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彼女こそ天使……いや仏!! 「左門くんはサモナー」天使ヶ原桜ちゃんのここが天使あのキャラに花束を

これからは「仏系少女」が流行る、たぶん!

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 マンガに出てくる「いい人」キャラって、基本的に正義感だったり、親切心だったり、行動に理念があると思うのですよ。

 そういう理由なく、ただひたすらに善良な女の子が、『左門くんはサモナー』の天使ヶ原桜(てしがわらさくら)さん、通称てっしー。

 天使ヶ原さん自体は、ごくごく普通の女の子。しかしみんなが言います。彼女は天使だ、いや、仏だと。

 悪魔を召喚する少年・左門召介(さもんしょうすけ)をめぐる、ドタバタの数々を描くギャグ漫画。左門くんは性格がクズオブクズで、かつ身も心も脆弱。一片の曇りもなくもなくゲスく(本人も分かってやっている)、人間からも悪魔からも疎まれています。


左門くんはサモナー おかっぱ、太眉、笑顔が特徴のステキな女の子、天使ヶ原さん

 一方天使ヶ原さんは常日頃、左門くんに振り回されて常に迷惑被っている。にもかかわらず、異様な懐の広さで受け止める。彼女の生き方は悪魔たちからも一目置かれ、応援されるほど。

 その愛され方はまるで、宗教。マンガ史上でも類まれなるカリスマの持ち主です、本人は自覚ないけど。



ここが天使その1:反射的に親切

 天使ヶ原さんは「優しくしてあげよう」とか「助けてあげよう」という思考を基本しません。例えば、社会科見学のバスで酔った男の子の嘔吐を、手で受け止めたことがあります。


左門くんはサモナー ああっ申し訳ないっ! この一コマで、彼女の天然で天使な人となりが分かる(1巻14ページ)

 一般的には、とっさによけるよね。少なくとも親切心でゲロをキャッチする必要はない。この事件だけで、彼女の行動の突飛(とっぴ)さが分かる。

 さて彼女は、学校のあらゆる人から愛されてはいるものの、告白されたり、甘えられたりすることが、ほとんどありません。友人たちとは仲良くしているけど、少なくとも男子生徒はなれなれしくしてこない。なぜなら、ゲロをキャッチするような子です、親切にしてもらうのが申し訳ないから。

 もっとも天使ヶ原さんは、無意識無自覚に動いているため、感謝されるのにあまり慣れてない。また、理由を論理的に考えるわけじゃなく、自分の感性で行動しているから、何を言われてもブレない。悪魔すらも救おうとする彼女、強靭です。


左門くんはサモナー 彼女の行動には、理由がない(1巻132ページ)

 「「何で」とか左門くんみたいなこと聞かないでください!! 理由とかありません!!」見返りを求めない行動が、悪魔たちの心を揺り動かした瞬間でした。

 ぶっちゃけおっちょこちょいなんです、この子。でもそんな裏表ない子だからこそ、周りの出来事なにもかもを幸せにしちゃう。みんなに信頼されちゃう。



ここが天使その2:別け隔てなく(いつの間にか)仲良し

 コミュニケーション能力半端じゃないです。といってもめちゃくちゃ親密に迫る、というわけではなく、誰でも受け止めることができちゃう、という感じ。

 ゾロアスター教の悪魔の長アンリ・マユは、悪魔にも人間にも、友達がいませんでした。左門くんが好きで追いかけてきた彼女は、彼のそばにいる天使ヶ原さんに激しく嫉妬。地球を滅ぼしかけます。でも、天使ヶ原さんがあまりにやさしいため、アンリ・マユの心は溶け、「友達」になります。めでたしめでたし。


左門くんはサモナー ぼっちな子じゃなくても、なかなかそれはしないぞ(3巻123ページ)

 いやー、確かにアンリ・マユのコミュニケーション不全っぷりもすごいけど、正直「あーん」をするのは難易度高すぎにもほどがあるよ?! 天使か。

 彼女の目線に「敵味方」がないのもポイント。相手が悪魔だからとか、人間だからとかが一切ない。困っている相手は、ついつい誰だって助けちゃう、手を差し伸べちゃう(とっさなのであんまり考えてない)。陰湿ないたずらをする左門くんが自業自得で困っている時ですら、救いの手を差し伸べようとする。仏か。

 彼女が相手に向ける思いは、無償の愛、アガペー。……いや天然なだけかなあ?



ここが天使その3:ツッコミがめっちゃ鋭い

 優しい癒やし少女、天使ヶ原さん。彼女のツッコミは激しく、鋭い。基本ですます調でしゃべる彼女、ツッコミの時は口調が荒くなります。

 「親切」というのは、何もかも受け入れることではない。時にはずっしりと構えて跳ね返すことも必要。天使ヶ原さんの行動は確かに、外見ではものすごい慈悲深いですとも。けれども意外と言動は、誰よりも強いのよ。作者は彼女について「天使と呼ばれる存在は大体が両性具有で力が強いものが多いので、天使ヶ原さんも中性的で時に荒々しい人物として描いています」(1巻キャラ解説より)と述べています。

 人を救わないといけないとき、甘いことは言っていられない。自らの失敗で悪魔とのゴタゴタに巻き込まれた少年、九頭龍くん。彼が死にかけた時、天使ヶ原さんは友達でもないのに救おうとします。キレイごとじゃなく本音をいいなよ、という左門くんに対して、彼女のセリフ「本音? 「ごちゃごちゃうるせえ」だよ」


左門くんはサモナー 空気が変わる瞬間。てっしーは誰よりも優しく、誰よりも強い(1巻92ページ)

 左門くんはそんな善人な天使ヶ原さんが嫌い。善良だからこそ彼女が欲を出すように誘導し、地獄に落とそうとしています。怒っていいんだよ?天使ヶ原さん? しかし気が付けば2人、一緒にいるのが日常になりはじめている。別にお互い好きじゃない。なんとも不思議な関係。


左門くんはサモナー 大っ嫌い同士の不思議なシンパシー(2巻84ページ)

 「大っ嫌いだよ 天使ヶ原さん」「知ってる」

 彼女の器は巨大で仏すぎるので、もしかしたら左門くんくらいにクズで悪魔以下じゃないと、吊り合わないのかもしれません。ぼくには、彼女に告白する勇気ありません……自分なんかでは申し訳なさすぎて……。

 せめて、拝ませてください。


(C)沼駿/集英社


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