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「性か死か」勝てば種付け、負ければ食肉行き……過酷すぎる「種牡馬」の生涯 モテない馬はどうしてる?(後編)(3/5 ページ)

夢の舞台は、数々の犠牲の上に成り立っている。

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 ケンタッキーダービー、プリークネスSというアメリカのクラシックレースの2冠を獲得した名馬ウォーエンブレムは、1700万ドル(当時のレートで21億円)と鳴り物入りで種牡馬として日本にやってきました。

 しかし、彼は基本的に種付けに淡泊で、なかなかメス馬に興味を示しません。いろいろなメスをあてがうも、好みのタイプにしか興味を抱かないのです。ちなみにそのタイプとは「大きな流星(顔が突然白くなっている部分)などがない、無地の、小顔できゃしゃな馬」だったとか。


種馬の人生
「種牡馬失格」と見なされ、保険金が支払われた(東京新聞2003年5月30日号より)

種馬の人生
種付け料は日本でも上位に位置する800万円だった(スポルティーバ2003年8月号より)

 このウォーエンブレム、どうにか種牡馬として活動できるようにスタッフもいろいろと手を尽くし、少々の子どもを残すことができましたが、大きな効果を上げられないまま2015年にアメリカに帰国。

 帰国時には伝染病にかかっていないかの確認の「試験種付け」を受ける必要がありましたが、あろうことか試験場のメス馬にも興味を示さなかったため、とうとう去勢されてしまいました。

 結局ウォーエンブレムが残した子どもたちは119頭のみ。その中で出走までこぎつけたのは111頭だけでしたが、子どもの少なさとは裏腹に、彼らは大活躍しました。

 G1秋華賞を勝ったブラックエンブレム、同じくG1の阪神JFを勝ち、最優秀2歳牝馬に輝いたローブティサージュ。そしてダート重賞を5勝し、4億近い賞金を稼ぎ出したシビルウォーなど、多くの駿馬を輩出。

 現在シビルウォーが貴重なウォーエンブレムの血をつなぐ種牡馬となり、毎年60頭程度に種付けをするほどの人気を集めています。愛するオンナを選びに選んだ、ある意味純情だったオヤジの血をつなぐことはできるのでしょうか。


種馬の人生
少ない子どもから駿馬を輩出した、父の優秀な血をつなげるか(by Nadaraikon

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