10周年記念作品の名に違わぬ「テイルズ オブ」シリーズ最新作を隅々まで遊び倒す:「テイルズ オブ ジ アビス」レビュー(3/3 ページ)
また、個人的にはメニュー内に、「最近手に入れたアイテム」の項目がないのが非常に痛い。シリーズでは、プレイ中に直近で入手したアイテムが20個前まで表示されていた。これがあることにより、ボス戦で手に入れたものや、ダンジョンで入手したものが何だったかすぐに確認でき、とても便利だった。TOAでは、装備品の他にもCコアなどがあるため、今入手したアイテムが何だったのかをすぐに確認できず、いちいち各ページを見て探さなければいけない。あえて入れなかったのか、入れられなかったのかで意味合いが変わるが、この仕様は今後のシリーズでも絶対に入れてほしいと感じた。
さらにメニューでは「装備」の項目を選択したあとに、LRでキャラを替えるとカーソルが武器に合ってしまうのも不満。特にルークとガイなど、キャラを越えて装備品が流用できるのに、キャラを変更すると武器の所にカーソルが合ってしまい、いちいち下を押さなければいけない。細かい所ではあるが、ゲームを通じて最初から最後まで使うメニューなだけに、ストレスになりやすかった。メニュー自体のデザインがとてもよく、他の部分の操作感が良かっただけに余計気になったのかもしれない。
そして、最後にモンスター図鑑がないこと。これがないと、その都度スペクタクルズを使用しなければいけないし、何よりモンスターが何を落とすのかがすぐに確認できない。TOLでもモンスター図鑑がなかったが、今後「テイルズ オブ」シリーズからモンスター図鑑の仕様はなくなってしまうのだろうか? もし、そうだとしたら、その利便性は絶対的なもののはずなので、非常に残念だ。
以上、あえて不満点をあげさせてもらったが、ゲームをプレイする中では、慣れていくだろうと思うし、人によっては気にならない程度の事と言える。苦言を呈したのも「テイルズ オブ」シリーズの面白さ、楽しさを知っているからこそ、細かいところが気になってしまうことをご理解いただきたい。
“ナムコ”と“シンフォニアチーム”の総力が結集された最高傑作
最後に個人的な雑感を。10周年記念となるTOAは、キャラクターデザインに藤島康介氏、オープニングテーマにBUMP OF CHICKENを起用し、この作品に掛ける意気込みを充分示したと思う。特に本編のシナリオを読んだうえで書いたとされる「カルマ」は、まさに珠玉のデキと言え、ゲーム内容とリンクした歌詞はエンディングまで見ることで、新たな発見ができるほど。そこにBUMP OF CHICKENの「TOA」に対する熱意が見えるだろう。また、オープニングだけでなく、本編中に入っている提供された曲も「らしさ」が出た素晴らしいものとなっている。
また、TOSを作ったテイルズスタジオのスタッフが本作を制作しただけあり、随所にTOSのテイストが見える。TOS自体、シリーズ最高の作品という人も多いため、TOAが“シンフォニアチーム”の制作と聞いて期待した人も多かったことだろう。筆者もその1人であり、TOSの良さを引き継ぎ、さらに新たな要素を入れてきたTOAは、期待以上のものとなっていた。ストーリーの展開、キャラクターの個性、戦闘の爽快感、ミニゲームなどのサブ要素、そのどれを取っても、満点に近いデキではないだろうか。
過去のシリーズでは考えられないほどの圧倒的なボリューム感からも、“シンフォニアチーム”のこの作品に対する情熱を感じ取る事ができた。まさに、“ナムコ”と“シンフォニアチーム”が妥協することなく、最高の作品を作り上げる努力をした賜物だろう。
TOAはシリーズでもっとも長く遊べる作品であり、特に2周目プレイも飽きる事なく楽しんでもらえると思う。年末は多くのタイトルが発売されるが、TOAはその中でもトップクラスの作品だろうと筆者は自信を持ってオススメする。「テイルズ オブ」シリーズを遊んだ事のない人にこそ、TOAをプレイしてもらいたい。年末年始はTOAをじっくりプレイしてみてほしい。
Tales of the Abyss(テイルズ オブ ジ アビス) | |
対応機種 | プレイステーション 2 |
メーカー | ナムコ |
ジャンル | 生まれた意味を知るRPG |
発売日 | 2005年12月15日 |
価格 | 7140円(税込) |
プレイ人数 | 1人(戦闘時のみ最大4人まで同時プレイ可能) |
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