コロナ禍で店舗の棚からガンプラが一斉に消えた時期は過ぎ、バンダイの新工場が稼働開始するなどの増産に向けた動きもあり、近頃では再販品を中心に店頭在庫も充実、ガンプラは再び身近なものとなってきました。人気商品や限定品、レアキットはまだまだ入手困難ではありますが、今はまさにガンプラに再び手を出すチャンスではないでしょうか。

 今回は、ガンプラ初心者が手に入れておきたいホビー工具の中でも、基本中の基本である「ニッパー」のおすすめを紹介します。

出典:Amazon.co.jp

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「白化」対策で美しいゲート処理を

 ガンプラのパーツはランナーから切り離す際、接続部分だった「ゲート跡」がパーツ表面に残ります。このゲート跡をそのままにしておくと見た目が損なわれるため、処理が必要です。

 厄介なのが、ゲート跡を処理する際にパーツの切断面が白く変色してしまう「白化」という現象です。これはプラスチック樹脂に強い力(応力)が加わることで内部の分子構造が変化し、光が乱反射して白っぽく見えるために起こります。特にニッパーの刃をパーツ本体に食い込ませるように切ると応力が集中しやすく、白化の主な原因となります。

ゴッドハンド アルティメットニッパー(出典:Amazon.co.jp

 ゲート処理には主に「ニッパーの2度切り」「デザインナイフ」「ヤスリ」の3つの方法があり、それぞれの特徴を理解して組み合わせることが、白化を抑えたきれいな仕上がりへの近道です。

 最も基本となるのが、ニッパーを使った「2度切り」です。まず1度目は、ランナーからパーツを切り離す際、ゲートから少し離した位置で大まかに切断します。この段階ではパーツ側にゲートの根元を多めに残しておくのがポイントです。そして2度目に、パーツギリギリの位置で残ったゲートを薄く切り落とします。この際、刃をパーツ表面に対してできるだけ平行に当て、力をパーツから逃がす方向にかけるように意識すると、応力が一点に集中しにくくなり白化を抑えられます。片刃タイプのニッパーであれば、平らな面をパーツ側に向けて使うと、よりきれいな切断面になります。ただし2度切りだけで白化を完全にゼロにするのは難しいため、目立つ部分は後述のヤスリなどで仕上げるのが基本の流れです。

 ニッパーで2度切りをしたあと、さらに残ったわずかなゲート跡を整えるのに向いているのがデザインナイフです。刃を立てて削るのではなく、パーツの表面に沿うように刃を寝かせて滑らせ、薄く少しずつ削っていくのがコツです。一度に厚く削ろうとすると、逆にパーツが欠けたり新たな白化を招いたりする原因になるため注意が必要です。特に曲面のパーツや、ニッパーやヤスリが入り込みにくい細かい部分の処理に適しています。仕上がりのきれいさは刃の切れ味に大きく左右されるため、切れ味が落ちたと感じたらこまめに刃を交換することが、白化を防ぐうえでも重要です。

 最後の仕上げとして活躍するのがヤスリです。ニッパーやデザインナイフで大まかにゲートを落としたあと、ヤスリで表面を整えることで、残った段差やわずかな白化を目立たなくしていきます。荒目から中目、細目へと番手を段階的に変えながら磨いていくと、傷を残さずに滑らかな仕上がりに近づけられます。力を入れすぎず、一定方向に軽くなでるように動かすのがコツで、往復させてこすると逆に細かい傷が増えてしまうので注意しましょう。パーツが曲面の場合は、棒状のヤスリよりも表面が柔軟に沿うスポンジヤスリのようなタイプが向いています。ヤスリがけのあとは削りカスを軽く拭き取ってから、次の工程に進むようにしましょう。

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「初心者向け」のロングセラーニッパー|ゴッドハンド ケロロニッパー

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 2015年の発売以降、「初心者向けニッパー」として圧倒的な支持を集め続けたのがゴッドハンドの「ケロロニッパー」です。ゴッドハンド直販サイトでの価格が1430円(税込、以下同)というリーズナブルな価格ながら、非常に扱いやすく、適度な切れ味と高い耐久性で評価されています。

 人気アニメ「ケロロ軍曹」とのコラボ商品でもあり、本体にはケロロ軍曹の顔がレーザー刻印されており、見た目の楽しさも魅力の一つ。全長は約130mm、重さは約55gと手になじみやすいサイズで、グリップ太さも約12mmとしっかり握れる設計になっています。

 特許技術の「パッキンバネ」を採用しており、耐久性が高く、初心者が扱っても壊れにくいのが魅力。両刃仕様のため片刃タイプほど繊細な処理には向いていませんが、ゲート処理の基本である「2度切り」の練習用としても向いています。

 切断能力はΦ3mm以下(プラスチックのみ対応)となっており、通常のガンプラのゲート処理には十分な性能です。なんといっても価格が控えめですから、これからニッパーをそろえる初心者が最初の1本として選びやすい製品といえるでしょう。

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こだわり始めた際の買い替えにおすすめ|タミヤ 先細薄刃ニッパー

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 筆者が現在メインで使用しているのがこちらの、タミヤ「先細薄刃ニッパー」です。同社の「薄刃ニッパー」(アイテム74035)をベースに、刃先をさらに細く鋭く仕上げたモデルで、パーツとランナーの間が狭い箇所や、細かいパーツの切り出しに強みを発揮します。

 筆者はガンプラが発売され始めた当初は、まだ小学生~中学生であったので、まずは家にあった電線用ニッパーを使用しており、その後、近所の模型店で手ごろなホビー用ニッパーを購入してそれ1本でパーツを切り出していました。その後しばらくはガンプラには触っていなかったのですが、2000年代にMGアッガイを購入し、併せて同じタミヤの「モデラーズニッパーα」を購入し、使用し始めました。そちらの切れ味に少々不満が出てきたので、この「先細薄刃ニッパー」を購入し、1本目のモデラーズニッパーαでゲートを残して切り出し、先細薄刃ニッパーで二度切りしています。

 先細薄刃ニッパーの刃部は全体焼き入れに加えて高周波焼き入れを施した特殊鋼製で、切れ味の持続性に優れています。軽い力でスパッとカットできるため、パーツに余計な負荷をかけにくく、白化のリスクを抑えたゲート処理につなげやすいのもポイントです。全長115mmとやや小ぶりで、黒いグリップは滑りにくい特殊ゾルコーティング仕上げになっており、細かい作業でも手元が安定します。

 ケロロニッパーや他のリーズナブルなニッパーよりも刃先の精度を求めるモデラーや、ランナーとパーツの間隔が狭いキットを扱う機会が多いモデラーにおすすめの1本。価格帯としても中堅クラスで、初心者から一歩進んでニッパーにこだわり始めたタイミングでの買い替えにも適しています。タミヤ公式価格は3960円となっています。

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「片刃構造」のニッパーの定番|ゴッドハンド アルティメットニッパー

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 さらなる上位モデルを求めるのであれば、「片刃構造」のニッパーを狙いたいところです。片刃構造のニッパーは、刃が片方にしかなく「削ぐ」ように切れるため、切断面が非常にフラットで白化しにくいとされるものです。

 ゴッドハンドの最上位モデル「アルティメットニッパー」は、片刃ニッパーの定番とも呼べるもので、YouTubeのガンプラ作成動画などでも非常によく見かけるものです。「ゲートカットに特化した究極の切り口」をコンセプトに開発された製品で、これまで紹介した2本よりも価格は上がりますが、白化を最小限に抑えたいモデラーにとって、その価値は十分にあるニッパーです。

 最大の特長は、極薄の「切刃」と「片刃構造」による圧倒的な切れ味。メーカーによれば、Φ3mmのプラスチックを切る際に必要な力はわずか2kg以下(一般的なニッパーは3.5~10kg)とされており、スルスルと刃が入って白化を抑えた滑らかな切断面が得られます。切れ味がよいぶんパーツに余計な負荷がかかりにくく、デザインナイフによる仕上げに近いゲート処理が期待できます。

 全長は約120mm、重量は約60gで、刃折れ防止ストッパーや開き過ぎ防止ピン、バネなどの機能も備え、繊細な刃でありながら扱いやすさにも配慮された設計です。切断能力はΦ3mm以下(透明・半透明のPS樹脂はΦ1mm以下)となっており、使用素材には注意が必要です。片刃仕様のため、刃の平らな面をパーツ側に向けて使うのが基本で、2度切りの技術と組み合わせることで、ヤスリがけの手間を大きく減らせるのもメリットです。

 ゴッドハンド直販サイトでの価格は5940円と、今回紹介している3本の中で最も高価ですが、白化を極力抑えたい人や、ゲート処理の時短を重視する人、塗装せずに素組みで仕上げたい人には、投資する価値のある1本といえるでしょう。

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