変遷していくゲームマスターの立つべき場所は……どこ?モビーダ・ゲームズ 栗原 哲氏インタビュー(1/2 ページ)

昨年12月、ビー・ビー・サーブから分社化して誕生したモビーダ・ゲームズ。そこでゲームマスターとして運営リーダーを務める栗原哲氏に、“忙しさ”のワケを聞いてみた。

» 2006年02月02日 14時21分 公開
[加藤亘,ITmedia]

はじまる前から運営が忙しいとはこれいかに?

 昨年12月1日、ソフトバンクグループでオンラインゲーム事業を展開するビー・ビー・サーブは、各部門を順次分社化した上で持ち株会社制に移行。「MOVIDA HOLDINGS」(モビーダ・ホールディングス)に社名を変更した。それに伴いオンラインゲーム運営事業は「MOVIDA GAMES」(モビーダ・ゲームズ)となったのは記憶に新しい。

 オンラインゲームのプロデュースと運営に特化した会社として始動したモビーダ・ゲームズは、自社がプロデュースするオンラインゲームの準備に余念がない。その中でも、現在“なぜか”忙しく働いている運営チームのリーダーでもあるモビーダ・ゲームズ 取締役 コンテンツオペレーション室 室長 栗原 哲氏に話を聞いてみた。 現在、モビーダ・ゲームズがプロデュースすると公表している「ベルアイル」や「真・三國無双BB」は、まだサービスが開始されていない。それなのに運営チームが忙しいと栗原氏は語る。本来、運営チームが忙しくなるのはサービス開始後のはずだが、その真意とは?

 そもそもビー・ビー・サーブ時代に、これからの運営の形を紹介する場ともなった「ベルアイル」の発表記者会見の際、運営チーム「Trinity」(トリニティ)が紹介されていた。まさに三位一体となるべく、「開発」と「ユーザー」の間を埋める、「ものを言う攻めのゲームマスター」という3本目の柱となるべく理念を持って設立されている。ユーザーの目線に立ち、開発にゲーム内容や仕様を意見するという、はじめから運営を念頭に置き、従来のゲームマスター(以下、GM)よりも食い込んだ立場であるという。公式サイトのコンテンツの見当であったり、課金システムの調査&課金など、発表されている以外のタイトルについても面倒をみているとなると、運営がはじまる前から忙しいと言うのも頷ける。

モビーダ・ゲームズ 取締役 コンテンツオペレーション室 室長 栗原 哲氏。栗原氏は、現在のGMを表現するのにキャプテン翼を引き合いに出し、自分は「若林よりは若島津」という、分かるような分からない比較をする(参考までに、若林は“鉄壁の守り”タイプのゴールキーパーで、若島津は“自分も積極的に攻撃に加わる”タイプ)。「実際にサービスが開始されると運営チームの規模は拡大する。今は少数精鋭。だから忙しいというのもあるんですけど」と打ち明ける

 各社によってGMの定義は微妙に違うと栗原氏は続ける。栗原氏自身、「ウルティマオンライン」の頃からGMをやっているが、当時はGMコールをとったり、イベントをやったりと、ゲーム内でのプレーヤー対応が中心だったと振り返る。

 「最近は企画に口を出したり、よりゲーム開発に食い込んだものもGMの仕事と言えるようになってきている。単なるカスタマーサポートスタッフとしてのGMでは、なかなかキャリアアップにはつながらなかったものが、重要性が増し、GMを経て先にある将来が見えてきた」と、業界全体での潮流となっていると語る。「運営全体の監督」「プロデューサー」「オンラインゲームの企画」など、GMをやっていると考えられるキャリアの選択肢が増えてきたようだ。

 そもそもGM自体、業界への入口としては間口が広いこともあり、比較的簡単にGMにはなれる環境にある(腕がいいか悪いか別)。しかも、幸運なことに1からゲームを作れる状況にもなってきている。モビーダ・グループが進めるオンラインゲームファンドを活用できれば、運がよければゲームを立ち上げるスタッフの中核となりうるのだと言う。これからの時代、運営の要となりえるGMへのウェートはますます上がると予想される。

 GM自体は昔と何ら変わることはない。ただ、圧倒的な違いがあるとすれば、GMのタレント化が挙げられる。プロモーションツールとしてGMの存在を前面に押し出しているタイトルも増えてきているという。また、ゲームのプログラマーやディレクターなどの開発サイドとユーザーとの距離を埋めるスーパープレーヤーとしての位置づけを持ち始めており、ユーザーの意見を吸い上げてまとめて意見してくれるGMの言うことは、我の強い開発陣でもけっこう言うことを聞くという傾向もあるのだとか。

それでも悩みはある

 栗原氏にとってGMの悩みは3つあるという。1つはキャリアパスが示せないため、GMのモチベーションが下がって1年くらいで辞めてしまうということ。2つ目は、タレント化が進む傾向にあるが、GM主導のイベントに参加できるのは少人数だった場合、居合わせることができない人にとって不平等ではないかという点。すべてのユーザーに平等であれという理念に立っている栗原氏にとっては、サービスとどう両立できるかにジレンマを感じるという。GMのサポートを前提にしていながらも、ビジネス的に物足りなさを感じさせない誰にでも平等なイベントでなくてはならない……。それには確固たるGMの方法論のようなものが必要になってくるのだが、それがまだ確立していないのが3つ目の悩みと明かす。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/22/news047.jpg 刺しゅう糸を20時間編んで、完成したのは…… ふんわり繊細な“芸術品”へ「ときめきやばい」「美しすぎる!」
  2. /nl/articles/2412/18/news207.jpg 「理解できない」 大谷翔平と真美子さんの“スキンシップ”に海外驚き 「文化は100%違う」「伝説だわ」【大谷翔平激動の2024年 現地では「プレー以外のふるまい」も話題に】
  3. /nl/articles/2412/21/news040.jpg 友達が描いた“すっぴんで麺啜ってる私の油絵"が1000万表示 普段とのギャップに「全力の悪意と全力の愛情を感じる」
  4. /nl/articles/2412/22/news034.jpg 後輩が入手した50円玉→よく見ると…… “衝撃価値”の不良品硬貨が1000万表示 「コインショップへ持っていけ!」
  5. /nl/articles/2412/21/news019.jpg 毛糸6色を使って、編んでいくと…… 初心者でも超簡単にできる“おしゃれアイテム”が「とっても可愛い」「どっぷりハマってしまいました」
  6. /nl/articles/2412/22/news036.jpg 「これは家宝級」 リサイクルショップで買った3000円家具→“まさかの企業”が作っていた「幻の品」で大仰天
  7. /nl/articles/2412/21/news023.jpg 「人のような寝方……」 “猫とは思えぬ姿”で和室に寝っ転がる姿が377万表示の人気 「見ろのヴィーナス」
  8. /nl/articles/2412/15/news031.jpg ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  9. /nl/articles/2412/17/news042.jpg 山奥で数十年放置された“コケと泥だらけ”の水槽→丹念に掃除したら…… スッキリよみがえった姿に「いや〜凄い凄い」と210万再生
  10. /nl/articles/2412/22/news020.jpg 余りがちなクリアファイルをリメイクしたら…… 暮らしや旅先で必ず役に立つアイテムに大変身「目からウロコ」「使いやすそう!」
先週の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  4. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  5. 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  6. 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  7. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  8. ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
  9. 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
  10. セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」