テストでまったく分からない問題にブチ当たる。そんなとき人が最後に頼るのが「鉛筆ころがし」だ。「もっと勉強しておけばよかった」という後悔と諦めの気持ちで鉛筆をころがすとき、人はただ「キセキ」の訪れを待つだけの純粋な生き物になる。
なぜ突然こんな話をするかというと、今回は「明治プロビオヨーグルトLG21」とのコラボ企画だからだ。このヨーグルトに使われている「LG21乳酸菌」は開発当時、2500種類の乳酸菌の中から一つだけ選び抜かれたすごい乳酸菌なのだそうで、明治はこの2500分の1の発見を「キセキ」と称してめっちゃ押し出している。
僕もそんなキセキを体験してみたいけど、僕には乳酸菌を見つけることはできない。だって乳酸菌を見つける勉強なんてしたことないから。ということで運だけでキセキを起こすことは可能なのか、「マークシート式の試験に鉛筆ころがしだけで合格する」という企画で検証してみたい。
運だけでセンター試験に挑戦してみよう
マークシート式の試験として有名なのはやはり「センター試験」だろう。本当は実際に試験を受けにいきたいところだけど今はセンター試験の時期ではないし、会場で延々鉛筆をころがしてるやつがいたら「ナメてんのか」と言って叩き出される恐怖があるので今回は過去問を使うけどそこは許してほしい。
とりあえず文系の僕が現役時代に受験した「国語」「世界史A」「英語」の3教科に挑戦してみた。当時は国語で200点満点中185点という好成績を出して「僕は神童なのでは……?」と思ったのだけど、今問題を見てみるとマジでさっぱり分かんなくなってて泣いた。そんな僕のような人間のために鉛筆がある。
国語 36問中9問正解(200点満点中55点)
国語は5択問題が多くエンピツァー(鉛筆ころがしをする人)にはきつい印象があったが、36問中9問正解。4分の1の正解率なので確率的にはやや幸運だったといえる。ただ、この得点で入学できる学校はどこにもないだろう。
世界史A 33問中12問正解(100点満点中37点)
世界史は33問中12問に正解。ほぼ4択問題で正解しやすい上に確率以上に正解できていて、途中で「これはいけるのでは!?」という気になったが完全に気のせいだった。
英語(筆記) 55問中13問正解(200点満点中60点)
英語も4択問題がほとんど。55問中13問正解と正解率は並程度だったが、配点の高い後半の長文問題に正解が集中したためかなりの高得点を叩き出すことができた。なお、一般的にはかなりの低得点に分類されるもよう。
えらい人が一生懸命考えた問題を前に、何の思考もせずにコロコロやっていると自分がどんどんアホになっていく実感があってちょっとしたトリップ状態になることが分かった。こういう退廃的な行為に快感を覚えると大人になってこういう記事を書くハメになるので、受験生の皆さんにはしっかり勉強してほしい。
ちなみに4択問題で問題数が30問と仮定して計算してみたら、満点が取れる確率は4の30乗で115京2921兆5046億0684万7000分の1とかになった。もちろん満点まで取らなくていいとしても運だけで大学に入れる確率は0.00001%とかそんな数字になる。うん、無理だこれ!
圧倒的すぎる結論が出てしまって戦慄(せんりつ)しているが、このままだと「LG21のキセキ」という主題からかけ離れすぎて怒られるのでもう少し考えてみたい。そもそも雷が直撃する確率やジャンボ宝くじで1等が当たる確率が1000万分の1くらいらしい。100京分の1だと宝くじが当たった瞬間に雷が100発落ちてきてそのパワーで正義のミュータントになる確率、とかそういう無茶苦茶な話になってしまう。もうちょっとLG21の2500分の1に寄せて考えてみよう。
計算すると4択問題に6問連続で正解する確率が4096分の1になる。6問くらいなら急になんだかいけそうな気がしてくる。明治の人も乳酸菌が115京あったらたぶんやる前から研究を放棄してキセキの発見は起こらなかったはずだ。現実的な目標は人をやる気にさせてくれる。
というわけで6問正解を目標にあらためて鉛筆ころがしをやってみる。せっかくなのでマークシートで受験できるいろんな資格試験に挑戦してみました。どうせ鉛筆ころがすだけだしな!
はり師・きゅう師国家試験(6問中0問正解)
針治療・鍼灸治療を行うはり師やきゅう師の資格試験がマークシート式で取れるということに驚く。全て4択問題なのでいけそうな気がしてたが、結果はまさかの全問不正解だった。問題には「レイノー現象」とか「全身性エリテマトーデス」とか僕には極めてちんぷんかんぷんな専門用語が並んでいたのだけど、毎年受験者の約75%ほどが合格しているらしい。人を厳しく注意することを「お灸をすえる」というが、「そんなに賢い人にならお灸をすえられてもしょうがないか……」と思ってなんか落ち込んだ。
アマチュア無線技士国家試験(6問中1問正解)
「団塊世代のオタク趣味」的なイメージがあるアマチュア無線にもちゃんと国家資格があった。ちなみに第一級から第四級までの種別があり、試験問題では以下のような図がいっぱい出る。
僕の中の「アマチュア」のイメージとは程遠いガチっぷりが浮き彫りになってくる。文系の僕が脊髄反射で拒絶するような問題だらけのせいか鉛筆の出目も冴えない。結果は6問中1問正解。
銭湯検定(6問中3問正解)
もうちょっとライトな問題に触れたくなったので、「銭湯検定」というものにも挑戦してみた。日本銭湯文化協会が主催する銭湯文化の歴史や雑学をメインにした検定で、自宅で問題をダウンロードして挑戦できるという大変ゆるい試験スタイルが魅力だ。
3択問題ということもあって6問やって3問正解できた。ていうかこれ鉛筆ころがさなくても普通に勉強したら取れるな……!
定年力検定(6問中4問正解)
老後に必要な知識力を問う「定年力検定」なんてものもある。「盆栽の作り方」みたいなほのぼの問題が出るのかと思ったら、「遺言」「お墓」「保険」「相続税」とか結構生々しい用語が飛び出す真面目な内容だった。「お墓を建てると毎年管理費がかかるのか……」とかなんか将来のことを真剣に考えさせられたので、若い人も一回挑戦してみるといいかもしれない。
こちらも全て3択問題なので頑張れば取得できそうな気がした。この辺りになると鉛筆をころがすほうもやけくそになってきていて、100回くらい連続でころがし続けたのだけど3択ですら「4問連続正解」が最高だった。ちなみに3択問題で5問連続正解する確率は243分の1。「あ、2500分の1ってヤバイ確率なんだ」と悟った僕は静かに鉛筆を置いた。
検証の結果、たった5〜6問の問題ですら運だけでは正解できないことが分かった。まあ確かに運だけで資格を取ったはり師がやってる診療所とか絶対に行きたくないので、これは完全に世の中が正しいと思う。たぶん「キセキ」とは真面目に努力した人に訪れる幸福のことで、「勉強しないで試験に受かったらラッキー」などというふざけた発想とは真逆のものなのだと思う。なんかすいませんでした。LG21乳酸菌の発見も2500種類の乳酸菌を必死に研究した結果、起こしたキセキなんだそうです。すごいですね。
提供:株式会社明治
アイティメディア営業企画/制作:ねとらぼ編集部/掲載内容有効期限:2016年10月13日
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