ワクワクして電源を切るのがつらい。古き良き感覚を呼び覚ます新感覚RPGにコンタクトせよ「コンタクト」レビュー(1/2 ページ)

ニンテンドーDSでは珍しい、オリジナルの新作RPG「コンタクト」は、オンラインRPG風の手軽なオート戦闘と、寄り道してこそ楽しい隠しイベントの数々があるなど熱中度が高く、ゲームをプレイしているという強い手応えを感じられる作品だ。

» 2006年04月04日 17時22分 公開
[立花裕壱,ITmedia]

懐かしいのに新しい

 ダンジョンの隠し通路の先にはお宝が眠り、町はずれの人に話しかけると「○○がほしいなあ」とイベントが始まる……。「コンタクト」を遊んでいると、ワクワクして電源を切るのがつらかった古き良きRPGのプレイ感覚を思い出す。一目散にクリアを目指すなんてもったいない、と言い切ってしまおう。隅から隅まで歩き回り“こんなところにも隠し要素があったのか!”と驚いてほしい。ゲームをプレイしているという強い手応えがコンタクトの長所だ。

 もちろん、ただの懐古趣味とは違う。戦闘スタイルはフィールドで直接敵と戦うオンラインRPGのスタイルで、昔かたぎのエンカウントによるストレスはなし。ニンテンドーDS(以下、NDS)の機能を生かして、基本的にタッチ操作だけでも遊べるように工夫されている。正直言って、序盤は主人公が弱く、やれることも少ないので面白さを実感しにくいかもしれない。だが、そこは我慢のしどころだ。中盤以降、釣りや料理などができるようになってからが本番なのである。

 そしてもうひとつ、コンタクトの魅力を支えるのは、ゲームのところどころに見られる作り手のセンスの良さではないだろうか。上画面のハカセのラボはファミコン風のドット絵が使われ、下画面のフィールドはもう少しリアルなタッチで描かれる。2画面の表現をわざわざ変えているのが新しい。また、セリフ回しやハカセのちょっとした会話にも独特の味がある。マスコット的存在の「ニャンニャン」が、実は「ネコになりたい犬」という設定にも笑ってしまう。新しいけど懐かしい、オーソドックスだけどユニーク。コンタクトは、いろいろな側面がうまく融合している。

 制作は、異色作「killer7」などを開発した須田剛一氏率いるグラスホッパーマニファクチュア。コンタクトのディレクター上田晃氏は同社で「シャイニング・ソウル」シリーズを手がけたという。そう言われてみると、シャイニング・ソウルのゲームとしての面白さと、グラスホッパーの尖ったセンスが同居しているような気がする。また、プロデュースは「牧場物語」シリーズのディレクターを務めるおぐらたけし氏となっている。

photo
photo 上画面にいるのんきなハカセは助言もくれるが、基本的には役に立たないセリフばかり。でも、そこに味がある
photo 下画面のグラフィックは、ハカセのラボよりも背景が少しリアル。比べてみると、違いがよくわかる

空から宝石と宇宙船が降ってきた!

photo

――学校をサボって公園で昼寝していた少年チェリーは、目の前に緑色の宝石が落ちてきたのを目撃する。触ろうとすると今度は宇宙船が着陸し、白衣の老人「ハカセ」が出てきた。

「それにふれてはいかん!」
さらに空から赤い光が……。
「あぶない! とにかくこれにのるんじゃ」

 言われるまま、宇宙船に乗り込んだチェリー。だが、赤い光に攻撃され、宇宙船は無人島に不時着してしまった。困ったハカセは、ゲームの外にいるプレイヤーに協力を依頼する。

「おーい きこえるか? チェリーじゃなくてあんたじゃよ」
「さっそくだが たのみがある エレメントをいっしょにさがしてほしいんじゃ」


 型破りなオープニングに少し驚かされるが、ここからも分かるように、本作のポイントは普通のRPGと違いプレーヤーの分身=チェリーではないことにある。あくまでプレーヤーは画面の外にいて、チェリーを指示する存在なのだ。実はこれがゲーム終盤のシナリオに効いてくる。

 戦闘システムは、先ほども触れた通りオンラインRPG風。フィールドをうろつく敵とバトルしたければ、Bボタンを押して(もしくは敵やチェリーをクリックして)武器を構え、バトルモードに入る。敵に近づくと、あとはチェリーがオートで攻撃してくれるので悩むことはない。戦いたくない場合は、無視して走り去ってもOKだ。ピンチのときは「テク」(必殺技)を使ってしのごう。テクは敵を攻撃するとたまるテクメーターを消費して発動する。斬撃技「ダブル・スラッシュ」や料理人専用技の「3枚おろし」など、武器やコスチュームで使えるテクは異なる。

 成長は経験値によるレベルアップ制ではなく、多数のステータスが戦闘中に個別に上がっていくスタイルだ。「防御」は敵からダメージを受けると育ち、「器用さ」は素早い敵に攻撃を当てると上昇しやすい。

 戦闘中に変動するステータスやスキルはなんと圧巻の23種類が用意されている。「力」、「素早さ」、「体力」、「打撃」、「地属性」、「水属性」、「火属性」、「風属性」、「名声」など、挙げればキリがない。これだけ細かく分かれていると、2〜3回戦闘すればどれかのパラメータが上がる。少しずつではあるが強くなっているのが実感できてうれしい。戦闘システムはあえてシンプルにして、チクチクと育てる楽しさを感じてもらおうという作り手の意図がうかがえる部分だろう。

photophoto 武器を構える戦闘モード。こうなると移動速度は遅くなる。戦うか、逃げるかはプレーヤーの自由だ
photo ずらりと数値が並ぶステータス画面。関連する行動を取れば取るほど、そのステータスが上がる。育成の幅は広い

個性的な島々がプレーヤーを待つ

photo 町ではさまざまなイベントが発生するので会話ひとつ取っても侮れない。女の子を口説くこともできるとか!?

 チェリーが冒険するのは、海に囲まれた島々だ。最初に不時着した無人島から始まって、自然豊かな観光地「カルドキア」、森の中に謎の軍事基地がある「アルメカ」、砂漠の中にピラミッドが立つ「エイジス」と、それぞれ島ごとにガラッとイメージが変わる。中には「ハバラ島」なる島もあり、ここでは某電気街を思わせるビルがダンジョンになっていて、冷蔵庫や掃除機が襲ってくる。しかも、懐かしのレトロゲームのパロディまで……。ありがちなRPGの世界観と思いきや、こうしたお遊びが入っているのが何ともニクい。

 町にはゲーム進行に直接関係ないイベントも盛りだくさん。一度クリアした町にまた行くと、人が増えていて新たなイベントが発生することもある。島を行き来するための船の移動が少し面倒なのが玉にキズだが(船の移動が始まったらチェリーをベッドに寝かせ、セーブを断ると速く到着する)、少し進んだら前の場所へ行ってみるのもいいだろう。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/19/news036.jpg 1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
  2. /nl/articles/2404/17/news037.jpg 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  3. /nl/articles/2404/19/news128.jpg 「プロ野球チップス」で誤字 伊藤大海投手を「176m」と記載してカルビー謝罪
  4. /nl/articles/2404/16/news112.jpg 「ママ友襲来10分前」→さぁ、どうする……? 大爆笑の“あるある”再現が400万再生突破「腹ちぎれました」「バナナ食べんでもええやん」
  5. /nl/articles/2404/18/news134.jpg 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  6. /nl/articles/2404/18/news032.jpg 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに手をスリスリされた瞬間…… 愛と幸せあふれる空間に笑顔になる「これぞ天使だ」
  7. /nl/articles/2404/18/news130.jpg 漂う違法感 東京に戻る息子へ持たせた“大量のブツ”に「九州人あるある」「帰省からの帰りいつもこれ」の声
  8. /nl/articles/2404/18/news176.jpg 「大型魚の餌に!!」 熱帯魚店の“思わず目を疑うPOP”に恐怖 「サメでも飼うの?」
  9. /nl/articles/2404/18/news015.jpg 【追記】クルマのヘッドライトを「魔法の水」で磨いてみたら…… SNSで話題「ダイソーのアルカリ電解水」の効果に「今日やってみます」「参考になりました」の声
  10. /nl/articles/2404/16/news135.jpg 鼻がムズムズの2カ月赤ちゃん、息を吸い込んだ次の瞬間……! まるで天使な8秒に「このくしゃみは何!?」「全てがかわいい」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  2. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  3. 安達祐実、成人した娘とのレアな2ショット披露 「ママには見えない!」「とても似ててびっくり」と驚きの声
  4. 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
  5. “これが普通だと思っていた柴犬のお風呂の入れ方が特殊すぎた” 予想外の体勢に「今まで観てきた入浴法で1番かわいい」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
  8. お花見でも大活躍する「2杯のドリンクを片手で持つ方法」 目からウロコの裏技に「えぇーーすごーーい」「やってみます!」
  9. 弟から出産祝いをもらったら…… 爆笑の悲劇に「めっちゃおもろ可愛いんだけどw」「笑いこらえるの無理でした」
  10. 3カ月の赤ちゃん、パパに“しーっ”とされた反応が「可愛いぁぁぁぁ」と200万再生 無邪気なお返事としぐさから幸せがあふれ出す
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」