連載

シミュレートしないシミュレーション「スペクトラルフォース」ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(1/2 ページ)

リアリティーにこだわりすぎると、ゲームとしてはおもしろくなくなる場合が往々にしてあります。今回取り上げる「スペクトラルフォース」(アイディアファクトリー)は、リアリティーをある程度犠牲にして、ゲームのおもしろさ、取っつきやすさにこだわった作品といえるでしょう。

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原宿にはいろんな顔がある

原宿駅の駅舎は、1924年(大正13年)に建てられたもの。明治神宮の所在地ということで、立派な造りになっている。皇室専用ホームもある

 今回取り上げるゲームは、プレイステーション用ソフト「スペクトラルフォース」。アイディアファクトリーが1997年に発売したシミュレーションゲームだ。

 アイディアファクトリーがある、原宿にやってきた。

 私はインターネットに興味を持ち始めた頃、原宿によく通っていた。オキエラビッチェやサイバーネットカフェといった、初期のインターネットカフェがあったからだ。

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 また、週刊ファミ通の編集者が結成した「FII Sound Unit」のライブを、原宿ルイードで見たこともある。日本武道館で1995年に「ゲームの殿堂」というイベントが開催されたことは、この連載で「ジョイメカファイト」を取り上げたときにも書いたが、このライブはそのプレイベントとして行なわれたものだった。

 竹の子族だったりタレントショップだったり、時代によって常に新しい姿を見せてきた原宿。最近では、おもしろTシャツの店が増えてたり、100円ショップもできてたりする。実はいろんなものを気軽に受け入れてくれる街なのかもしれない。

 そんな街にあるアイディアファクトリーが作った「スペクトラルフォース」も、ウォーシミュレーションゲーム初心者を気軽に受け入れてくれるゲームといえる。

 もっとも、「スペクトラルフォース」が発売された当時、アイディアファクトリーはまだ原宿にはなかったのだが。

「スペクトラルフォース」の舞台、ネバーランド大陸。最初は4カ国の中から1国を選んでプレイする
オープニングムービーに流れる主題歌は、ある意味伝説となっている

取っつきやすさ優先のシステム

 ウォーシミュレーションゲームというのは、そもそも戦争における図上演習が基になっている。

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 実際の戦場を想定して、作戦が成功するかどうかをシミュレートするものなので、もちろん現実の状況になるべく似せたシステムを作らなければならない。演習どおりに作戦を遂行して、演習と違う結果が出ては意味がないからだ。

 これが後にボードゲームに転化し、さらにコンピューターゲームになった。そうした経緯からして、シミュレーションゲームのシステムは、たとえファンタジー世界が舞台であっても、ある程度のリアリティーが追求されてきた。

 しかし「スペクトラルフォース」では、リアリティーを切り捨ててでも、システムのわかりやすさ、取っつきやすさを優先させているように感じられる。

 いちばんの特徴は“コマンドフェイス制”。このゲームは1カ月を1ターンとして進んでいくのだが、月ごとに何をするかが決められているのだ。

 例えば2月にできるのは人材の登用や解雇、役職の決定のみで、3月にできるのは戦闘と略奪のみ。

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 徴兵するには1月まで待たなくてはならないので、それまでは戦闘で兵士が減っても、補充できない。

どの月でも、実行できるコマンドは2つしかない。ただし情報の表示やセーブなどはいつでもできるし、回数制限があるものの、前衛後衛の入れ替えも毎月できる
武将たちの能力はゲーム中に表示されないので、内政や戦闘での働きぶりを見て、プレーヤー自身が見極めなくてはならない

 一見不自由なようにも思えるが、これはほかの国も同様なので、戦闘に向けての準備は、戦闘の起こる月の前に行なえばよく、また周辺諸国の兵士の人数もすぐ把握できる。

 シミュレーションゲームにありがちな、「最初に何から手をつけていいかわからない」という状態になりにくい。初心者でも入りやすいゲームといえるだろう。

このゲームでだけ通用するセオリー

交換レートは毎年大きく変化するので、安いときに買って高いときに売れば、お金をかなり増やすことも可能だ

 具体的に、どんなコマンドがあるかを見ていこう。

 毎年1月に税収が入る。金、宝玉、家畜、劣鬼の4種類あるが、それぞれの国でお金として使えるのはいずれか1種類。通貨単位が4種類あると考えればわかりやすいだろう。

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 1月には商人も来るので、自分の国で使えるお金と、ほかの3種類とを交換できる。

 1月には徴兵もできる。お金はかからないが、支配している土地の国力が低いと、多くの兵士を雇えない。

 また、兵士は武将1人につき最大1000人まで。しかも武将は10人までという制限があるので、1国が雇える兵士は最大10000人までとなる。

解雇された武将は、捨てぜりふを残して去っていく。ちょっと心が痛む

 2月と8月は、在野の武将を探して仲間にできる。先述のとおり、武将が10人いたらもうそれ以上雇えないので、能力の低い武将はどんどん解雇していくことになる。

 このあたりも、実際の国家運営とはだいぶかけ離れたシステムである。新しい人材を登用するたびに古い人を解雇していくような組織は、内外からの信頼を失って、組織として成り立たなくなるのが普通だ。

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 でも「スペクトラルフォース」では、武将を10人に制限することで、“多くの武将を抱えたプレーヤーが、武将の特徴を把握しきれなくなる”といった事態を、防いでいるといえる。

 4、7、10月は、他国と同盟を結べる。同盟国は攻めてこない(よっぽどこちらの兵士数が減った場合は別だが)。自国が強い場合は同盟の必要性は低いが、弱い国でプレイするときは、同盟の成否がゲームの鍵を握る。

各武将には忠誠度が設定されている。能力が高くて忠誠度が低い武将を、早めに引き抜きたい

 またこれらの月には、他国から武将を引き抜くこともできる。戦ってみて「強いなぁ」と思った相手を引き抜いてもいいし、そうでなくても兵士を大勢抱えている武将を引き抜けば、相手の戦力をダウンさせられる。

 5月と12月には内政ができる。内政といっても単純で、城の防御力を上げるか、投資によって国力を上げるかのいずれかだ。どちらもお金がかかるが、序盤は投資を中心にしたほうがいいだろう。国力が上がれば、1月に雇える兵士数が増える(国力の数値×10人)。

 もっとも、兵士数の上限は10000人なので、国力が1000を超えたらそれ以上投資する必要はない。これも現実に即して考えれば、発展してない地域をそのままにしておくのも気が引けるのだが……。

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