新しいのに懐かしい――名作はいつだって思い出スパイラル:「バブルボブルDS」レビュー(1/3 ページ)
アーケードやディスクシステムで一世を風靡した「バブルボブル」が新しくなってニンテンドーDSに帰ってきた。初代も同時に収録された、お得な「バブルボブルDS」の出来栄えは?
思い出いっぱいの懐かしアクション
最近ではアクションというと、3D空間で群がる敵をなぎ倒すスタイルが一般的だが、ファミコンのころは2Dのステージクリア型が主流だった。2頭身のかわいいキャラクターがちょこまかと動き、敵を倒していくゲームが割と多かったように思う。
ほのぼのとしたアクションゲームの中でも代表格がタイトーの「バブルボブル」だろう。初登場は1986年のアーケードで、ポップな画面デザインと独特のゲーム性で多くのファンを魅了した。当時の小中学生にとっては、その1年後に発売されたファミコンのディスクシステム版のほうが印象に残っているかもしれない。
バブルボブルの面白さは何といっても2人同時プレイにある。「アイスクライマー」や「バルーンファイト」など、ファミコンには2人で遊べるゲームがいくつかあったが、これらのゲームは、協力しているはずがいつのまにか殺し合いになってしまうのがお決まりのパターンだった。
それに比べ、バブルボブルは味方のジャマができないのでケンカにならず、2人だとクリアしやすさもケタ違い。画面の左右で担当を分けて、敵が動き出す前に一気に勝負をかければ、あっという間にクリアできて気分爽快! “俺たちって最強コンビだな”てな具合に、友情もバッチリ深まった。筆者も友人が家に来ると必ずバブルボブルを引っ張り出して遊んだものだ。
真のエンディングを迎えるための裏面(スーパーモード)の存在も思い出深い。基本的にはシンプルなステージクリア型のアクションなのだが、ちょっとした仕掛けが存在し、簡単には真のエンディングにはたどりつけない。裏技ともいえる隠しモードの出現に本当にビックリさせられたのを覚えている。裏面をクリアしてエンディングを一目見ようと悪戦苦闘したのは筆者だけではないはずだ。
思い出話は尽きないが、何はともあれ往年のファンにとってはBGMを聞くだけで郷愁に浸れるバブルボブル。そのタイトルがニンテンドーDSで「NEW AGE」バージョンとなって復活した。過去の名作が新たな形で蘇り、これまで知らなかった若い世代にも遊ばれることは意義のあることだと思う。
しかも1986年登場の初代も「CLASSIC」バージョンとして同時に収録されている。“バブルボブルってどんなゲーム?”と興味を持ったユーザー、“久しぶりにバブルボブルを遊んでみよう”という初代のファン、どちらにも適した1本だろう。
新生NEW AGEバージョンとは?
では、さっそくNEW AGEバージョンについて見ていこう。ゲーム中ではまず、アワをはく怪獣「バブルン」か「ボブルン」のどちらかを選んでスタートする。それぞれの能力には違いがあり、バブルンは足が速く、ボブルンはジャンプ力が高い。
ステージは全部で100。10ステージごとに区切りがあり、それぞれラストのステージはボス戦となる(普通にプレイするだけでは進めるのはステージ90まで。ある謎を解かないとステージ100への道は開かれない。この辺は初代のノリも少し入っている)。
大まかなルールは初代とほぼ同じで、バブルンかボブルンを操ってステージ内にいる敵をすべて倒せばステージクリアとなる。バブルンたちはBボタンでアワをはいてぶつけることができ、命中すると敵がアワに閉じ込められる。そのアワを体当たりして割ればOKだ。
ただし、アワに包まれた敵は、シャボン玉のようにフワフワと流れていき、そのまま放っておくとパワーアップして復活してしまうので注意が必要となる。プレーヤーの腕の見せどころは、アワのまとめ割りだ。敵をアワで包んでも、すぐに1体1体倒さずにわざと1カ所にためて、複数の敵のアワを一気に割れば、それだけ点数も高くなる。
シンプルなルールで、プレイ感覚は初代とそれほど変わらないが、ニンテンドーDS用にアレンジされてパワーアップした部分も多い。パッと見てすぐに分かるのは、やはりビジュアル面の違いだろう。バブルンとボブルンはもちろん、敵の「どらんく」、「ひでごんす」、「すかるもんすた」などがアニメタッチになり、かわいく生まれ変わった。ステージの背景も描き込まれ、森、工場、遺跡と10ステージごとにテーマが分かれている。
だが、見た目の一番大きな違いといえば、デュアルスクリーンを生かしてマップが上下2画面になったことが挙がる。普段の操作でタッチスクリーンは使わないものの、この2画面の仕様はニンテンドーDSならではの新しい要素だろう(特定のアイテムを取ると入れるボーナス面だけは、タッチ操作が必要となる)。
上から降りてくる敵を、下画面で待ち伏せする。上画面に出現したアイテムを目ざとく見つけて下から取りに行く。上を見て、下を見て、また上を見る……。雰囲気は、どことなく昔懐かしい2画面のゲームウォッチといったところか。
この上下の広がりに加えて本作では左右にもスクロールするようになり、ステージの広さがグッと増した。初代でもさまざまな工夫を施したステージが存在したが、NEW AGEバージョンでは、入り組んだ足場があったり、左右が分断されていたりと凝ったデザインのステージが増えている。遊びごたえという面では、初代よりも確実に進化を遂げたといえそうだ。
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