戦乱の火星に100年の平和を、戦え“絢爛舞踏”!……え、戦わなくてもいいの?(2/2 ページ)

» 2005年07月13日 16時34分 公開
[鷲尾トモノリ,ITmedia]
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ヤガミ・ソウイチローは健康になれるか?

 では、たとえばどんなプレイができるのか、ちょっと考えてみた。まずは、何か目標を持つことが重要だ。頭に思い浮かんだのは、ヤガミ君のことである。

 ヤガミ君……ヤガミ・ソウイチローは、プレーヤーキャラクターが最初に出会う人物であり、「夜明けの船」の飛行長(パイロットの指揮を執る役職)をやっている真面目な好青年(?)なのだが、その真面目な性格がたたってか、疲労ですぐ倒れる。

 1日1回倒れるのが日課なのではないかというくらい、しょっちゅう倒れては、医務室に運ばれる。会話して“休息をとれ”、“医務室へ行け”と言っても、なかなか言うことをきかないし、このままでは過労死するのではないかと心配になるキャラクターだ。

 そこで、“ヤガミ君の過労死を防ごう!”という目標を掲げてみることにする(もちろん、実際に過労死したりはしない……多分)。

photo クルーのステータスは、いつでも自由に確認できる。これは、飛行長・ヤガミ君のステータス。「疲労度96%」が光ってます

 では、具体的に何をすればいいのだろうか? いろいろ考えた結果、思いついたのが、“ヤガミ君を閑職に回す”という手段である。いっそ無職にしてもいいのだが、プライドの高そうなヤガミ君にそれは辛かろうということで、この案に決定。

 実際、現在の飛行長という仕事が、そんなに忙しいものなのかどうかもよくわからないので、まずはその辺も兼ねたリサーチが必要だ。ゲームのマニュアルをチェックしつつ、他の役職のキャラクターの仕事ぶりなどを観察。場合によっては自分もその仕事を手伝ってみて、ヒマさ加減を計る。

 また、ヤガミ君を今の地位から引きずり下ろすには、「威信点」という、「夜明けの船」での影響力を示すポイントを、ヤガミ君以上に高める必要がある。一番手っ取り早く点を稼げるのはおそらく戦闘だが、戦闘が苦手という場合には、“閑職リサーチ”と同時に、自分が効率よく稼ぐための仕事も見つけておく必要があるだろう。

 もちろん、そうした活動と平行し、少しでもヤガミ君に言うことを聞いてもらえるように、彼との友情(愛情)をはぐくむことも忘れてはならない。果たして、ヤガミ君に健康的な日々をもたらすことはできるのだろうか?

 現在、まだヤガミ君の過労死を防ぐ目標は継続中だが、こういった100年の平和とはほど遠いプレイも、きっと楽しい……ハズだ。

photo 威信点さえあれば、人事の変更は簡単に行うことができる。もちろん、自分の役職も変えられるので、相応のポイントがあれば、艦長にだってなれる

破壊と殺戮は、来るべき平和のために

 なお、当然ながら一応の本筋である「火星100年の平和」に向けて、殺戮の英雄「絢爛舞踏」としての戦いを続けていくこともできる。その場合、なんといっても楽しいのが、人型機動兵器「ラウンドバックラー(RB)」に乗っての戦闘だ。

photo 「第一種戦闘配置」が発令されたら、パイロットは急いで第2ハンガーへ行き、愛機に搭乗、出撃するべし。出撃しなかったり、他の機体を使うこともできる

 そして、このゲームの戦闘は、これまでのどんなゲームの戦闘システムと比べても、一風、というか相当変わっている。「トポロジー戦闘」と銘打たれたこのシステムは、これまた何とも説明が難しい。

 簡単に説明を行うと「進度」、「機動」、「速度」の3つの要素で構成された六角形のレーダーを見ながら、自機と目標との相対的な位置や動きを近づけていき、攻撃のタイミングを計っていく、というものになる。

photo これが「トポロジーレーダー」を中心とした戦闘画面。攻撃命中時などには、背景に機体のグラフィックが流れる

 これの何が面白いかというと、1つは“イメージの喚起”。敵に接近する、敵の動きに追随するといった、移動プロセスのもどかしさや、前のターンに発射した魚雷が、少しずつ標的に迫っていく緊張感などが、なんとも水中戦らしさを醸し出しているのだ(ビジュアル的な補強も、もう少し欲しかった気はするが)。

 そしてもう1つが、チェスや囲碁のような、限られたパターンの中での“読み”の面白さである。敵が船舶などの低機動力の標的の場合は比較的楽に捉えることができるが、RBなどの高機動兵器が相手だと、相手の三角形のパターンの変化が激しくなり、簡単に動きを合わせられなくなる。

 そこで前ターンの相手の動きから、次に行える動きのパターンを類推したり、それに追随するためには、自分の動きをどういった順番にすればいいのか、といったことを考え、“詰めて”いくのだ。

 撃墜数は「火星100年の平和」を達成するための大きな要素となる。そのためには、キャラクターだけではなく、プレーヤーの腕を磨くことも必要なのだ。

photo 「100年の平和」にどれだけ近づいているかは、とある部屋へ行くことで簡単に確認できる。理想と現実のギャップにくじけることなくがんばろう

来たれ、まだ見ぬ「絢爛舞踏」の戦士たち

 さて、これまで絢爛舞踏祭の“説明の難しさ”や“自由度の高さ”について述べ、楽しむには“プレーヤーの独創性が必要”であることを並べてきた。

 そして、本作の作り手であるゲームデザイナー・芝村裕吏氏も、その点に関してはアルファシステムの公式サイト上で、「ゲームが人間様にあわせるのではなくて、人間がゲームに適応する、これはそういうゲームです」とコンセプトを明言している。

photo なんと、プレイしていなくても、ゲーム内時間は進んでいる。その間の出来事などは、プレイ再開時に知らされるが、なんとなくゲームを中断しづらいかも?

 しかし、プレイしてみて思ったのは、実はそんなに敷居の高いゲームではないのではないか、ということだ。確かに説明は難しいタイトルではある。だが、自由度の高さは、プレーヤーをバーチャルな別世界へと導いてくれるし、独自に行動するNPCたちとの交流は、他のことを失念してのめりこんでしまうほどに楽しく新鮮だ。結局のところ、このソフトの中に構築されている小さな世界自体が、この上なく魅力的なのだと言えるだろう。

 アルファシステム作品のディープな世界観などカケラも知らない人や、「絢爛舞踏」となって世界を救う気などさらさらない人にこそ、この作品を是非ともプレイしてもらいたい。そこには、まさに自分だけの未知の世界が待っているはずだ。

絢爛舞踏祭
対応機種プレイステーション 2
メーカーSCEJ
ジャンルリアルタイム・ドラマシミュレーション
発売日発売中(2005年7月7日)
価格7140円(税込)
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