魔法少年じゃなくて魔法少女だった――変わらなかったのは“描く”というコンセプト:「ロストマジック」インタビュー(1/3 ページ)
タッチペンで描いて戦う新機軸のアクションRPG「ロストマジック」の発売日が1月19日に決定した。発売まで待ちきれず、追い込み真っ最中の開発陣、プロデューサーの井上治氏、キャラクターデザイナーの佐藤好春氏にインタビューを敢行した。
ニンテンドーDSの持ち味を最大限に発揮する戦闘システム
タッチペンで魔法を描いて、魔物を操って戦う戦闘システムが特長の「ロストマジック」。本作はタッチペンで操作することで、今までのRPGの基本であったボタン操作では味わえない、実際に魔法を詠唱している感覚や魔物を指揮している感覚を楽しむことが最大の魅力だ。
プレイ開始直後は、上手く文字を描けずに失敗してしまうことがあっても、プレイしていくうちに2つの文字を重ねて使いこなせるようになる。魔法を成功させるのもプレーヤーがうまくルーン(魔法文字)を描けるかどうかにかかっているので、魔法が成功したときは自分が立派な魔導士になった気分になる。ゲームの主人公だけでなく、プレーヤーも駆け出しの魔導士から熟練の賢者になっていくのを実感できるはずだ。
このタッチペンを使った戦闘システムのアイデアや、魔物を操るという世界観はどこから生まれたのだろうか? 本作プロデューサーの井上治氏、同キャラクターデザイナーの佐藤好春氏に聞いてみた。
ゲームのコンセプトは「魔法を描け! 魔物を操れ!」
── まず、これまでに関わってきた作品を教えてください。
井上治氏(以下、井上) 本作の前はプレイステーション 2(以下、PS2)の「ラクガキ王国」と「ラクガキ王国2」、「NHK天才ビットくん グラモンバトル」を作っていました。
── PS2とは勝手が違うと思うのですが、ニンテンドーDS(以下、NDS)でゲームを作るうえで大変だったことはなんですか?
井上 容量ですかね(笑)。あとはゲームの見せ方でしょうか。PS2に比べてNDSは凝縮された遊びなので、構造とか構成をシェイプするということに気を使いました。あとは当然ながらNDSの特長であるタッチペンをどう生かすか、とかですね。
「ロストマジック」のコアとなるシステム自体ができるのか? ルーンを描いて認識できて撃てるのか? 魔物を指揮してきちんと遊べるのか? そういった骨組みを検証するところからはじめました。これがいけそうだなとなったところから開発に入ったんです。
── 骨組みを検証してからとのことですが、「ロストマジック」を制作するに至った経緯はどんなものだったのでしょうか。
井上 「ラクガキ王国」シリーズを作っていましたが、ラクガキというシステムが「ラクガキ王国2」で行き着くところまで行き着いたという感じがあったんです。それで「ラクガキ王国」の続編を含めていろいろな話し合いをしました。その中で、NDSのインターフェイスが新しかったので、今までになかった遊びを提供したいということになったんです。頭のなかにはタッチペンを持って書くことというのが「ラクガキ王国」のラクガキと共通する部分があって、実は感覚的にはつながっているものだったりします。
──「ロストマジック」のコンセプトはやはり“描く”ことですか?
井上 どういうゲームなのかは“魔法を描け! 魔物を操れ!”というように二言で表しています。プレーヤーが何をするのとか、どんなアクションをするのというのが分かるようにしたかったんです。ちょっと興味を持って触ってくれた人が、NDSならこんなRPGもできるんだなって体感してくれたらうれしいですね。ですから、コンセプトとしては“魔法を描け!”と“魔物を操れ!”の2つがあります。
── “魔物を操れ!”というのも十分魅力ですが、やはり“魔法を描け!”ということに一番の魅力を感じます。ルーンをタッチペンで描く、というシステムはどのようにして生まれたのでしょうか?
井上 さまざまなアイデアを集めた時期があって、そのなかに原型となるものがあったんです。なかにはパズルのようなものや探偵のようなもの、だいたい20個くらいのアイデアがありました。
佐藤好春氏(以下、佐藤) 立ち上げ時はまだ魔導士ではなく、悪魔と天使という設定で、主人公は女の子だったり、みんなでいろいろと設定を考えたんですよ。
── ということは現在の作品とはまったく違うものだったんですか?
井上 “描く”という基本システムはその時点からありました。ですが、描くだけだったらNDSでもう出てるなのかなと。ウチでは何に特長を付けていこうと話し合う中で、“コマンドを重ね合わせるというのはほかにはないんじゃない”ということになったんです。文字を重ね合わせて描くというシステムが生まれたのは、その時ですね。そうすることでタッチペンのインターフェイスも活きてきますし。
── NDSの描くという機能をどのように使うのか、そこに苦労があったわけですね。では、そこに魔物を指揮するというシステムを採用したのはなぜでしょうか?
井上 試行錯誤はありましたが、タッチペンを使って“ものを描く”と“ものを動かす”というアイデアは最初から決めていたんです。
佐藤 (開発初期段階のイラストを広げ)最初の頃に描いたものなので現在とキャラクターは違いますが、このときから“杖から魔物が出てくる”という設定だったんですよ。
── これは貴重なイラストですね!
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