次世代CodeWarriorは統合開発環境を目指す:CEDEC 2005リポート
「CEDEC 2005」で行われたメトロワークスのセッションでは、「次世代機に向けたゲーム開発体制の構築と最新のCodeWarriorテクノロジ」と題したセミナーが行われ、次世代機での開発環境に関して考察するとともに、今後のCodeWarriorテクノロジーについて紹介された。
セッションの冒頭、「次世代コンソール開発環境に関する考察」と題して登壇したのは、Blue Shift Technologyの岡本伸一氏。かつてはソニー・コンピュータエンタテインメントに在籍し、プレイステーション、プレイステーション 2の開発に携わった方だ。現在は研究開発コンサルタント業を開業し、企業の相談役、顧問を務めている。
岡本氏は、「次世代コンソールについて共通する最大の新機能はHD映像」と語る。HD映像がなぜ重要かというと、静止画でも、雑誌の印刷物でも一目で違いが分かることだ。デジタル家電ブームのためもあってか、ユーザーの認知度も高い。作り手の側にとっても、すべてをHD化しなくても、たとえばムービーのみとか、メニューだけあるとか、応用範囲は広く、どのようなタイトルでも活用でるのがポイントだ。
ただし、HD映像の問題点は、可変フレームレート・可変ピクセル数にあるという。各ハードメーカーの仕様が詳しく公開されていない現状ではあるが、現在のところから判断しても、最大解像度が指定されている以外は自由になっていることが多いようだ。しかしこの状態では、テレビによっては正しくゲーム画面が表示されない可能性もあるうえ、ソフトウェア側で、ユーザーの環境に合わせたコンバージョンが必要となる可能性もある、と岡本氏。
また、解像度が高くなると、クローズアップ時の品質要求が高まることになり、制作人員の増加や、プロセスの複雑化が考えられる。このためノーマルマップ系テクニックでの対応が必要であり、ノーマルマップ作成ツールや制作パイプラインの効率化、アセット管理の強化が必要であるし、表示可能なオブジェクトが増加するとその相互作用も増え、これを同効率的に管理するかが大事になる、と岡本氏は語る。
制作パイプラインの管理体制として、岡本氏は「フロントローディング」の重要性を説く。フロントローディングとは、トヨタ自動車の製品開発体制における特徴だ。問題点を設計の早期段階でつぶし、初期段階から品質を向上させる仕組みを、現場レベルで徹底させることで、生産性を上げていく仕組みのことを言う。
「以前はゲームシステムやアイディアをどう実現するか、ということが大事であったが、今後は役割を確定させ、制作チームが本格的に稼働する前に技術用件を確定させてスタートすることが重要だ。でもこれはとても大変なこと。」(岡本氏)
そこで岡本氏は、効率のよい自動化環境を導入するためにも、統合的なミドルウェアが必要であるとし、全部を自分で、社内でやるのは無理であり、“Let's invent here”や“not invent here”といった発想ではサバイバルできない」と語った。
引き続き登壇した、メトロワークス応用技術部 部長の大嶋浩司氏は、現行アーキテクチャのCodeWarriorについてまず解説しながら、次世代のCodeWarriorをデモにて紹介した。
大嶋氏は、CodeWarriorはゲームプログラミングの場では十分に活用されているが、次世代機では開発環境が複雑になり、扱うデータ量も膨大になっていると指摘。このため、開発ツールはゲーム開発全体のフローをカバーすることにより、効率化を図る必要があると語る。そこでには、自社だけでなく、サードパーティとの連携も重要になってくる。
このため、次世代のCodeWarriorでは守備範囲を広げ、プログラミングツールからゲーム開発全体を視野に入れることにしたとのこと。次世代のCodeWarriorは「Arrakis」というコードネーム。Arrakisはシェル、パッケージ、フレームのアーキテクチャで構成され、パッケージ単位で機能追加ができるほか、自社開発やサードパーティで作成されたパッケージも、Arrakisに統合できるようになるという。
このため、ArrakisのSDKドキュメントの整備と公開を考えているそうだ。「Arrakisでの開発を加速させるためにも、部分的にはフリーで、一部はライセンスが必要、という形でSDKを公開する。ロゴプログラムなども検討している」と大嶋氏。COLLADAのビュワーをインテグレーションした画面を紹介しながら、将来的にはメトロワークスのフレームワークの元で、ゲーム開発を完結させるのが目的である、とした。
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岡本伸一氏
メトロワークス応用技術部 部長 大嶋浩司氏
ワークフローの全体をカバーする
将来的にはすべての開発フローを統合する“開発環境フレームワーク”を目指している