人は、いつも“空”にあこがれ、そしてゲームの中に“空”を再現する:「エースコンバット・ゼロ ザ・ベルカン・ウォー」レビュー(2/3 ページ)
敵エースとの戦いは、これまで以上の緊張感の中で楽しめる
ひと通りの設定が終わったら、早速キャンペーンモードを開始。今回も前作と同じような感じで、第3者の視点から物語が語られていく。もちろん、途中にはストーリーを盛り上げるための証人なども登場し、戦争の背景を事細かに説明してくれるのだ。
のちに「円卓の鬼神」と呼ばれることになるプレーヤーだが、最初はただの雇われ兵士なので、それほど良い機体は選択できない。とはいえ、序盤に出現する敵は腕が鈍いのか、それほど労せずに倒すことができるのだが、このロックオン→撃墜という一連のアクションが、毎度ながら非常に気持ちがいい。
似たようなソフトの中には、リアルさを追求するあまりゲーム性を置いてきぼりにしてしまい、かえって操作性が悪くなってしまうものもあるが、ACE-ZEROではそのような心配は皆無だ。プレイ中に操作性でいらつくようなことは一切なく、非常に快適に遊べた。
この、「リアルかつゲーム性を犠牲にしない」というように作るのはとても難しく、それを毎回成し遂げているのには感心させられる。さまざまなゲームをプレイしてみたものの、リアルさとゲーム性が同居しているのは、やはりエースコンバットシリーズが一番だろうと改めて思ったほどだ。
今回、プレーヤーはベルカ軍を相手に、最初はウスティオ空軍として、のちに連合軍の一員として戦うことになる。スタート前のブリーフィング画面では、戦いの背景が詳しく説明され、否が応でも雰囲気が高まっていく。また、メッシュ上のマップで敵の配置箇所なども確認できるので、攻略ルートを考えておくのもいいだろう。
作戦内容を頭に叩き込んだら、いよいよ出撃だ。出現する敵は、「TGT」というマークの付いた倒すべき相手と、黄色いマークで表示される「イエローターゲット」に別れている。TGTを全て墜とせばミッションクリアとなるのだが、より報酬がほしいという人は、攻撃してくる「グリーンターゲット」だけでなく、イエローターゲットも墜としたいところ。ただし、TGTの破壊を最優先にするか、イエローターゲットも積極的に狙うかなどによって、ミッションクリア後の評価が分かれるのだ。エースパイロットなのは変わらないが、反撃できない敵機を見逃したり味方の救援におもむけばナイト・エースとなるし、全てを見逃さず容赦なく墜とせばマーセナリー・エースとなる。戦局に合わせて行動すればその中間、ソルジャー・エースに行き着く。これらにより、敵味方の無線内容が変化するだけでなく、出現する敵エースも変わってくるのだ。今回はマーセナリ・エース寄りに進んだため、敵エース・ロト隊との戦いが待っていた。所詮はこちらの敵じゃないな……などと心の中で思いながらドッグファイトを展開していたのだが、思ったよりも手ごわい。それでもなんとか撃墜し、敵を排除できたときはうれしいもの。思わず鼻が高くなってしまう。
なお、ミッションクリア後はリプレイが表示されるのだが、これも毎回感心してしまうぐらいカメラアングルが秀逸、おかげで、スタートボタンでスキップするのをためらってしまうほどだ。このリプレイを見ていると、自分が操る機体の動きが普段以上に華麗に見えてしまうため、ついうっとりとしてしまうかもしれない。
逆に、敵機に墜とされた直後にもリプレイが入るのだが、この時は自分の下手な操縦には、怒鳴り声をあげて文句を言ってしまう。もちろん、何か言ったところで状況が変わるわけではないのだが、そのぐらいライブ感もたっぷりあるということだ。
その後、基地に戻るとデブリーフィング画面が表示され、自らが飛んだ軌跡を見ることができる。敵機との戦いの模様がディスプレイに矢印で映し出され、自機が螺旋状に動きながら距離を詰めていき、相手の印に×が付いて消滅。地上物にも次々と×が付き、ふっ、と消える。その間、脳裏では、先ほどの戦いが走馬燈のようによぎっていくのだ。敵機を背後から追いつめ、ミサイルをヒットさせたときの喜びや、地上物を機関砲で破壊できたときの爽快感などが、映画のスクリーンに映し出されるかのように蘇ってくる。
クリアしてしまえば、どんなに苦労したミッションでもよい思い出。その戦いを自らの経験へと昇華させ、得たクレジットを使い新しい機体と特殊兵装を購入し、新たなミッションへとチャレンジしていく。するとヤメ時を失ってしまうわけで、ついつい十数時間も連続でプレイしてしまい、結局は最後までたどり着いてしまった。もっとも、一周クリアしたぐらいでは、すべてを遊びつくすことは不可能なのだが……。いずれにせよ、ハマってしまうゲームであることは、間違いのない事実だ。
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