中国のブルジョワジーなコンシューマーゲーム事情(1/3 ページ)

中国のコンシューマーゲーム市場といえば「ファミコンもどき」「100in1カートリッジ」という印象を持っている読者も多いだろうが、現在の中国のゲーム事情は一言で言い表せない面白さもある。日本製ゲームの中国語版がリリースされない苦悩を努力に変えて、中国ヘビーゲーマーはきょうもゲームに明け暮れる。

» 2005年07月04日 12時41分 公開
[山谷剛史,ITmedia]

ファミコン“もどき”だけじゃない!中国テレビゲーム史

 時代は21世紀。中国のテレビゲーム界でもゲーム機の世代交代はちゃんとおきていた。中国本土では、ファミコン、メガドライブ、ゲームボーイ、プレイステーション 、同2、Xboxが市場に普及した。一応、8ビットマシン、16ビットマシン、32ビットマシンと世代交代が起きているのである。

 実をいうと、任天堂やソニーのプレイステーション 2を除き、ソニーの多くの機種、そしてマイクロソフトなどの機種は中国本土で正式に販売されてない。それにもかかわらず、小売店では香港向けの本体が輸入され、また、ソフトも“海賊版”が潤沢に店頭に並んでいる。つまりは、ファミコンからXboxまで、すべてソフトが安易にコピーでき、それがゆえに中国で本体が安価に普及したのである。

 このあたり、中国におけるPC普及の背景にある「ハードに投資さえすれば、ソフトへの投資は微々たるモノ」という状況とまったく同じだ。逆に、スーパーファミコン、ドリームキャストなどでは、海賊版ソフトが出回らなかったために中国のゲーム世代の若者は「本体を見てもそれがなんであるか分からない」ほど、まったく普及していない。「中国でゲーム機を普及させたいなら、コピーが容易なハードを提供せよ」ということか。

上海のとあるゲーム屋。入口正面から食玩やフィギュアだらけ

ファミコンやメガドライブは未だ現役。なぞのソフトも健在。「ラメネハヒ」その内容は不明

鉄騎を買う中国人もいるのか!

「正規版」のゲーム文化が中国でも開花する……か

 このように、これまで海賊品が流通の主役であった中国でも変化が起こり始めている。ここ数年、任天堂とソニーが中国本土で「正規版」を売り始めたのだ。任天堂はiQuePlayer(旧名 神遊機、Nintendo64)を皮切りに、ゲームボーイアドバンス(旧名 小神遊)、ゲームボーイアドバンス SP、ニンテンドーDSを、ソニーは去年よりPlayStaion2を、販売するソフトを絞り、全国数都市で販売を開始した。日中ビジネスのニュースが絶えない昨今、比較的所得の高いリッチ層が多いこれらの都市で売れば儲かる、という考えのもと、正規版の中国販売に踏み切ったのだろう。

 気になる中国での販売価格だが、プレイステーション 2を例にとると、本体が1488元。1元=13.5円換算するとちょうど2万円で日本と同じになる。ソフトは一律168元。日本円で2000円台前半となり、日本よりはだいぶ手ごろに思える。

 が、チャーハン何杯分にあたるか(以下「チャーハン指数」)といえば、1杯5元で食べれるとして、ゲーム1本はチャーハン約33杯分にもなる。日本人の感覚ではソフト1本1万5千円以上ということは、まだまだ一般人には届きそうにない。本体にいたってはチャーハン指数で約300杯、日本人の感覚で15万円といったところか。

 恐ろしくブルジョワジーなおもちゃだが、日本人がモノつくりをしていて、生産コストが「日本の給与体系」に密接に関連している以上、この価格設定はぎりぎりのラインかもしれない。日本のソフトメーカーのお財布どころが厳しいのもよく分かるが、中国においてソフトのリリースが少ないときで月1本。これでは、いくらソフトが優れていても15万円感覚の本体を買いたいと思うユーザーはそういないのではないだろうか?

それでもがんばるゲーム雑誌

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2501/06/news042.jpg ハードオフに1650円で売られていた“まさかの掘り出し物”→修理すると…… 見事な復活劇に「相場が上がってしまうw」
  2. /nl/articles/2501/06/news014.jpg 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら……3年半後、目を疑う結果に大反響 2024年に読まれた植物、家庭菜園記事トップ5
  3. /nl/articles/2501/05/news001.jpg 幼稚園の「名札」を社会人が大量購入→その理由は……斜め上のキュートな活用術に大反響 2024年に読まれた面白記事トップ5
  4. /nl/articles/2501/06/news043.jpg 「こんなおばあちゃん憧れ」 80代女性が1週間分の晩ご飯を作り置き “まねしたくなるレシピ”に感嘆「同じものを繰り返していたので助かる」
  5. /nl/articles/2501/06/news090.jpg 【編み物】10年前祖母が教えてくれた編み物、まさかの作品を生み出して…… 二度見必至の完成品に「信じられない」
  6. /nl/articles/2501/05/news006.jpg 目からウロコな“ビニール袋のたたみ方”が100万再生 超便利な“裏技”に「こっちの方が絶対いい」
  7. /nl/articles/2501/05/news033.jpg 「昔はモテた」と話す母→全然信じていない息子だったが…… 当時の“異彩を放つ姿”に驚き「わぁ!」「とても魅力的」【海外】
  8. /nl/articles/2412/27/news137.jpg 男性に「きみの友だちを紹介してよ」と言われてきた女性、40キロの減量に成功し…… 人生激変した姿が120万再生「自信がついてさらに輝いている!」【独】
  9. /nl/articles/2501/06/news046.jpg 北海道の用水路で“巨大な外来魚”を捕獲→さばいてみると…… 中から出てきた“ヤバすぎる物体”に大興奮「ずっと釘付け」
  10. /nl/articles/2501/05/news015.jpg 【編み物】白と黒の毛糸をひたすら編んでいくと…… “あの人気キャラ”の完成に「あなたは魔法使いですか?」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 東京美容外科、“不適切投稿”した院長の「解任」を発表 「組織体制の強化に努めてまいる所存」
  2. 大谷翔平、妻・真美子さん妊娠公表→エコー写真に“まさかの勘違い” 「デコピン妊娠?」「どう見てもデコピンで草」
  3. 「すごい漢字!」 YouTuberゆたぼん、運転免許証公開 「本名の漢字」に衝撃の声続々
  4. 「麻央さんにそっくり……」 市川團十郎の11歳息子・勸玄の成長ぶりに驚きの声 「大きくなってる!」「すでに貫禄がある」
  5. チェジュ航空社長、日本語で謝罪 犠牲者は170人以上との報道 公式サイトは通常のオレンジからブラックに
  6. 「スマホ入荷しました」 ハードオフ店舗がお知らせ→まさかの正体に大横転 「草しか生えない」
  7. 母「昔は数十人もの男性の誘いを断った」→娘は信じられなかったが…… 当時の“想像を超える姿”が2800万再生「これは驚いた」【海外】
  8. 毛糸で作ったお花を200個つなげると…… “圧巻の防寒アイテム”完成に「なにこれ作りたい……!!」「美しすぎる!」と100万再生【海外】
  9. 「思わず泣きそう」 シャトレーゼの“129円クリスマスケーキ”に衝撃 「すごすぎない!?」「このご時世に……」
  10. 「デコピンを抱き寄せたのはもしかして」 妻・真美子さん第1子妊娠発表で大谷翔平の発言と行動に再注目 「“もう帰る?”は気遣っていたのかも」
先月の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  3. 東京美容外科、“不適切投稿”した院長の「解任」を発表 「組織体制の強化に努めてまいる所存」
  4. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  5. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  6. イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
  7. 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
  8. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  9. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  10. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」