「メルカリが上場」で何が起こる? 「上場」の意味と仕組みをやさしく解説

覚えておきたいニュース用語の一つですね。

» 2018年07月07日 11時00分 公開
[QuizKnockねとらぼ]

 オンラインのフリーマーケットを運営する「株式会社メルカリ」が東証マザーズに上場を果たし、大きなニュースになりました。今回の上場のニュースは投資関係者からの熱い注目を集めています。

 ところで、そもそも「上場」すると何がどう変わるのでしょうか。今回は、会社にまつわるワードを解説していきます。


会社の種類

 そもそも、日本にある会社の種類は株式会社だけではありません

 会社法では、会社を「株式会社」「合名会社」「合資会社」「合同会社」の4つに分類しています。株式会社以外の3つをまとめて持分会社ということもあります。

 みなさんが名前を知っているような大きな企業は、大体が「株式会社」です。一方で、家族で経営しているような小さな企業は、多くが持分会社です。


株式会社とは?

 当たり前のように使っている「株式会社」という言葉、人に説明できるでしょうか? 定義を文章で書くと、株式会社とは「株主からの出資をもとに、株主総会で決められた経営者が業務を行う会社」ですが、これはどういうことでしょう。

 そもそも、会社の運営にはたくさんのお金が必要です。このお金を多数の投資家から集めて、見返りとして株主総会での議決権と配当を与えているのが株式会社です。



 元手となるお金は株主が出しますが、かといって株主は経営の実務に必ずしも関与しません。株主総会で選ばれた代表取締役などの役員が実務を執り行います(これを所有と経営の分離といいます)。


役員の選出のほか、新たな株式の発行などの重要事項は株主総会で決定されます

 これに対して、株式会社以外の「持分会社」では、こうした所有と経営の分離はそれほどみられず、元手を出資した人が経営も担っている場合がほとんどです。



非公開会社

 ところで、株式会社であっても、株主の範囲や株式の受け渡しを制限している会社もあります。これを「非公開会社」「閉鎖的会社」などといいます。非公開会社は、外部の影響を受けたくないマスコミ企業や、小企業ではないが株式市場で資金を集めるほどでもない規模の企業にみられます。

 以上から、「株式会社と持分会社」「公開会社と非公開会社」を表にまとめると以下のようになります。


全ての株式会社の株が市場で取引されているわけではなく、あくまで「公開の株式会社」の株が取引されています

上場とは?

 上の表で見たとき、非公開会社が新たに株式を公開すると、株式会社となります。この「株式を公開したい!」という申請が、証券取引所に認められるのが「上場」です。

 つまり、今回のメルカリの上場では、もともと非公開の株式会社だったメルカリが、新たに株式を発行して公開の株式会社になったということです。


上場すると何が良いのか

 上場するということは、株式を不特定多数の投資家に買ってもらって、よりたくさんの資金が集まることを意味しています。

 ということは、上場したメルカリは、次の手としてより大きな施策を打ち出すことができると考えられます。この「次の手」に期待するからこそ、上場が大きなニュースになったり、株価が上がったりするんですね。



 「資金が集まる→次に大きな手が打てる→もうけが大きくなる」という予想がより確からしいほど、株価は上がります。

 一方で、上場したからには、会社の中の管理をしっかりする必要があります。

 株式というのは、日々価格が変動するリスクのあるもの。そうしたリスクが投資家に不当に降りかからないように、公開会社は会計基準や監査をしっかりしなければなりません。

 上場するためには、会計の透明性のほかに、社会的なルールや法律をしっかり守っているか(コンプライアンス)の審査が行われます。今回、ユーザー同士のトラブルへの対処が懸念されたために上場が遅れた、というニュースもありましたが、これを考えると、今後、メルカリのユーザー間のトラブルに、より公平で適切な対応がされるようになることも期待できます。


おわりに

 「自分は株を買っていないから関係ない」と思う人もいるかもしれませんが、上場というのは、ふだんメルカリを使っているだけの人にも関わってきます。実際に新サービスやトラブルへの対処が良い方向へ向かうか、社会全体が興味を示しています。

 今後、知っている会社で上場関連のニュースがあったときにも、ぜひ動向に注目してみてください。

参考文献

河合正二『基礎から学ぶ会社法ー80のステップで学ぶ会社のましくみー』晃洋書房、2016

落合誠一『会社法要説 第2版』有斐閣、2016


制作協力

QuizKnock


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/18/news134.jpg 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  2. /nl/articles/2404/18/news025.jpg 生後5日の赤ちゃん、7歳のお姉ちゃんから初めてミルクをもらうと…… 姉も驚きの反応がかわいい
  3. /nl/articles/2404/18/news057.jpg 9カ月の赤ちゃん、バスで外国人の女の子赤ちゃんと隣り合い…… 人生初のガールズトークに「これは通じあってますね!」「ベビ同士の会話、とろけます」
  4. /nl/articles/2404/17/news037.jpg 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  5. /nl/articles/2404/17/news034.jpg 「妹が入学式に着るワンピース作ってみた!」 こだわり満載のクラシカルな一着に「すごすぎて意味わからない」「涙が出ました」
  6. /nl/articles/2404/18/news155.jpg 大谷翔平選手、ハワイに約26億円の別荘を購入 真美子夫人とデコピンとで過ごすかもしれないオフシーズンの拠点に「もうすぐ我が家となる場所」
  7. /nl/articles/2404/17/news179.jpg 「ケンタッキー」新アプリに不満殺到 「酷すぎる」「改悪」の声…… 運営元「大変ご迷惑をおかけした」と謝罪
  8. /nl/articles/2404/16/news192.jpg 「ゆるキャン△」のイメージビジュアルそのまま? 工事の看板イラストが登場キャラにしか見えない 工事担当者「狙いました」
  9. /nl/articles/2404/17/news129.jpg 「ハーゲンダッツ硬すぎ!」と力を入れたら……! “目を疑う事態”になった1枚がパワー過ぎて約8万いいね
  10. /nl/articles/2404/16/news175.jpg 「そうはならんやろ」をそのまま再現!? 「ガンダムSEED FREEDOM」のズゴックを完全再現したガンプラがすごすぎる
先週の総合アクセスTOP10
  1. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  2. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  3. 安達祐実、成人した娘とのレアな2ショット披露 「ママには見えない!」「とても似ててびっくり」と驚きの声
  4. 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
  5. “これが普通だと思っていた柴犬のお風呂の入れ方が特殊すぎた” 予想外の体勢に「今まで観てきた入浴法で1番かわいい」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
  8. お花見でも大活躍する「2杯のドリンクを片手で持つ方法」 目からウロコの裏技に「えぇーーすごーーい」「やってみます!」
  9. 弟から出産祝いをもらったら…… 爆笑の悲劇に「めっちゃおもろ可愛いんだけどw」「笑いこらえるの無理でした」
  10. 3カ月の赤ちゃん、パパに“しーっ”とされた反応が「可愛いぁぁぁぁ」と200万再生 無邪気なお返事としぐさから幸せがあふれ出す
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」