えており、現時点では水中ドローンよりも優れているといいます。
では、そんなハイスペックな軍用イルカたちは、どんな活動を行っているのか。SSC Pacificは「海に落ちた物品の回収」「不正なダイバーなどの発見、警備支援」などに従事していると説明。「イルカを戦闘に利用しているのではないか」と疑う声もあるものの、それについては、かつて映画などによって広まった「rumors(うわさ)」だとして否定しています。
なお、イルカの戦闘利用を懸念する声は現在も残っているもよう。現在でも海外の一部Webサイトでは、イルカに兵器を持たせた、やや「せめてきたぞっ」感のある合成画像が掲載されています。
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