世の中にあふれる“変なゲーム(珍ゲー)”を紹介する「週末珍ゲー紀行」。第4回は中身のないトークで行く手を阻む同僚を振り切り、迫りくる便意をトイレというカタルシスへ導くサバイバルゲーム「Gotta Go」を紹介します。もう我慢できないって時に限って、おしゃべり好きな同僚に捕まっちゃうことってありますよね。オフィスが広すぎてトイレの場所が分からないことも。漏らしたら社会的にゲームオーバーです。
ライター:Ritsuko Kawai
カナダ育ちの脳筋女子ゲーマー。塾講師、ホステス、ニュースサイト編集者を経て、現在はフリーライター。下ネタと社会問題に光を当てるのが仕事です。洋ゲーならジャンルを問わず何でもプレイしますが、ヒゲとマッチョが出てくる作品にくびったけ。Steamでカワイイ絵文字を集めるのにハマっています。趣味は葉巻とウォッカと映画鑑賞。ネコ好き。
新たな職場に配属されて慣れない日々を送る主人公。奇想天外なデザインでトイレまでの距離がやたら遠いオフィスの中で、緊張からか今日も迫りくる強烈な便意。あらがえない“あいつ”が肛門という最後の関所を突破するまで、プレイヤーに残された時間はわずか100秒間です。しかも全員グルとしか思えない同僚たちに捕まると、中身のないトークに延々と付き合わされて命の次に貴重な時間をロスしてしまいます。
同僚との会話は表示された矢印キーを一定回数入力すれば終了しますが、ワラワラと虫のように寄ってくるのでキリがありません。善人を貫き通していてはウンコを漏らして自分が社会的に抹消されてしまいます。時には鬼になることも必要なのです。会話の直前に指定されたコマンドを素早く入力すれば、「黙らっしゃい!」と一喝して強制終了できます。また、直後の数秒間は会話妨害を一切受け付けない無敵状態になれます。
時にはオフィス内を全力疾走したり、体内に充満したガスを放出したりすることもやむを得ません。オナラをするとパンツ崩壊までの時間を数秒延長できますが、その場所はしばらく毒ガスに汚染されてしまいます。トイレへ急行するためとはいえ、同僚を怒鳴ったりオフィスを走ったり、放屁がバレたりすると、勤務態度が悪いと見なされ人事評価が下がるので、使い過ぎには要注意。評価がゼロになると職場を解雇されてゲームオーバーです。
減少した人事メーターは、オフィス内に散らばっているTPSレポートを複数ある指定のデスクに提出すれば、少量ながら回復します。ほかにも会社の備品として便意抑制剤が設置されているので、盗んで飲めば大幅に時間を稼ぐことも可能です。輝かしいキャリアをかけた便意サバイバルを見事クリアした暁には、管理職のフロアで幹部専用トイレに加えて、元同僚を見下しながら気に入らない従業員を解雇する権利がもらえます。
ゲームには「バタートースト」「チーズバーガー」「悪魔のブリトー」と3種類の難易度があり、同僚の人数や追跡距離、会話キャンセル時のコマンド入力数などが変動します。また、特定の条件を満たしてクリアすると、ゲーム開始時に能力ボーナスが付与されるさまざまな「トッピング」がアンロックできます。常時オナラが出続ける「チーズ」や、書類箱を被って移動できる「スネークミート」といったユーモアたっぷりのものばかりです。
実は本作、一見おふざけから生まれた“クソ”ゲーに思えますが、胃がんの医療研究を支援する「No Stomach For Cancer」というスローガンの認知を目的にしているというシリアスな背景もあります。価格は498円とワンコインで買える手軽さなので、人生の大事な局面で緊張するとすぐお腹が痛くなっちゃう人や、ギリギリのタイミングでトイレへ駆け込む緊迫感がたまらない人にオススメです。
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