とことんハジけろ、世界の平和は狂騒のカーニバルの先にある(2/3 ページ)
格段に深みを増したコンボシステム
本作はシステム面では、シリーズ伝統のジャッジメントリングを継承している。その用い方も変化なく、回転するバーを所定の回数ヒットエリアにヒットさせることで、各種の判定を行う。SHやSH2の経験者ならば、マニュアルを読む必要などまったくないだろう。
その中で、前作から大きく変化したのがコンボシステムだ。味方キャラクターが連続して行動する、という概念は同じだが、その方法が変更され、戦闘における重要度も増しているのである。
戦闘中に敵を攻撃したり、逆に攻撃を受けたりすると、「ストックゲージ」と呼ばれるゲージが溜まっていく。これが最大値に達すると「ストック」が1つ増える。コンボ攻撃は、このストックを消費して行うのである。
たとえば、敵味方の行動順が、以下のようになっているとしよう(A〜D=味方/a〜c=敵)。
A→B→C→D→a→b→c→A→B→C
ここで問題なのは、味方4人が行動をした後、敵3人が行動することだ。敵に行動順が回る前に全滅させられれば問題はないが、現実にはそうしたことは滅多にない。集中攻撃すれば1体は倒せるだろうが、2体倒せるかは微妙なところ、というバランスなのだ。
このとき、味方Dのキャラクターがストックを持っていれば、コンボ攻撃を選択することで、敵aが行動する前に任意の味方を行動させることができる。
また、仮に味方Cにコンボを繋いだとしよう。このとき、Cもストックを持っていれば、さらに任意の味方に行動を回すことできる。従って、もしA〜Dの全員がストックを持っていれば、規定の行動を1回ずつ終えた後で、もう一巡行動ができることになるのだ。コンボが使えないと、味方Dの行動が終わったところで、敵aに行動が移ってしまうのだから、効果絶大だと言えるだろう。
特にボス戦などの強敵の場合、敵に先んじて、しかも複数回動けることは極めて重要だ。ストックは最大で2つまで溜めることができるので、ボス戦が近づいたら、ザコと戦ってストックゲージを2本分溜め、決戦に臨む、という戦術が可能になる。こうすれば、敵が行動を起こす前に最大で味方全員が3回行動できることになる。それがどれほど戦局に影響するか、改めて言うまでもないだろう。
なお、敵もストックゲージを持っている。だから前述の例で、もし敵a〜cがすべてストックを持っていたとして、1度でも敵に行動を回してしまうと、甚大な損害を被る可能性が大きい。敵のストックゲージを減少させる攻撃もあるので、状況次第では、そうした手段を駆使するのも大切になってくる。
ストックゲージはコンボ以外にも「ダブルアタック」にも使用できる。これは、同じキャラクターが2回連続して行動することで、防御魔法をかけてから攻撃する、ステータスアップの魔法をかけてから攻撃する、負傷を回復してから反撃するなど、さまざまなコンビネーションを可能にしている。
ダブルアタックの中でも効果が大きいのが攻撃魔法だ。本作ではすべての敵は光、闇、火、水、地、風、無の7属性のいずれかに属するのだが、この中にはたとえば光と闇のように、相互に対立している属性がある。光属性の敵に闇属性の攻撃を放つと、ダメージが増加するのだ。
そこでダブルアタックを使えば、敵が苦手な属性の魔法を立て続けに打ち込むといった戦術も立てられる。ただし、これを行うと次のターンが回るのが若干遅くなる。速攻で勝負をつけにいくか、長期戦に備えるかもプレーヤーの判断次第というわけなのだ。
そして、ストックが2本分溜まっていれば、それをすべて消費して「ダブルコンボ」を選択することもできる。これは1ターン内に2回行動し、かつ任意の味方に行動順を回すというコマンドだ。ストックが2本いるため、そう連発はできないが、ここぞという勝負どころで重宝する。
本作の戦闘は、いかに味方が行動を続けるかにかかっている。ちょっとした入力ミスで敵に行動順を渡してしまうと、そこからコンボ炸裂で大ダメージ、という目も当たられない結果が起こりうるのだ。それだけに戦闘の緊張感は高い。プレイ時間の大半が戦闘に割かれるRPGにおいて、これは非常に重要なことだと言えるだろう。
もっとも、毎度毎度、そんな緊張感溢れる戦闘をするのはしんどい、と思う人もいるかもしれない。たしかにその意見には一理あるが、本作はその点をフォローするより、戦闘を楽しむことを重視している。
その代わり、物語の進行速度と必要なレベルとのバランスはよく取れていて、いたずらに経験値稼ぎなどをする必要はない。ダンジョンではオートマップも完備されているので、効率のいい探索を続けていけば、サクサクとゲームを進めていけるのである。
戦闘システムに関する限り、本作は間違いなく、シリーズの最高峰と言えるだろう。歯ごたえのある戦闘を通してキャラクターをレベルアップさせるという、RPGの根源にして最大の楽しみを十分に堪能させてくれる作品に仕上がっているのだ。
個性的などという言葉では甘すぎる強烈なキャラクターたち
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