女の子だらけの「ハガレン」祭!? 劇場版「鋼の錬金術師 シャンバラを征く者」公開記念トークショー(2/2 ページ)
それではここから劇場版映画の裏側に迫る
―― 劇場版の台本を読んでいかがでしたか?
朴 劇場版はテレビシリーズのエンディングから2年が経過しているという設定なんですが、現実世界ですごしたエドの2年間の辛さを思うと涙が出そうになりましたね。テレビシリーズのときは後ろを振り返る余裕すらもない激動の中にいた。でも劇場版では、たったひとりでドイツに飛ばされて、元の世界に帰ろうという努力はしているんだけど、実際には帰れないまま時間だけが流れていく。戦いもなく平和な分、現実世界のほうが辛かったはず。ゆっくり時間が流れれば流れるほど、焦りが生まれていたはずですから。
水島 劇場版のエドは、登場の時点ですでに暗いからね。
朴 暗くて、達観している感じもありましたよね。浮遊感があるというか。そのあたりを表現するのが非常に苦労しました。テレビシリーズの元気がいいエドは、多少表現が難しい場面でもお腹から声を出し叫ぶっていうのが前提にあったんですけど、劇場版の場合、その声ではあわない。そんな状態でエドの声をあてるというのが初めてでしたからね。かなり苦労も努力もしたので、そのあたりをぜひ見ていただきたいですね。
水島 朴さんのダメ出しはひと味違うからね。「朴さんカッコ良すぎます」って。
―― そんなダメ出しがあるんですか?
朴 これがムカつくダメなんですよ。「カッコ良すぎます。ヒーローじゃないんで」だって。
水島 だってヒーローじゃないんだもん。
朴 ヒーローに聞こえちゃってごめんね!!
水島 でも、こちらの要求するものも水準が高いですからね。テレビでは何週間も時間をかけてキャラの性格や感情が動いていくんですけど、映画では1時間40分くらいの間にさまざまな変化を見せる。だからすごく密度が高いんですよ。それに、テレビシリーズでは描くはずの場面も、時間的な都合もあって映画では飛ばしてしまったりしますから。物語の段階を踏む回数が少ない分、変化が急だったりするんですね。だから表現をする側もすごく大変だったと思いますよ。でも、役者の方々は非常によく頑張ってくれまして。映画の中ではこう描きたいというのを理解しながら演じてくれたので、すごくいいものができていると思います。テレビシリーズ以上の「役者力」がこのフィルムを支えてくれているんです。本当はセリフひとつひとつをじっくりと聞いていただきたいですが、映画ではあっという間に過ぎていってしまうのが少し残念ですね。
朴 テレビシリーズではプロセスを踏みながら演技できたんです。1〜2話あたりで、「ハガレン」の世界観をどーんと打ち出して、3話から幼少期を描くというような運びなんですよ。でも劇場版ではそういったものがまったくないし、シーンの変化も激しい。演じるほうとしては感情をどう見せるのかということに神経を使いましたね。だけど、劇場版は非常にいいテンポで進行するので、その点では気持ちよく演じることができました。
水島 ドラマと比べて時間が少ない映画では、間の説明や物語を飛ばしながら描くという構成は当たり前なところもあるんです。でも、今回は制作途中に「もう少し時間が欲しいな」と何度も思いましたね。
朴 劇場版をテレビシリーズにしたら、1クールか2クールはいけますよね。それぐらいに密度があって、すっごい見ごたえがありますよ。
―― お客さんに、こういうところを見ていただきたいというのはありますか?
水島 劇場版に関しては、何度か見ていただくというのが理想ですね。
朴 1回目でももちろん感動や発見はしていただけると思いますし、何とも言えないテンションを感じていただけるはずです。でも、少し謎が残るかもしれない。実は、その謎の答えっていうのは作中で描かれていないものもあるんです。でも、しっかり見ていただければ、想像できるような形にはなっているので、そのあたりを感じて欲しいんです。そして、それらの謎や、さっきお話にも出たような演者の表現の変化など、すべてを理解したうえで見ていただければ、より深い感動をしていただけるんじゃないかと思います。
―― 歴史への興味も引かれるような内容ですよね。
水島 舞台となっている1923年の11月ミュンヘンというのは、歴史的にも非常に大きな事件のあった年です。歴史的に実在する人物なども登場しますので、そのあたりを勉強してから見ていただければ、本当の意味での本作の物語を楽しんでいただけると思います。
朴 私はこの劇場版でエドを演じるにあたって、「ファンのみんなの代表者」という気持ちをすごく感じていました。というのも、この作品は客観的に見て「こんなお話だったんだ〜」と感じていただくよりも、エドを通じて「ハガレン」の世界に飛び込んでいただいて、一緒に感じて、ときには心を痛めて、この世界を感じ取ってほしいと思ったんです。
水島 今回の映画のテーマのひとつに、世の中と個人のつながりというものがあるんです。自分たちが生活しているこの世界というのは、いろいろな事件や出来事を経て成り立っている。それをエドの視点から感じていただければ嬉しいですね。
―― 劇場版の見どころを教えていただけますでしょうか?
朴 う〜ん、全部が見どころなんですけどね。でも、そのひとつとして、エドとアルが再会できたかのようなシーンが心に残っています。
―― できたかのような? 意味深ですね。
水島 その場面からアルの泣き笑いのようなシーンまでは、本当にいいシーンだよね。アル役の釘宮さんが素晴らしいんだよ。
朴 監督は釘宮&アル萌えなんですよね。でもたしかに、劇場版のアルは鎧姿ではないんだけど、これがまたカワイイ!! 抱きしめたい!!
水島 エドやロイと比べると、鎧アルはイマイチ人気が及ばないので、鎧アル好きの自分としては、どうしたら人気を上げられるのかと悩んだわけですよ。
朴 体系が似ていますからね。(監督のお腹を指さし)ここが賢者の石ですか? 赤く光りそうですよね(笑)。
劇場版のトークで盛り上がったあとは、お客さんへのサプライズ企画。朴さんのサインが当たるジャンケンゲームが行われた。朴さんが手を出すごとに、悲喜こもごもの喚声が。最終的に勝ち残った5名のお客さんに、拍手のなか朴さんからサインが手渡された。そして、大盛り上がりのうちにトークライブは終了となるのだった。
水島 いろいろな人の思いが詰まった素敵な映画が出来上がったと思います。ぜひ見てください。よろしくお願いします。
朴 さきほど監督自身の口から、次回作の話が出て、私自身もとても驚いています。でも改めてまた次を作りたい、続きが見て見たいという気持ちにさせてくれる作品なんだなと実感しました。この作品は人の生死から、喜びや悲しみまでいろいろなことを考えさせてくれると思います。ぜひ劇場まで足を運んでいただいて、大きなスクリーンからいろいろなものを感じてみてください。
- 「劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者」
- 7月23日(土) 全国松竹・東急系で公開
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ふたりの仲のよさはトークの端々からも伺えた。あまりの仲のよさに、ときにはこんな一幕も
朴さんの手に会場全体が一喜一憂。ジャンケンゲームは大盛り上がりとなった