10年以上を経てもなお色あせない、メガドライブのマスターピース「ガンスターヒーローズ〜トレジャーボックス〜」レビュー(2/2 ページ)

» 2006年03月13日 15時59分 公開
[小泉公仁,ITmedia]
前のページへ 1|2       

「ダイナマイトヘッディー」はコミカルでシュールなアクション

画像 自分の頭を飛ばして敵を倒すという異色のアクションゲーム「ダイナマイトヘッディー」。「ガンスターヒーローズ」から約1年後の94年に発売された

 「ダイナマイトヘッディー」は、ガンスターヒーローズとまた雰囲気ががらりと変わって、開発陣の遊び心がそこかしこに感じられるコミカルなアクションゲーム。主人公のヘッディーは“オンボロ人形”という設定で、自分の頭を飛ばして敵を攻撃したり物を引き寄せるなど、そのアクションも個性的だ。

画像 頭が掃除機のようになって敵を吸い込むなど、パワーアップの種類がとにかく豊富。中には、頭が大仏のようになるだけで、実は何の役にも立たない(むしろ動きが遅くなるという悪影響も……)というパワーアップもある。その名も「仏の顔も一度だけヘッド」

 このゲームは、キャラクターや世界観にシュールさが漂い、ヘッディーを手助けする3人の味方キャラも“ヤックん、フックん、モックん”と、どこかで聞いたような名前……。ライフゲージの代わりに、ステージを照らすライトの色で現在のライフを表すなど、ゲーム全体が人形劇の舞台を思わせる作りになっているのもおもしろい。また、アイテムを取ることでヘッディーの頭をパワーアップさせることができ、その種類と効果も実にさまざま。例えば、頭が掃除機のような形に変わって、敵やアイテムを吸い込めるようになったり、体が小さくなって狭い場所にも入れるようになる。「ガンスターヒーローズ」で見られたような派手さや爽快感はないものの、パズル的な要素がところどころにちりばめられているのが楽しい。ただし、見た目の印象とは裏腹に難易度は高めで、易々とエンディングにたどり着ける内容にはなっていない。

プレミア価格で取引される伝説的ソフト「エイリアンソルジャー」

画像 中古市場ではプレミア価格で取引されているレアなソフト「エイリアンソルジャー」も収録。タイトルに「FOR MEGADRIVERS CUSTOM」とあるように、コアなメガドライブユーザーをもうならせる、高難度でマニアックな作品

 残る「エイリアンソルジャー」は、かつてのメガドライブユーザーの間でも知る人ぞ知る1作。これが発売されたのは95年で、すでにメガドライブの後継機であるセガサターンが登場した後ということもあって、出荷本数が極端に少なかったらしい。しかし、時間が経つにつれてその出来のよさがクチコミで伝わると、中古市場で定価を大幅に上回るプレミア価格で取引されるようになった。わたしが以前、中古ショップで見かけたときには、なんと2万円の価格で売られていたことも……。

画像 2Dタイプの横スクロールアクションだが、世界観やゲーム性は「ガンスターヒーローズ」がコミック調だったのに対して、こちらはヘビーでダークなSF風だ

 さまざまなタイプの武器を使い分けながら敵と戦っていくというあたりは、「ガンスターヒーローズ」にも通じるところがあるが、世界観はダークで、登場する敵も生理的な嫌悪感を呼び起こすような異形の者ばかり。敵の弾を破壊することでライフを回復させたり、空中でのホバリングといった多彩なアクション、さらに弾数にも制約があるなど、ゲーム性は「ガンスターヒーローズ」のそれと大きく異なる。

 その難易度も、ここ最近のゲームでは見られないほどのシビアさ。難易度設定は「SUPEREASY」と「SUPERHARD」の2種類しかなく、しかもこの「SUPEREASY」がちっとも易しくない……。初めてプレイしたときには、ステージ1さえまともにクリアできないほどの難しさだ。さすがに「FOR MEGADRIVERS CUSTOM」と称するだけのことはある(?)。

画像 各ステージのボスがどれも巨大で、しかもめっぽう強い。しかし、攻撃パターンから自分なりの攻略法を編み出せるようになると、初めの苦労がまるで嘘のように華麗に倒せるところが快感。多関節でうねうねと動く様にも注目

 ところが、この難易度の高さが徐々に快感になってくるから不思議。幾度となくトライし、敵の配置や攻撃パターンが頭に入ってくると、それに応じた動きができてくる。そして、初めは苦労の末にようやく倒していたボスキャラが、ものの数秒で撃破できるようになるなど、自分の上達具合が目に見えてわかるところがチャレンジ心をなお駆り立てるのだ。

他機種版の収録や、マニアックなシステム設定もうれしい

画像 これが、海外のみ発売されていたマスターシステム版の「ダイナマイトヘッディー」。こんなバージョンがあったなんて、いままで知らなかった……

 これで本作に収録の3作品を一通り見たわけだが、実は収録作品がまだある。各タイトルの日本版に加えて、海外版も収録されているのだ。海外版では、難易度バランスが異なっていたり、一部のボスキャラが変更されていたりするので、同じ作品でもまた違った雰囲気が味わえる。さらに隠しタイトルとして、「ガンスターヒーローズ」のプロトタイプ版(発売前に作成された実演用サンプル)とゲームギア版、「ダイナマイトヘッディー」のゲームギア版と、海外のみ発売されたマスターシステム版まで収録されている。これらを含めると、1本のソフトで計10タイトルが遊べることになる。

画像 「SELECT」ボタンを押すと、ゲーム中でもこのシステムメニューを呼び出すことができ、画面の表示モードを変更したり、各種資料の閲覧ができる。プログレッシブ表示にすると、ドットのひとつひとつがはっきりと見えすぎて逆に違和感を覚えるかもしれないが、その場合には「TEXTURE MAPPING」を「SMOOTH」に切り替えるとよいかも

 ほかにも、当時のマニュアルや宣伝用イラストなどを画面上で閲覧できたり、画面のちらつきを抑えるデフリッカーのオン・オフを切り替えられたりと、システムメニューの充実ぶりもうれしい。D2以上に対応したTVとD端子ケーブル(またはコンポーネントケーブル)があれば、プログレッシブ(480p)表示もできる仕様になっている。

 また、「ガンスターヒーローズ」と「エイリアンソルジャー」の2作には、上級者によるスーパープレイを鑑賞できるモードも付いている。特に、「エイリアンソルジャー」のSUPERHARDモードでのスーパープレイは必見。華麗なテクニックの数々に圧倒されっぱなしで、思わず目が釘付けになった。


画像 システムメニューで「REPLAY:VIEW SUPER PLAY」を選ぶと、上級者によるスーパープレイがビデオのように楽しめる。自力では到底見ることができそうもない「エイリアンソルジャー」のエンディングも、このリプレイのおかげで晴れて見ることが……
画像 敵やアイテムの配置、各ボスキャラの特性を完全に知り尽くしたかのようなスーパープレイは圧巻。これは一見の価値あり

 バージョン違いを含めて10タイトルを収め、画面設定などかゆいところにも手が届くかのようなシステムメニューを搭載してこの価格とは、何ともサービス精神旺盛な作り。ゲームのリバイバル版というと、いつもならひとしきり遊んで、ノスタルジックな気分に浸って、終わり……というパターンなのに、この「ガンスターヒーローズ〜トレジャーボックス〜」は当時と同じように、いやそれ以上に真剣に遊んでしまった。それだけ、十年以上が過ぎてもまだ通用するおもしろさを備えた傑作なのだと、いまにして思い直した次第。当時、これらの作品をリアルタイムでプレイしたことがない方にも強くオススメしたい。

 ところで、SEGA AGES 2500シリーズの発売予定リストから、いつの間にか「ベアナックル」が消えているのが少し気にかかる今日この頃。わたし、これを首を長くして待っていたのに……。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/18/news134.jpg 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  2. /nl/articles/2404/18/news025.jpg 生後5日の赤ちゃん、7歳のお姉ちゃんから初めてミルクをもらうと…… 姉も驚きの反応がかわいい
  3. /nl/articles/2404/18/news057.jpg 9カ月の赤ちゃん、バスで外国人の女の子赤ちゃんと隣り合い…… 人生初のガールズトークに「これは通じあってますね!」「ベビ同士の会話、とろけます」
  4. /nl/articles/2404/17/news037.jpg 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  5. /nl/articles/2404/17/news034.jpg 「妹が入学式に着るワンピース作ってみた!」 こだわり満載のクラシカルな一着に「すごすぎて意味わからない」「涙が出ました」
  6. /nl/articles/2404/18/news155.jpg 大谷翔平選手、ハワイに約26億円の別荘を購入 真美子夫人とデコピンとで過ごすかもしれないオフシーズンの拠点に「もうすぐ我が家となる場所」
  7. /nl/articles/2404/17/news179.jpg 「ケンタッキー」新アプリに不満殺到 「酷すぎる」「改悪」の声…… 運営元「大変ご迷惑をおかけした」と謝罪
  8. /nl/articles/2404/16/news192.jpg 「ゆるキャン△」のイメージビジュアルそのまま? 工事の看板イラストが登場キャラにしか見えない 工事担当者「狙いました」
  9. /nl/articles/2404/17/news129.jpg 「ハーゲンダッツ硬すぎ!」と力を入れたら……! “目を疑う事態”になった1枚がパワー過ぎて約8万いいね
  10. /nl/articles/2404/16/news175.jpg 「そうはならんやろ」をそのまま再現!? 「ガンダムSEED FREEDOM」のズゴックを完全再現したガンプラがすごすぎる
先週の総合アクセスTOP10
  1. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  2. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  3. 安達祐実、成人した娘とのレアな2ショット披露 「ママには見えない!」「とても似ててびっくり」と驚きの声
  4. 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
  5. “これが普通だと思っていた柴犬のお風呂の入れ方が特殊すぎた” 予想外の体勢に「今まで観てきた入浴法で1番かわいい」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
  8. お花見でも大活躍する「2杯のドリンクを片手で持つ方法」 目からウロコの裏技に「えぇーーすごーーい」「やってみます!」
  9. 弟から出産祝いをもらったら…… 爆笑の悲劇に「めっちゃおもろ可愛いんだけどw」「笑いこらえるの無理でした」
  10. 3カ月の赤ちゃん、パパに“しーっ”とされた反応が「可愛いぁぁぁぁ」と200万再生 無邪気なお返事としぐさから幸せがあふれ出す
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」