「ラブプラスEVERY」と「ダンキラ!!!」いずれも短命に終わってしまった2本のKONAMIゲーをしのんでモバクソ畑でつかまえて

モバクソゲーサークル「それいゆ」発起人、怪しい隣人さんによるスマホゲームコラム。今回は「ラブプラスEVERY」と「ダンキラ!!!」の2タイトルのサービス終了を振り返ります。

» 2020年08月18日 20時00分 公開
[怪しい隣人ねとらぼ]

 2020年8月5日。ラブプラスEVERY」「ダンキラ!!!と2つのゲームが同時にサービス終了しました。前者は1年足らず、後者は1年ちょっとの寿命でした。

 「ダンキラ!!!」は1周年1日前にサービス終了を発表するという、誕生日祝いを準備していたら医者に呼び出されて余命あとわずかといわれるようなむごい発表形式が印象に残っています。「ラブプラスEVERY」はそんなことはなかったのかというと、サービス終了発表直後にウェディングガチャが始まり、こちらはこちらで「余命1カ月の花嫁」もかくやという悲壮感が漂いました。

 不幸中の幸いといいましょうか、どちらもバージョンアップを行えばオフライン版としてプレイを続けることが可能です。ただし「ラブプラスEVERY」のほうは「カノジョプラスLite」として一部の機能が残るのみとなっています。2本ともKONAMIのゲームであり、特に「ラブプラスEVERY」は過去に一世を風靡(ふうび)したゲームのスマホ版。それぞれがなぜこのようなことになってしまったのでしょうか。



ライター:怪しい隣人

モバクソ畑でつかまえて

出来の良くないソーシャルゲームを勝手に「モバクソゲー」と名付けて収集、記録、紹介しています。モバクソ死亡リストは500件を超えました。年々ソーシャルゲームが複雑になり、ダメさを判定するのに時間がかかるのが最近の悩みです。本業はインフラエンジニア。そのためソーシャルゲームの臨時メンテは祭り半分胃痛半分な気分です。



最初のつまづきから巻き返せなかった「ラブプラスEVERY」

 まずは「ラブプラスEVERY」ですが、最初のつまづきが印象に残ります。こちらは2019年10月31日にサービススタートの予定でしたがいろいろな不具合が発生。結果的に11月2日から長期メンテに突入。1カ月以上が経過した12月11日にサービスを再開しました。このあたりの失敗を巻き返せなかった、という印象が強く残っています。


ラブプラス ダンキラ サービス終了 当時のメンテ開始画面

 ではなぜその巻き返しが行えなかったのか。これはもうゲームシステムに尽きるのではないかと思っています。簡単にいうと「一昔前のポチポチゲー」なのです。ガチャでカードを引き、カードをそろえてデッキを構築して画面をタップしながら自分を成長させていき、その結果としてカノジョとのエピソードが公開される仕組み。最初に3人のカノジョから1人を選んで話を進めていくにもかかわらず、ガチャからは別のカノジョのカードも出てきます。私はそこまでやりこまなかったのですが、自分のカノジョではないカードでデッキを組むことに疑問を覚えたカレシ諸氏も多かったのではないでしょうか。

 カレシ諸氏の違和感という意味では、スマホゲー特有のチュートリアル。数年ぶりに出会ったカノジョが「ガチャを引いてね」とか言ってくる姿を皆さんどう受け止めたのかというのも気になるところです。もろもろのシステムが、同じKONAMIの「戦国コレクション」などのシリーズからあまり進歩しているように感じられませんでした。ポチポチゲーは平成に置いてきてほしかったというのが正直なところです。そもそも、過去に「ラブプラスコレクション」というコンテンツがあり、こちらもガチャから出てくるカノジョのイラストを集めるゲームだったため、根本的に何も進歩していない、という気分にさせられました。


ラブプラス ダンキラ サービス終了 ガチャを勧めてくるカノジョ

ラブプラス ダンキラ サービス終了 カードの成長を勧めてくるカノジョ

ラブプラス ダンキラ サービス終了 ラブプラスコレクション、手持ち唯一の画像。招待という響きが懐かしい

古さはなかったものの……惜しさが目立った「ダンキラ!!!」

 一方「ダンキラ!!!」の方は今どきらしいポリゴンキャラが躍る音ゲーとして作られており、画面のデザインも含めて古さを感じさせるものではありませんでした。

 「イケメンキャラがリズムに乗って踊るのを楽しむ」作品としては問題ないのですが、初手の曲が少なすぎたという記憶があります。同じ曲を延々と繰り返すことになるため、あっという間に飽きてしまうのです。話自体も面白いとは思ったのですが、私のようなユーザーとしては明らかに対象外の人間が「面白い!」と思ってしまうあたり、メインターゲットの人たちに刺さっていたのかどうか大変心配です。育成システムもハードルが高く、好きな人は当然ついていくと思うのですが、広く浅い層に広まらなかったのではないかと思ってしまいました。

 曲数については後々解決はされていったと思うのですが、最初にマイナスの印象を持った人が戻ってくるほどではなかった、そう思います。このあたりのゲーム部分の残念さについては、開始時の感想として書かせていただいております。



ラブプラス ダンキラ サービス終了 育成難易度の高さはオフライン化しても変化なし。ここからさらにキャラを育てるには同じカードが複数枚必要に

 なお、問題点の一つである「曲の繰り返しプレイがつまらない」という点については、オフライン化でスタミナが関係なくなり、オートプレイが制限なくできるようになったこと、すなわち放置していればそれでいいという変更がなされており、むしろこれから始めることで問題なくプレイが可能なのではないでしょうか。

 音ゲーで音ゲー部分をフルオートでプレイしてしまうというのはどうかと思うところもあるのですが、キャラクターの魅力やストーリーを楽しむだけならむしろこの方が良いのかもしれません。なお、全イベントストーリーも収録されており、これは無償石を消費して解放することとなります。もろもろの変更点については公式サイトに記載がありますので、そちらをご覧ください。


ラブプラス ダンキラ サービス終了 イベントストーリーが全部収録されているのは素晴らしいと思います

 個人的に一番ヤバいなと思ったのは「ダンキラ!!!」を面白いと思った私が「ときめきアイドル」が大好きだったということです。私同様「ときめきアイドル」が好きだったとある方と「いいよねダンキラ!!!」と盛り上がったときは本格的にまずいのではないかと思ったのですが、案の定の結果になってしまいました。実はモバクソ畑の連載で開始と終了を記事にするのは「ときめきアイドル」に続いて「ダンキラ!!!」が2回目だったりします……。


両者に共通する「初手の悪さと宣伝不足」

 双方に共通する問題点として「初手の問題点が大きく改善されたとは思えないこと」があげられます。「ラブプラスEVERY」についてはポチポチゲースタイル、「ダンキラ!!!」については曲の少なさと育成の難易度。構造的な問題だけにこれを改善するのは難しいとは思うのですが「ご褒美であるストーリーやキャラクターを堪能するための壁」である部分の出来が悪いと、そこを超えることが出来ずにみなやめていってしまいます。

 もう一つは「宣伝不足」です。これは「ときめきアイドル」時代もそうだったのですが、どうも露出が足りないという印象がありました。最近ではどこのWebサイトの広告欄にもしつこいぐらいに出てくるスマホゲーを皆さんいくつも見ているのではないでしょうか。あれぐらいしつこく提示されていると、否が応でもタイトルを覚えてしまいます。広告を出す費用もばかにならないと思うのですが、それをやるだけのリターンはあったのではないでしょうか。

 ダンキラについては今後「ときめきアイドル」のような展開があればよいのにな、と思っております。ときめきアイドルはサービス終了後も公式Twitterが活動しており、CDが定期的に発売されていたりします。また、新型コロナで延期になってしまいましたがライブの開催すら決定されていました。ときめきアイドルのこの姿勢は「ゲームを運営する費用を削ればコンテンツとしての存続は可能」という逆転の発想だなあと思っています。



 ラブプラスについてですが、そもそもコンシューマー版の企画の方々がいない現状で、新しいものを立ち上げたというのが間違いなのかなと思ってしまいます。非常に悲しいことなのですが、コンシューマー版で一世を風靡したゲームのスマホ版が登場するにあたり、もろ手を挙げて歓迎された事例をあまり見ませんし、それが成功した事例も貴重だと思います。

 そういう意味では、今後のコンテンツ展開がどうなるか。こちらは再度の復活をお祈りするとしか言えません。それとも、このまま眠らせてあげた方がカノジョたちのためになるのか。その辺りはカレシ諸氏の思い入れ次第なのかな、とは思います。


ラブプラス ダンキラ サービス終了 こんな感じでカノジョと会い続けることは一応可能です

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

先週の総合アクセスTOP10
  1. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  2. 富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
  3. 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
  4. 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
  5. 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  6. 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  7. 1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
  8. 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
  9. 祖母から継いだ築80年の古家で「謎の箱」を発見→開けてみると…… 驚きの中身に「うわー!スゴッ」「かなり高価だと思いますよ!」
  10. 「妹が入学式に着るワンピース作ってみた!」 こだわり満載のクラシカルな一着に「すごすぎて意味わからない」「涙が出ました」
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」