なぜ人類は性欲にあふれた「クソLINE」を送ってしまうのか?(3/3 ページ)
なぜクソLINEは生まれるのか?
約2時間半にわたり、クソLINEを紹介していった桃山商事の3人。クソLINEにはさまざまなタイプがあり、突然欲望を向ける「通り魔タイプ」や、適切な距離感を見失った「エイリアンタイプ」などがあるといいます。
「不器用な男性を笑っているわけではありません。クソLINEと不器用なコミュニケーションの線引きは難しいところがあります。ただ今回は、徹底して話が通じていない、ディスコミュニケーションの場合を取り上げました。LINEは2人だけのトークルームがあるので、“密室感”がある。その感覚に誤解して、距離をほとんど詰めてない相手に対して送ってはいけないメッセージを送ってしまう。さらに相手が戸惑っていたり、迷惑に思っていることが分からなかったりするんですね」(森田専務)
さらにディスコミュニケーションを加速させているのが、クソLINEを送られてきた女性の反応。「嫌なメッセージに対して『笑』や『すみません』を返してしまう」ということがよくあるのだとか。その結果、相手に嫌がっていることが伝わらず、「この話題で盛り上がっている」という“成功体験”としてカウントされてしまうことも……。記者自身、「は?」というコメントや既読スルーの瞬発力が足りず、つい話を合わせてしまったり、穏便に返事をしてしまったりといった経験はあります。
「反射的に気遣いをして優しく返信をしてしまう女性たちが、時間差で『あのメッセージはなんだったんだ』と怒る話をよく聞きます。なぜ優しく返信してしまうのかは、ジェンダー規範の問題や、正常性バイアスがあるのかもしれません。突然来るクソLINEは異常な事態なんだけど、最初から『これは本当にヤバい』とは思えない。心のどこかで異常だなと思いつつも『またまた〜』と対応してしまったり、逆上や粘着を恐れて穏便に済まそうとやわらかい対応をとってしまったり……ということが起こっているのだと思います」(清田代表)
桃山商事は、今後もクソLINEを研究していく予定。「これは……」と思うクソLINE体験がある方は、お焚き上げを希望してみてはいかがでしょうか。男性からの投稿も歓迎といいます。
また、イベントに参加してみて心から感じたのは、「自分(女性)もクソLINEを送る可能性があるな」ということです。片思いの相手にかけた深夜のLINE通話、酔っぱらって元恋人に送ったヘニャヘニャのメッセージ、いいなと思っている相手に送ったやたらとエクスキューズの多い飲みの誘い……恋心と性欲で頭がいっぱいになると、「相手に嫌な思いをさせている」ことには鈍感になります。イベント中、何度か嫌な汗が流れました。
クソLINEを送ってしまう“加害側”にならないためにはどうすればいいのでしょうか。そのためには、「クソLINEの条件」の逆の行動を取るのがよさそうです。
つまり、(1)唐突に誘わない、(2)23時台に突然連絡しない、(3)「上から目線」にならない、(4)「笑」を付ければ下ネタを送ってもいいと判断しない――。それでも「これってクソLINEかな?」と気になったら、忌たんのない意見を言ってくれる(できれば異性の)友人に相談してみるのも手。せっかく仲を深められるコミュニケーションツール、クソではなくハッピーなLINEを世の中に増やしていきたいですね!
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