現代は“社会人のヒゲ”もアリな時代? 大阪市営地下鉄「ひげ禁止訴訟」に、ネット上の反応は9割が否定的

大阪市に賠償命令が下された訴訟。

» 2019年02月08日 12時00分 公開
[ねとらぼ調査隊ねとらぼ]

 大阪市営地下鉄(現・大阪メトロ)の運転士らが「ヒゲを生やして勤務したことを理由に、人事評価を不当に下げられた」として訴訟。大阪市には44万円の賠償命令が下された―― 「ひげ禁止訴訟」と呼ばれるこの裁判、ネット上では「なんだこの判決。控訴する」と真っ向から否定した同市市長・吉村洋文氏のツイートも話題を集めました。

「ヒゲを生やして人事評価マイナス」に、ネット状の反応は?

{'type':'pie'、'data':{'labels':['ネガティブ'、'ポジティブ']、'datasets':[{'data':[90.9、9.1]、'backgroundColor':['rgba(255、115、116、.7)'、'rgba(255、183、116、.7)']、'borderWidth':[0、0]}]、'illust':0}} 2019年2月6日(Social Insight 調べ)

 SNS上の反応を解析できるSocial InsightでTwitterユーザーの反応を調べたところ、90.9%が人事評価を不当に下げられたことに対してネガティブな反応という結果に。

 ちなみに、報道によると、該当の従業員らは運転手で、ヒゲを生やして10年以上勤務。橋下徹市長時代に、ヒゲを生やすことが禁止されたものの、そらなかったため、人事評価を下げられるなどしたとのこと。大阪市営地下鉄は2018年に民営化されており、業務を引き継いだ大阪メトロでは“ヒゲ禁止”のルールはなくなっているそうです。

ネガティブな意見



ポジティブな意見



歴史的に見ると、ヒゲはOK? それともNG?

 確かに、現代社会には「ヒゲを生やすのは、社会人としてふさわしくない」という考え方があります。ですが、日本では“これまで常に”ヒゲが不適切なものとして扱われていたのでしょうか。

 歴史をたどると、戦国時代には「ヒゲ=威厳を示すもの」として、武士などが競うように生やしていたとか。そのため、体毛が薄かった豊臣秀吉は付け髭をしていた、という逸話を聞いたことがある人も少なくないはず。しかし、江戸時代になると、幕府が禁止令を出したことなどから、ヒゲをそるのが一般的になったといわれています。

 ところが、幕末に海外の文化が伝わると、状況は一転。渡来した外国人の姿から「ヒゲ」と近代的な文明のイメージが結び付き、再びヒゲ文化が広がりだし、当時の明治天皇の御真影を見ても、かなり立派なヒゲを蓄えていた時期があることが確認できます。


織田信長


徳川家綱


明治天皇。絵画、写真を並べてみるとヒゲの有無はバラバラ。どちらかが絶対的に良い/悪いのであれば、こういう風にはならないはず

 そして、大正に入ると「モダンガール」「モダンボーイ」と呼ばれる新しい流行により、またまたヒゲは忌避される存在に。その後も、 軍国主義が台頭するとヒゲが権威の象徴として好まれ、戦後の経済成長期になると、ヒゲはそるものとされ……といった具合。二転三転しており、「歴史的に正しいヒゲの在り方」というものを考えるのはかなり難しそうです。

現代はヒゲがアリなのか、ナシなのか

 では、現代は社会人の身だしなみとして「ヒゲがアリな時代」「ナシな時代」のどちらなのでしょうか。

 大阪市営地下鉄の「ひげ禁止訴訟」と似た事例としては、2010年に判決が下された「郵政事業(身だしなみ基準)事件」が挙げられます。ひげ、長髪を生やした男性従業員が「身だしなみのルールに反する」と、賃金カット、マイナスの人事評価などを受けたもの。

 神戸地裁はルールの必要性を認めつつも、全面的にひげ、長髪を禁止するのは過度の制限で、「顧客に不快感を与えるようなひげ、長髪はNG」と限定すべきと判断。該当の従業員のひげや髪は、その「顧客に不快感を与えるような」ものではなかったとされ、慰謝料などを勝ち取っています。

 職場でも学校でも、身だしなみのルールがあることは珍しくありません。ですが、多様な価値観が認められる現代は、ヒゲ自体が良い/悪いという時代ではないのかもしれません。


整えているヒゲと、そうでないヒゲでは、かなり印象が変わりますからね

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/18/news134.jpg 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  2. /nl/articles/2404/18/news025.jpg 生後5日の赤ちゃん、7歳のお姉ちゃんから初めてミルクをもらうと…… 姉も驚きの反応がかわいい
  3. /nl/articles/2404/18/news057.jpg 9カ月の赤ちゃん、バスで外国人の女の子赤ちゃんと隣り合い…… 人生初のガールズトークに「これは通じあってますね!」「ベビ同士の会話、とろけます」
  4. /nl/articles/2404/17/news037.jpg 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  5. /nl/articles/2404/17/news034.jpg 「妹が入学式に着るワンピース作ってみた!」 こだわり満載のクラシカルな一着に「すごすぎて意味わからない」「涙が出ました」
  6. /nl/articles/2404/18/news155.jpg 大谷翔平選手、ハワイに約26億円の別荘を購入 真美子夫人とデコピンとで過ごすかもしれないオフシーズンの拠点に「もうすぐ我が家となる場所」
  7. /nl/articles/2404/17/news179.jpg 「ケンタッキー」新アプリに不満殺到 「酷すぎる」「改悪」の声…… 運営元「大変ご迷惑をおかけした」と謝罪
  8. /nl/articles/2404/16/news192.jpg 「ゆるキャン△」のイメージビジュアルそのまま? 工事の看板イラストが登場キャラにしか見えない 工事担当者「狙いました」
  9. /nl/articles/2404/17/news129.jpg 「ハーゲンダッツ硬すぎ!」と力を入れたら……! “目を疑う事態”になった1枚がパワー過ぎて約8万いいね
  10. /nl/articles/2404/16/news175.jpg 「そうはならんやろ」をそのまま再現!? 「ガンダムSEED FREEDOM」のズゴックを完全再現したガンプラがすごすぎる
先週の総合アクセスTOP10
  1. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  2. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  3. 安達祐実、成人した娘とのレアな2ショット披露 「ママには見えない!」「とても似ててびっくり」と驚きの声
  4. 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
  5. “これが普通だと思っていた柴犬のお風呂の入れ方が特殊すぎた” 予想外の体勢に「今まで観てきた入浴法で1番かわいい」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
  8. お花見でも大活躍する「2杯のドリンクを片手で持つ方法」 目からウロコの裏技に「えぇーーすごーーい」「やってみます!」
  9. 弟から出産祝いをもらったら…… 爆笑の悲劇に「めっちゃおもろ可愛いんだけどw」「笑いこらえるの無理でした」
  10. 3カ月の赤ちゃん、パパに“しーっ”とされた反応が「可愛いぁぁぁぁ」と200万再生 無邪気なお返事としぐさから幸せがあふれ出す
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」