どれが敵で、どこが地面? 押し寄せるは6万5535体の魔物たち「戦神-いくさがみ-」レビュー(2/2 ページ)

» 2005年12月02日 21時47分 公開
[鷲尾トモノリ,ITmedia]
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助けたり助けられたり。人間と犬神の奇妙な関係

 「戦国無双」や「戦国BASARA」みたいな、爽快感重視の大暴れ系アクションゲーム。ここまで読んだ人は、戦神をそのように思うだろう。ところが、本作にはそれらと大きく異なる部分が存在する。なんと、この犬神(&八坂葵)、現世の存在に対してはほとんど干渉することができない=犬神だけの力ではミッションをクリアできないのである。

 具体的に例を挙げると、行く手をさえぎる城門ひとつ破壊できない、「血晶」という魔物を生み出す呪的装置を壊せない、「御柱」という味方をサポートする3種類の特殊な柱を立てられない、などなど。

photo 御柱には、体力を回復するもの、魔物を攻撃するもの、血晶などを攻撃するものの3種類がある
photo 御柱は「地力」の高いポイントに立てるほどいい。地力の状態は、地面に出る波紋でわかる

 犬神がどうすることもできないなら、これらの作業を行うのは人間たち(NPC)になる。つまるところ、その場所まで人間を連れていくことになるわけだが、もちろん、そこには魔物の大群がいる。

 人間たちは、いかな名武将率いるツワモノといえど、まともに魔物にぶつけたのでは、何千人いようがあっという間に全滅してしまう。また、彼らを率いる武将(信長とか家康とか)がやられてもゲームオーバーになるので、人間たちを守り、なるべく被害が出ないように考えながら、誘導していくことが重要となる。

 しかし、これはなかなかにストレスの溜まる作業だ。なにせ、味方の数も多いものだから、誘導して血晶まで連れて行っても、実際に破壊作業をしてくれるのはごく一部で、列の後ろのほうは魔物に襲われていたりする。それを助けに行こうとすると、血晶の所にいる連中まで戻ってきてしまうので、仕方なく誘導を解除すると、今度は列の真ん中あたりのやることのない連中が、勝手にわらわらと動き出して収集がつかなくなる。

 ならばと行軍を停止し、兵士たちを近くの御柱に集合させ、その間に後方の敵を片づける。これならばうまくいっただろうと思い血晶に戻ると、ふたたびわいて出た魔物に、破壊作業をしていた兵士たちがやられていたりするのだ。まったくもって、気の休まるヒマがない。まるで保育所の先生にでもなったような気分になること受け合いだ。

 結論を言えば、友軍全体を完全にフォローすることは難しい。ここでは“任務完遂のためには、味方に犠牲を強いることも時には必要なんだ!”などと、指揮官の悲しい性を悟ったりすることになるだろう。

photo 味方の軍勢の動きは「進軍」と「停止」のふたつのコマンドと、「誘導」の有無でコントロールできる
photo 任務達成後には、さまざまな要素に基づいてポイントが入り、“虫”から“神”までのランクづけがされる

対正月用こたつゲーはこれで決まり!?

 戦神はこのように「リアルタイムストラテジー要素を加えたアクション」とでもいうべきタイトルとなっている。荒削りな部分も目立つが、システムを段階的に理解させていくゲーム進行や、武器集めなどのやり込み要素からは、丁寧に作ろうという意識を感じることができる。

 また、ステージには、戦国ものとしては外せない出来事から、ちょっとマニアックな出来事まで、うまく押さえてあるのも好感が持てる。一度始めると休む暇もない展開が待っているが、じっくり遊べるゲームにもなっているので、年末年始はこたつに入り、この和風作品を楽しんでみてはどうだろうか。

photo いつ、どこで、どの武将と関わりを持つことになるのか。物語を進める上で楽しみなポイントとなる
戦神-いくさがみ-
対応機種プレイステーション 2
メーカー元気
ジャンル群れぶった斬りアクション
発売日発売中
価格7140円(税込)
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