頼みは己の腕前のみ――ようこそ、狩って狩って狩りまくるハンティングアクションの世界へ:「モンスターハンター2(ドス)」レビュー(1/3 ページ)
「モンスターハンター ポータブル」のヒットも冷めやらぬなか、ついにシリーズ最新作が姿を現した。まだ見ぬ狩り場、まだ見ぬ武器、そしてまだ見ぬ強大なモンスターたち……。ようやく“解禁”となったドスの世界を、さっそくのぞいてみることにしよう。
「モンスターハンター」(以下、MH)は、2004年にカプコンから発売されたオンラインハンティングアクションゲーム。巨大な飛竜と戦うハンターとなって、文字どおり狩るか、狩られるかの狩猟生活を楽しむという、一風変わったオンラインゲームだ。
ゲームの目的はただ1つ、フィールドを闊歩(かっぽ)する巨大な飛竜たちを、あらゆる知恵と技術を絞って、とにかく狩って狩って狩りまくること。倒した飛竜からは骨や皮などさまざまな素材を剥ぎ取ることができ、これらを加工することでできる装備品をそろえながら、さらに強力な飛竜へと挑んでいく。オフラインでも楽しめるが、ネットワークに接続することで最大4人までのパーティを組んで遊べるのも大きな魅力だ。
しかし、最大の特徴はやはり、“オンラインゲームでありながら高いアクション性を実現している点”だろう。通常、オンラインゲームではラグや同期の問題がつきまとうため、本格的なアクションゲームは難しいと言われてきた。しかし本作の場合、クエストを受け、一歩フィールドへと出れば、そこはもう完全なアクションゲームの世界。レベルや経験値といった甘っちょろい救済は一切なく、プレーヤーは己の腕前のみを頼りに、自分の何倍もの大きさの飛竜に立ち向かっていかねばならない。
どれだけ装備にお金をかけても、実力が伴わなければあっさり死ぬストイックさ。しかし、それゆえ試行錯誤を重ね、ようやく強敵を討ち果たした時の達成感、充実感はひとしおだ。かくいう筆者もそんな魅力に取りつかれ、気付けば累計プレイ時間は1000時間を突破……。今回の“狩猟解禁”を、首をながぁーくして待っていた1人であったりする。
何もかもがまぶしく、目新しいドスの世界
前置きが長くなってしまったが、「モンスターハンター2(ドス)」(以下、MH2)である。前作「モンスターハンターG」(以下、MHG)が、あくまで初代をベースにした拡張版であったのに対し、今作は正真正銘「2」のナンバーを与えられた続編だ。村やフィールドのマップはすべて一新され、新たな装備品、新たなモンスターも大量投入されている。まったく新しい世界を舞台に、まったく新しい狩りが繰り広げられることになるのである。
今回のフィールドは「密林」、「砂漠」、「沼地」、「雪山」、「火山」の5カ所。新しく雪山が加わった形となっているが、ほかの4つもまったく新しいマップへと生まれ変わっている。2年近く慣れ親しんだ前作のフィールドを離れるのはちょっと残念だが、やはり新しいフィールドでの狩りは新鮮で、何もかもがまぶしく映る。最初は前作までの知識がほとんど通用しないことに戸惑いもしたが、思えばこの手探り感もまた本作の楽しさだろう。崖のてっぺんから遠方を眺めてため息をついてみたり、エリアの隅々まで調べまくって“こんなところに採掘ポイントが!”などとはしゃいでみたり……気付けばすっかり初心者気分で、フィールド探索を満喫している自分がいた。
加えて、新たに今回は時間の流れが導入されており、同じフィールドでも「温暖期」、「寒冷期」、「繁殖期」の3つの季節や、昼と夜の時間の組み合わせで微妙にその姿が変わる。季節ごとにアイテムやモンスターの配置が変わるのはもちろん、中には昼間しか入れない孤島や、夜になると水没してしまう地底湖などもあり、プレーヤーを飽きさせない工夫が随所に見られる。特に、無数の流れ星が降り注ぐ夜の砂漠や、オーロラに覆われた夜の雪山など、幻想的な光景が多く見られる夜のマップはいずれも必見だ。
より強大&多彩になったモンスターたち
新しくなったフィールドの探索も楽しいが、最大の見どころはやはり、より強力に、より多彩になったモンスターたちだろう。前作までは登場するモンスターのほとんどが「飛竜」であったことから「ドラゴンハンター」などと冷やかされることもあったが、今回はその汚名を返上するかのように「牙獣種」、「甲殻種」、「古龍種」といった新たなモンスターが大量に追加されている。
敵の行動パターンも、飛竜種共通パターンであった「突進+尻尾回転+ブレス」一辺倒ではなくなり、相手の種族に応じて、より幅広い戦法が求められるようになった。特にモノブロスの頭骨を背負った甲殻種の「ダイミョウザザミ」や、オナラや糞で攻撃してくる牙獣種の「ババコンガ」など、新たに追加されたモンスターはいずれもユニークなものが多く、前作までの常識がまったく通用しない。しかし、それだけに対峙した時の緊張感と、見事倒したときの達成感はたえられないものがある。
そして、新モンスターの中でも花形と言えるのが、新登場の「古龍種」だ。これは言わば前作の「ラオシャンロン」などの最上級モンスターに相当し、嵐や竜巻といった天候さえも操る力を持ち、人々からはもはや「天災」として恐れられているという種族となる。パッケージに描かれている、風翔龍「クシャルダオラ」もその一種。嵐とともに出現し、常に風をまといプレーヤーを寄せ付けないその姿は存在感バツグンだ。初めて討伐クエストにおもむいた時は、MHで初めて飛龍「リオレウス」と戦った時のドキドキを思い出し、思わずコントローラを持つ手が震えてしまった。
結局、その時は風に阻まれ、近づくこともできずに敗退した。“普通のRPGなら、どんなにデカくて強そうなボスでも、それなりに戦っていれば勝てちゃったりするのに、本作の場合、そういう「お約束」が通じないから本気で困るわけですよ! ”――などとつい愚痴をこぼしたくなるほど、初戦の“こんなのムリ!”感はすさまじかった。しかし、その後再チャレンジを繰り返し、試行錯誤の末ついに撃退に成功する。この時のうれしさと安堵(あんど)感といったらもう、これまでの苦労とイライラをすべて補ってなおお釣りがくるほどだった。“ああ、あきらめないで挑戦してよかった”と思える瞬間だ。
ほかにもすでに公式発表されている陽炎龍「テオ・テスカトル」をはじめ、さまざまな古龍がすでにその存在を確認されている。こいつらとの死闘が、本作最大の華になることは間違いないだろう。
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