あの「HORI」がオリジナルスティックを製作――加熱するEVO2005 チャレンジ:昔の名前で出てみます「EVO2005 チャレンジ」(2/2 ページ)
ストッキング松井が「ホリ」にオリジナルジョイスティック制作を依頼してみました
台風が直撃するかも! と言われていた日の午後、筆者はホリにお邪魔していた。「EVO2005で使用するジョイスティックを作って!」とおねだりするためだ。ホリは、ファミコン時代の名プロダクツ「ホリコマンダー」をはじめとした家庭用ゲーム周辺機器を手がける老舗メーカー。
通常型のコントローラー、ジョイスティック、ポータブルゲームケース、メモリーカードケースなどの一般的なアイテムから、スライム型コントローラー、日本刀型コントローラーなど、遊び心のあるプロダクツまで、「ゲーム」をキーワードに様々なプロダクツを展開している。近年では、新しい周辺機器の形としてペリボーグの展開を予定している。
家庭用ゲームで格闘ゲーム、あるいはシューティングゲームをプレイするために一番必要なものは「アーケードと変わらない感覚でプレイできるジョイスティック」の存在である、と思っている筆者は、鉄拳3をプレイするために初めてプレイステーションを購入したときから、ホリ(当時はホリ電機)のスティックを使用している。その後PS→PS2→PSXと本体は変わってはいったものの、ボタンひとつ壊れないまま、今も我が家でゴリゴリと様々なプレイヤーたちに使い倒されている。
今回、お話を伺ったのは、今年の1月に発売され、税込で1万円を超える価格にもかかわらずあっという間に完売し、多くのゲーマーが再販を待ちわびているジョイスティック「リアルアーケード Pro Special Edition/Addition」を担当された土屋さんと大神さん。まずは、ホリのジョイスティックに関するお話をいろいろとお伺いしてみた。
アーケードとコンシューマの距離を縮めるために「リアルアーケードPRO.」開発秘話
―― リアルアーケードPRO.は非常に人気が高いですね。
大神氏 おかげさまで、リアルアーケードPRO.はもちろん、限定版として発売した「〜SPECIAL Addition/Edition」、「鉄拳5スティック」「カプコンファイティングジャムスティック」もあっという間に完売致しまして、ユーザーの皆様からも好評を頂いております。
土屋氏 リアルアーケードPROで使用されているボタンは、実はアーケードよりも耐久性が5倍くらい高いです。価格も3倍以上違うものを使用しています。アーケードのものとの違いは、スイッチの耐久性と微妙なタッチの違いですね。リアルアーケードPROのものは500万回の耐久テストをクリアしています。
―― リアルアーケードPRO.とその後の製品では、天板のカラーが変わりましたが。
土屋氏 これは今までにない高級感を出すためにやったんですが、すごく気に入って頂けた方もいるんですけれども、嫌いな方もいらっしゃったんです。プレイ中に脂がつくというのもあるんですが、自分が写るのが嫌だ、と。これで私は差別化が出来ると思ったんですが……大神氏:それで、「〜SPECIAL Addition/Edition」以降はシルバーにしたんですが、それによる批判はなかったですね。
―― ホリさんのスティックの天板にはいろいろなパターンがあります。
土屋氏 プレイステーション2版の「鉄拳4スティック」以降、材質を変えたんですよ。それまでは鉄板の上にステッカーを貼ったり、印字したりしていたんですが、どうしてもはがれてしまうので、今の形になりました。それまでの質感も好きなんですが、今のものはほとんど傷がつかないですね。
―― リアルアーケードPRO.シリーズですが、並べてみると微妙にボタンの位置、配列が異なっていますね。
土屋氏 はい。セガさんのアーケード筐体のアストロ筐体タイプ、鉄拳5の純正筐体のタイプ、弊社独自配列のものがあります。
大神氏 ボタンの配列についても、現在発売されている格闘ゲームのデフォルトのボタン配列でそのままゲームをプレイできるようにするために統計をとりまして、現行のものになりました。ですので、制作発表時からボタンの配列は変更されています。
実は、この配列変更についてはちょっとした秘話がありまして。変更に伴って製品パッケージのイラストも変えたんですが、側面部分のイラストだけ直すのを忘れてしまいまして。ホームページ上で経緯の説明までしたんですが……(苦笑)。
ホリさんにおねだり「ストッキング松井オリジナルモデル」を作ってくれますか?
さて、今回の目的は「EVO2005で使用するオリジナルスティック」の制作をお願いすること。お話を伺いながらも、おそるおそる持ちかけてみると「いいですよ!」と笑顔で快諾していただけた。
こちら側からお願いした要素は「スティック・ボタン部分のパーツを入れ替え可能にしてほしい」という点と「オリジナルの天板」の2つ。ボタンの配列は鉄拳トーナメントで使用できるよう、「鉄拳5スティック」をそのまま使用して頂くことにした。
完成までにやや時間がかかるため、今回はお見せすることができないが、結果報告と一緒にご覧いただけることと思う。しかし、その後に大神氏の笑顔とともに放たれた「ただし優勝できなかったら制作費を松井さんが持ってくださいね!」というセリフに少し青ざめる筆者であった。
と、いうわけで、ラスベガスへ行ってきます
今回行った、ハメコ。氏へのインタビューの席で印象的だったのが、筆者の「格闘ゲームで強くなるためには何が必要だと考えますか?」という問いに対しての回答。
氏は「環境が一番大事だと思います。それは、一緒にプレイする人たち、プレイする時間、それからお金も含めて」と答えた。そして「あきらめないで練習しよう、とかそういった精神論的なものは、当然持っているべきものであって、その上で環境を作り出すことですね。センスだけじゃ勝つのは難しいでしょう」と続く。
現在のアーケードシーンで、「環境」をいかに整えるのか、そこが大きな課題になるのかもしれない。
連載第2回は出発間際のあわただしい中でのアップとなったが、次回はイベントのレポートを掲載する予定。海外での大規模なトーナメントとあって試合が始まる前どころか、渡航前から緊張をしている状態ではあるものの、現在の自分の腕で行けるところまで行ってみたい。
ロートルプレイヤーは現役の壁を打ち破ることができるのか? 乞うご期待。
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