フリー宣言!? 最後の野望は“たったひとりきりで世界を相手にする”こと――広井王子氏トークショウGames Japan Festa 2005 in OSAKA

マイドームおおさかにて開催されている新作ソフトの試遊イベント「Games Japan Festa 2005 in OSAKA」。先の記事でもお伝えしたように、1日目の最後のステージイベントは、レッド・エンタテインメントの広井王子氏のトークショウが行われた。

» 2005年11月13日 01時55分 公開
[遠藤学,ITmedia]

 2005年11月12日と13日の2日間にわたり、マイドームおおさかにて開催されている、日本テレビゲーム商業組合主催による新作ソフトの試遊イベント「Games Japan Festa 2005 in OSAKA」。先の記事でもお伝えしたように、1日目の最後のステージイベントは、レッド・エンタテインメント代表取締役会長である広井王子氏のトークショウが行われた。

 本トークショウのテーマは、「天外魔境」や「サクラ大戦」など、数々のヒット作を生み出してきた広井氏ならではのもので、ずばり“企画者とは日々、どんなことを考えながら過ごしているのか?”というもの。

 登場した広井氏はまず、企画がわいてくる秘訣について「思いつくんですよ。面白がって生きているから思いつくのかな。病気したり、ケガしたりといったことが面白い。前に転んだ時に、マンホールだけが濡れていることに気付いたことがあった。転んで痛いんだけど、それよりも“何でマンホールだけ濡れてるの? 誰かが水をまいたのかな?”とか考えちゃう。そういうことが楽しいし、そういうことから何かが生まれるんだと思う」とコメント。

photo レッド・エンタテインメント代表取締役会長 広井王子氏

 一般人ではなかなかそうはいかないのですが、との突っ込みを受けると「嘘でもいいから、無理矢理前向きに生きたほうがいい。ため息ついたり、誰かの悪口ばかり言っていると病気になる。そうじゃなくて前向きに、次から次へと起こることを楽しみながら生きていれば、体も健康になってくるから」と語るなど、広井節がさく裂していた。

 また、広井氏といえば「メディアミックス」というキーワードも出てくるが、こういった手法を取り入れたことについては「それは簡単ですよ。ゲームだと堀井雄二さんや鈴木裕さん、いろんな方がいて負けちゃうから(笑)。同じように小説でもすごい人がたくさんいて負けちゃう。でも、全部やれる人はなかなかいなくて、だから全部やれば勝てるかもしれないと思ったんです」と、その理由を語ってくれた。

 なお、広井氏のデビュー作はアニメ「魔神英雄伝ワタル」となるが、当時こだわった点として「敵が最後まで分かっている」と「ゲーム的である」の2点を挙げる。ゲームでのデビューは「天外魔境」だが、なぜ日本のテイストを多分に含んだタイトルにしたかについては「消去法ですよ。『円卓の騎士物語』、つまり当時は“剣と魔法の物語”が中心だった。だから自分が出る場所がなくて……。でも、良く考えてみると日本もファンタジーの宝庫だということに気付いた。『古事記』とかね」とコメント。

 続けて「それにこれなら勝てると思った。日本が『円卓の騎士物語』風のゲームを作っても、ヨーロッパ(キリスト教圏)の人たちには負けちゃう。だって、彼らは生活の中に(その雰囲気)があるんだもん。でも、僕らは神社ならお正月に行くし、日本に根付いたものでゲームを作れば、世界中のどこでインタビューを受けたとしても答えられると思った」と語ってくれた。

photo ステージイベントの最後、さらには広井氏のトークショウとあって、多くのファンが集まっていた

 「天外魔境」の次に出てくるのは、やはり「サクラ大戦」。こちらについても広井氏は「『サクラ大戦』は当時で言えば、本当にまれなケースでした。セガさんという大手メーカーが、僕のような外部の人間を総合プロデューサーとして全権利を委ねてくれた。ただ、初めは浮かれていただけだったけど、チームスタッフの運命も背負わなければならないと気付いた時に、何て重い権利なんだろうって……。本当に大変でした」と当時の思い出を交えてつつ語る。

 何度も途中で投げ出したいと考えたという広井氏だが、それを踏みとどまらせたのは一重に「お客さんの声援」とのこと。「サクラ大戦」で直接的にファンの顔を見ることができるイベントとしては舞台「サクラ大戦 歌謡ショウ」があるが「“頑張れ”とか“応援してるよ”という声ももちろん、舞台が終わった後に、皆さんが楽しそうな顔をして帰っていくのを見ると“よし、頑張ろう!”と思う。ただこれは、この業界に入ったのであれば、みんながそう思わなければならないじゃないかな」とコメントしていたのが印象深かった。

photo 「最初の『サクラ大戦 歌謡ショウ』公演時には、厚生年金会館が揺れた。あれは絶対に忘れることはない」と語る広井氏

 ちなみに、多忙な広井氏には休みはあるのかとの質問には「毎日休み」と意外な解答が返される。理由としては「好きなことをやっているし、会社を自分で作ったから毎日休み。そういう風に考えていますね」とのことだった。

 なお、広井氏の最新作はテレビ愛知発テレビ東京系ほか全国ネットで放送予定の特撮ヒーロー作品「魔弾戦記リュウケンドー」であることも同ステージにて発表されている。作品の内容については、広井氏いわく「基本的には『ワタル』と『サクラ大戦』と『天外魔境』を混ぜて、ガラガラガラッとミックスしたものです(笑)」とのことなので、それぞれの作品のファンは、どんな部分がフィーチャーされているのか、チェックしてみるのも面白いかもしれない。

photo 「魔弾戦記リュウケンドー」は関東地区で2006年1月8日からスタート。毎週日曜日午前7時から放映されるとのことだ

 約30分という短い時間ではあったが、トークショウの最後には、来年の目標について聞かれた広井氏から「会社をやめてフリーになろうかな。そのほうが思い切っていろんなことができそうな気がする。それが自分の最後の野望で夢だね。たったひとりきりで世界を相手にする。それをやってみたい」という衝撃的なコメントも飛び出す。

 ここ最近、大物クリエイターの独立が目立っているだけに、あながち冗談にも聞こえないところが怖いところだが、広井氏の動向は今後も注目したほうが良いかもしれない。いずれにせよ、集まった来場者には十分満足のいくトークを展開してくれた広井氏であった。

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