奇想天外な忍たちがシノギを削る、ヘビメタチックな戦国絵巻「忍道 戒」レビュー(4/4 ページ)

» 2005年11月16日 18時10分 公開
[水野隆志,ITmedia]
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大名家の未来を決める「ハラキリエンジン」

 主人公が受けることになる依頼は、すべて次の3つの大名家のいずれかから発せられる。元飛鳥忍者の主だった「一条家」。隣国の主で、金にものを言わせ宇高多を統一せんともくろむ「赤目家」。そして、厳密に言えば大名ではないが、それに勝るとも劣らぬ影響力を持つ宗教組織「阿無璃他教」だ。

 さまざまな依頼は、すべて依頼主の利害に直結している。例えば、一条家の“最新式武器の設計図を盗み出せ”という依頼を果たせば、一条家の武装はアップする。赤目家の“侍大将の暗殺しろ”という依頼を成功させれば、赤目家の軍事力は低下し、相対的に一条家と阿無璃他教の戦力は上昇する。このように忍道 戒では、プレーヤーの行動がそのまま宇高多の地の覇権抗争に反映されていくのである。

 なお、勢力の推移は、依頼内容にも変化を及ぼす。有利になったからこそ、あるいは不利になったからこそ初めて発せられる依頼というのがあるのだ。場合によっては、阿無璃他教の依頼で赤目家から兵糧を盗み出し、今度はそれを阿無璃他教から盗み出して赤目家に届ける、といった人間的にはあんまり誉められない仕事のやり方で、ボロ儲けをすることもある。選択肢の幅は実に広いと言えるだろう。

 ちなみに、この大名間の勢力争いをリアルタイムで判定するシステムは「ハラキリエンジン」と名付けられている。スタート段階では3勢力は横並びではなく、赤目家が頭ひとつリードしており、続いて一条家、そこから少し遅れて阿無璃他教という順になっている。勝ち馬の赤目家に乗るもよし、大穴の阿無璃他教に賭けるもよし。宇高多の未来は、まさにプレーヤーの手の中にあるのだ。

photo 一条家の当主「信輝」。ちょっと神経質そうな顔立ちそのままに、争いごとはあまり得手ではない。それだけにゴウに寄せる期待も大きい。元主君の顔を立てるか、あるいは裏切るか?
photo 財力で他者を圧倒する赤目家の当主「影虎」。強欲な性格で宇高多の支配を狙っている。スタート時のリードを活かして序盤から突っ走る。それを止めるか、さらに加速させるか?
photo 阿無璃他教の教祖「貞女」。軍事的にはもっとも弱く、最弱からのスタートとなる。だが、なんといっても美人だ。彼女のために働けば、艶姿をムービーでながめられる。それが最大の魅力!?

 緻密なアクション性とぶっ飛んだ個性派キャラクター、そして大名家の争いを再現したシミュレート性。3つの要素が融合することにより、一般的な忍者アクションアドベンチャーを超える面白さを生み出したと言える忍道 戒。操作は少し難しいかもしれないが、そこであきらめず、一介の忍者が国を動かしてしまうという醍醐味を、ぜひとも堪能してもらいたい。

忍道 戒
対応機種プレイステーション 2
メーカースパイク
ジャンル忍者アクションアドベンチャー
発売日発売中
価格7140円(税込)
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