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科学的にここまで解明されている「雨の匂い」の正体

好きな人もいる、あの独特な匂い。

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 雨が降るときなどに感じられる、いわゆる「雨の匂い」。心地よさが感じられ、好きだという人も少なくないのではないでしょうか。あの独特な香りについては科学的に研究されており、「ペトリコール」という名前もつけられているのだとか。

 今回は「雨の匂い」の雑学をご紹介します。



「雨の匂い」の正体

 雨の匂いを表す「ペトリコール(Petrichor)」という名称が生まれたのは、1960年代。オーストラリアの科学者らによる論文に登場する造語で、「暖かく乾いた天気が続いた後、雨が降ったときのよい香り」として使用されたそうです。

 この研究では、雨の匂いの原因物質が岩石などに含まれている油であることが明らかに。それで、ペトリコールには、ギリシャ語で石を意味する「Petra」が使われたのだといいます。なお、実際にはこの成分は植物に由来するもので、放出後、岩石などに蓄積されるのだとか。

 また、この他にも土壌細菌が作り出す「ゲオスミン(ジェオスミン)」など複数の物質が、雨の匂いを構成する要素として知られています。

 では、これらの成分はなぜ、雨が降ったときに匂いとして感じられるのでしょうか。

 マサチューセッツ工科大学は2015年、「ペトリコールの発生メカニズムが説明できるかもしれない」という研究結果を発表。ハイスピードカメラで落下する雨粒を観察した結果、砂などに衝突したとき、エアロゾル(気体中に浮遊する微小な液体や固体の粒子)が発生することが判明したそうです。雨が、土壌内の物質を大気中に広めるはたらきをしているというわけですね。

 同研究によると、エアロゾルが多く現れるのは「軽く中程度の雨」のときで、大雨のときはあまり発生しないとのこと。ここから「雨の匂いには“感じやすい雨の強さ”があり、土砂降りの場合は感じにくい」ということができるかもしれません。


雨粒が落下すると……




空中にエアロゾルが出現


研究者らは、このエアロゾルによって、雨の匂いの成分などが大気中に広まる可能性があるとしています

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