NHK基礎英語が異世界転生ラノベに!? 「女子中学生がドラゴンから王子を救う」物語の狙いをNHK出版に聞いた

この英語なら、吾輩の脳を浸食する隙があるというものよ。

» 2019年04月06日 09時30分 公開
[高橋ホイコねとらぼ]

 2019年4月に始まった「基礎英語2」(NHKラジオ講座)が異世界ラノベっぽいと話題です。なぜ異世界を題材にしたのかNHK出版に取材したところ、最終的に『中2病フレーズで学ぶ中学英語』の話に。異世界、中2病? どうなってるんだ、NHKテキスト!?

表紙画像 基礎英語が異世界転生ラノベっぽいぞー

基礎英語なのに、女子中学生がドラゴンに誘拐された王子を救う物語!?

 「基礎英語2」は中学2年生レベルの英語を1年かけて学ぶラジオ講座、のはずですが、今回は「女子中学生が異世界と学校生活を行き来するファンタジー」。詳しいストーリーを聞きましたが……こ、こんな楽しそうな物語で、英語の勉強ができる……だとっ。

 主人公の若月ルナ(中学2年)は、少し自信がない、引っ込み思案な女の子。ひょんなことから異世界へ飛ばされてしまいました。行った先でルナの風変わりな服装と持ち物が“伝説の少女”にぴったりだと言われてしまいます。城に連れていかれたルナ。“伝説の少女”に違いないと、ドラゴンに誘拐された王子を助ける旅に加わるように言われます。ルナは「自分が“伝説の少女”なわけがない」と思います。しかし、他に頼る相手もいなく、冒険が始まります。

4月〜5月放送分の大まかなストーリー
世界観 主人公ルナが旅する「アナザーワールド」 みんなが知ってる異世界でしかない

4月の放送スケジュール 1回15分の放送でストーリーが進んでいく

 気になる。先が気になりすぎる。この物語が1年かけて展開されていきます。どうやらテキストのイラストのラノベ風テイストが強くなったのはこの2年くらいのようです。過去はどんな物語が採用されていたのでしょうか。

「精霊が見える中学生」や「ハリウッド俳優が同級生」という物語もあった

 6〜7年前から、イラストの魅力でも引っ張って、気がついたら英語も身につけていたというテイストになっていると、NHK出版の担当者は話します。ターゲット層である中学生に合わせてアニメやラノベ風の表紙絵が採用されています。

 2017年の主人公は精霊が見える中学2年生の女の子でした。それでいて柔道がすごく強いというユニークな設定です。

 2018年は、アメリカ東海岸をイメージした海外ドラマ風の設定。クラスメートにはハリウッド俳優もいたりします。ハリウッド俳優は寡黙な男子。しかし、日本から転校してきた中学2年生の女の子(主人公)には、心を許すようになりハッピーエンドという展開でした。

 「精霊」「海外ドラマ風」ときて、今年はどうしようかという話になったときに浮上した案が“ファンタジー”でした。ただ、1年間ずっとファンタジーの物語では、全くファンタジー作品を読まない人はついていけなくなる懸念があります。そこで、学校生活とファンタジー世界を行き来する設定を加えました。これを決めたあとで、異世界転生が流行していることを知ったそうです。そのため女子中学生は現世と異世界をわりと都合よく行き来できるようにしており、意識をなくして転生するような異世界転生にありがちな設定とは少し異なっています。

基礎英語1表紙基礎英語3表紙 基礎英語1と3もストーリー仕立てになっています

ファンタジーのセリフならスピーキング学習も(わりと)恥ずかしくない!

 ファンタジーは意外にも、英語学習に向いているといいます。

 1点目は例文がはまりやすいこと。中学2年生はたくさんの文法を学びます。例えば「May I〜〜(私は〜〜していいですか?)」など構文としては覚えなければならないものです。ただし、これは友達同士では日常あまり使わない表現です。

 とはいえ、このMay表現。ファンタジーだと、王様など偉い人に「庭に入っていいですか、陛下」「よろしい」と会話させることで、例文がうまくはまります。こういう使い方が頭の片隅に残っていたら、将来使うときに役に立つかもしれないと担当者は語ります。

 2点目はスピーキングがしやすいこと。英語のスピーキングは大げさに言いなさいなど言われますが、やっぱり気恥ずかしいものです。ところが、ファンタジーの芝居がかったセリフ、例えば「私たちの王国を救ってくれますか」だと、「消しゴムを貸してください」よりもノリで言いやすく、記憶にも残りやすくなる印象があります。こういうノリや、面白がる気持ちが、意外とスピーキング力アップにつながったりするのだそうです。

人物表 国王なら“may”を使っても違和感なし

 さらにテキストでは、「中2病フレーズで学ぶ中学英語」という基礎英語1〜3の巻末連載がすごく人気があるとのこと。中2病マインドいっぱいの例文を通して英語を学ぶコーナーです。

A:This pancake is burnt.

(このホットケーキ、焦げてるよ)

B:Even a dark flame master sometimes fails.

闇の炎の使い手も、ときには失敗するのよ

中2病フレーズの一例 「ラジオ 基礎英語2 2018年4月号」より

 このコーナーの人気を見ても、中学生というのは、日本語では言いづらいような芝居がかったせりふなどを、英語と絡めて覚えて楽しめる世代なのかなというのが編集部の共通した感触なのだそうです。

「物語を楽しんでたら、英語が好きになっていた」が目標

 基礎英語の物語には、勉強の敵と言われそうな“恋愛要素”も入っています。担当者によると、やはり恋愛要素があると、リスナーの年齢層の特徴なのか「続きがどうなるのか気になる」という反響が特に女の子から多く寄せられるといいます。

 英語ができるようになるのと、好きになるのは別物ではありますが、基礎英語は“好きになる”ことも大事にしているそうです。登場人物と一緒に冒険をしていたら、いつの間にか英語も好きになっていたとなれるように、これからも作っていきたいと語ってくれました。

高橋ホイコ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/18/news134.jpg 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  2. /nl/articles/2404/18/news025.jpg 生後5日の赤ちゃん、7歳のお姉ちゃんから初めてミルクをもらうと…… 姉も驚きの反応がかわいい
  3. /nl/articles/2404/18/news057.jpg 9カ月の赤ちゃん、バスで外国人の女の子赤ちゃんと隣り合い…… 人生初のガールズトークに「これは通じあってますね!」「ベビ同士の会話、とろけます」
  4. /nl/articles/2404/17/news037.jpg 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  5. /nl/articles/2404/17/news034.jpg 「妹が入学式に着るワンピース作ってみた!」 こだわり満載のクラシカルな一着に「すごすぎて意味わからない」「涙が出ました」
  6. /nl/articles/2404/18/news155.jpg 大谷翔平選手、ハワイに約26億円の別荘を購入 真美子夫人とデコピンとで過ごすかもしれないオフシーズンの拠点に「もうすぐ我が家となる場所」
  7. /nl/articles/2404/17/news179.jpg 「ケンタッキー」新アプリに不満殺到 「酷すぎる」「改悪」の声…… 運営元「大変ご迷惑をおかけした」と謝罪
  8. /nl/articles/2404/16/news192.jpg 「ゆるキャン△」のイメージビジュアルそのまま? 工事の看板イラストが登場キャラにしか見えない 工事担当者「狙いました」
  9. /nl/articles/2404/17/news129.jpg 「ハーゲンダッツ硬すぎ!」と力を入れたら……! “目を疑う事態”になった1枚がパワー過ぎて約8万いいね
  10. /nl/articles/2404/16/news175.jpg 「そうはならんやろ」をそのまま再現!? 「ガンダムSEED FREEDOM」のズゴックを完全再現したガンプラがすごすぎる
先週の総合アクセスTOP10
  1. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  2. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  3. 安達祐実、成人した娘とのレアな2ショット披露 「ママには見えない!」「とても似ててびっくり」と驚きの声
  4. 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
  5. “これが普通だと思っていた柴犬のお風呂の入れ方が特殊すぎた” 予想外の体勢に「今まで観てきた入浴法で1番かわいい」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
  8. お花見でも大活躍する「2杯のドリンクを片手で持つ方法」 目からウロコの裏技に「えぇーーすごーーい」「やってみます!」
  9. 弟から出産祝いをもらったら…… 爆笑の悲劇に「めっちゃおもろ可愛いんだけどw」「笑いこらえるの無理でした」
  10. 3カ月の赤ちゃん、パパに“しーっ”とされた反応が「可愛いぁぁぁぁ」と200万再生 無邪気なお返事としぐさから幸せがあふれ出す
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」