今だからこそ振り返る「モンスターハンター」――家庭用初の本格オンラインアクションはこうして生まれた「モンスターハンター2(ドス)」発売記念インタビュー(1/2 ページ)

独自の生態系を持つ強大なモンスターが住む世界で、いちハンターとしての生活を送るハンティングアクション「モンスターハンター」。このたび、プロデューサーを務める田中剛氏に、最新作「モンスターハンター2(ドス)」を含めたシリーズについてのさまざまな話をうかがうことができた。

» 2006年02月22日 16時37分 公開
[聞き手:遠藤学,ITmedia]
photo

 独自の生態系を持つ強大なモンスターが住む世界で、時に1人で、時に仲間と協力しながら狩りを行い、いちハンターとしての生活を送るプレイステーション 2用ハンティングアクション「モンスターハンター」(以下、MH)。

 2004年3月に1作目「MH」が発売して以来、2005年1月にはグレードアップ版となる「モンスターハンターG」(以下、MHG)、2005年12月には携帯ゲーム機PSPにて「モンスターハンター ポータブル」(以下、MHP)、そして先日には最新作「モンスターハンター2」(以下、MH2)と、コンスタントにシリーズタイトルをリリースしているが、このたび、MHシリーズのプロデューサーを務める田中剛氏に、MH開発にいたった経緯や、MH2についての話をうかがうことができた(MH2の詳しいゲーム内容については記事最後にあるリンク先を参照していただきたい)。

MHは当初、オンラインモードのみだった

―― まずMHの開発に至った経緯について教えてください。

photo カプコン モンスターハンターシリーズ プロデューサー 田中剛氏

田中剛氏(以下、田中) 2000年の終わりごろに、当時の次世代機(プレイステーション 2、Xbox、ニンテンドーゲームキューブ)に向けて、カプコンとして本格的にオンラインゲームを作っていこうという動きがありました。その時に「アウトモデリスタ」、「バイオハザード アウトブレイク」、MHといったオンラインゲームが立ち上がることになったんです。それまでのオンラインゲームというのは、「Doom」や「Quake」といったFPSかMMORPGが主流でした。FPSにしろ、MMORPGにしろそういうジャンルを作ることも可能でしたが、やはりカプコンならではのオンラインゲームを作ろうというとになったんです。

―― それが開発にいたった経緯ですね。では、MHというタイトルを作るにいたったきっかけはどうでしょう?

田中 3部作というか、先に挙げたタイトルは、レースゲーム、「バイオハザード」をテーマにしたもの、そして、まったくの新作、かつ当時の次世代機で作るオンラインゲームの完成系として開発を始めました。テーマとしては“とにかく大きなモンスターをみんなで協力して倒す”というもの。ちなみに、タイトル名は最初から“モンスターを狩る者=モンスターハンター”でいこうと決まっていました。MHという商標登録自体も2001年の夏くらいには出しているんですよ。

―― 開発期間は約3年になりますね。

田中 立ちあげからと考えると4年ちょいになります。MHは“最高のグラフィックで、最高のオンラインアクションゲーム”を目指していたこともあり、基礎研究にすごい時間をかけたんです。 本当に、最初の2年ぐらいは企画を練りながら、少人数で研究していましたね。具体的にゲームの形が見えてきたのは、発売まで1年をきってからです。それまでは“狩りをする”という大きなイメージはあったものの、いわゆる細かいゲーム部分、遊ばせ方が決まっていなかった。藤岡(MHシリーズディレクターの藤岡要氏)がチームに参加して、残り8カ月くらいでMHの形になったんです。

―― MHについては分かりました。では次にMHGについて聞かせてください。

田中 MHGは、MHとMH2の間にあるわけじゃないんです。もともと、MHの廉価版を出すという話があったんですが、ただ廉価版を出すのは忍びないなと。ちょうどそのころ、北米版のローカライズをしていて、藤岡が双剣のモーションを自ら作っていました。なら、そういった要素を入れて、廉価版ではないグレードアップ版を作ろう! となったんです。「G」というのは、“グレート”とか“ガッツ”の略になります。MHを楽しんでくれた方々への感謝と挑戦(笑)みたいな側面があるんですよ。そうして生まれたのがMHGなんです。だから、MHの続編という意味ではMH2がそれにあたりますね。

―― MH2の話が出ましたが、その前にもうひとつのMH、MHPについてもお聞きしたいと思います。

photo MHPとMH2の連動でのみ現れる黒狼鳥「イャンガルルガ」

田中 PSPが発表された時からPSPタイトルは作りたかったんです。それは“手軽なネットワークマシーン”として遊んでもらえるイメージがあったからで、中でもMHにはぴったりだなぁ〜、と。コンセプトとしてはまず、MHGがきちんと遊べる。次に、一人でも十二分に楽しめる。そして、4人がいつも集まるとは限らないので、2人ぐらいでも遊べるものをと考えました。そして“MH2と連動する”とスタッフには伝えたんです。MHPの開発は8カ月くらいですね。描画回りを書き直したり、テクスチャを減らしたりといろいろやってはいますが、絵が早く移植できたというのが大きかったんです。ソフト制作において、僕らにとって大事なものに“絵はちゃんとしないと駄目”というのがあります。同じMHだけど絵が汚いではなく、 PS 2とそん色ない絵で、同じような操作感ができなきゃいけないと考えていたんです。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

先週の総合アクセスTOP10
  1. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  2. 富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
  3. 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
  4. 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
  5. 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  6. 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  7. 1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
  8. 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
  9. 祖母から継いだ築80年の古家で「謎の箱」を発見→開けてみると…… 驚きの中身に「うわー!スゴッ」「かなり高価だと思いますよ!」
  10. 「妹が入学式に着るワンピース作ってみた!」 こだわり満載のクラシカルな一着に「すごすぎて意味わからない」「涙が出ました」
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」