20歳の約束 〜戦地に生きたティーンエイジャーの思い出:ファンタジーアース体験入国奮闘記:渡る世界は敵や味方やモンスターばかり(その4)(2/2 ページ)
キル数のみが栄誉にあらず
3月某日
戦争に明け暮れてついにレベル19に! いつの間にか高校を卒業していた、という感じだ。相変わらず戦争部所属、という勢いで戦争まみれの生活。モンスター討伐をすっかり忘れて戦争に夢中になっていた。
おかげさまでリングで買えるスティールボウという弓を入手。製品版で初めてリングで購入した逸品だ。スティールボウは通常のショップでは売っていないのでレア感もあり所有していてうれしくなってしまう。防具は通常ショップで買ったもので身を固めているが、これもレベル15の頃と比べれば一式入れ替わったので、明らかに自分のレベルアップを実感できるビジュアルになった。
そんな青年kirianの目下の課題は冒頭に述べた2つ。しかし、何度も戦争に参加するうちに「キル数ばかりが重要ではないな」という思いが強まった。これは言い訳などではなく、本当にキル数だけで自国の勝利がもたらされるわけではないのだ。もちろん敵国本陣HPをゼロにすることが主目的なのだが、そこに結びつく要素へのアプローチは多角的だ。
まずクリスタルを取得して「オベリスク」や「アロータワー」を建てること。これは序盤で重要だ。加えてそのクリスタルを円滑にプレーヤーたちに行き渡らせるクリスタル銀行というポジションもかなり重要。通称クリ銀と呼ばれる彼らは、マップを見て戦局を味方に示す司令塔的な働きをすることもある。地味だが感謝されるべき仕事だ。
kirianの攻撃力では相手に致命傷を与えることができない、ということも重々承知しつつ、前章でも述べたようにチクチクと攻める戦術をとると、これがなかなか面白い。スパイダーウェブというスキルで敵国プレーヤーの動きを遅くしたところに、自国ウォリアーが斬りかかって敵を倒す、というコンボが何度か決まったことがあった。これはkirianのキル数には反映されないが、確実に自国の勝利につながる行動ができた、と胸がすく思いがしたものだ。
また敵国プレーヤーを殺さずとも、敵国のオベリスクなどを壊すことでも自国に貢献できる。所持クリスタルが余っている場合に、欲しがっている仲間に渡すことでも貢献できる。そして何より、なるべく死なない、ということも重要だ。そういったもろもろの立ち回りが、ここ何日かのプレイでかなり手際よくなったな、という感があった。実際に戦争勝利の画面でランキングを見ると、キル数こそゼロなものの、他のところではけっこういい成果を出していたりすることに気付く。またキル数ゼロだとしてもランキング60位だったりすることはざらで、要するに誰も殺していない人が40人はいるのだという計算。それでも殺していない人が貢献していないかというと、そうでないことは前述した内容でお分かりいただけると思う。戦争の多様さ、面白さを改めて感じたものだ。
ネツァワルの連帯感 〜戦争中にチャットするがおー
戦争でのチームプレイをしていくうえで欠かせないのが、自国のプレーヤーたちとのコミュニケーション。クリ銀さんとのやりとりや「西が手薄です」、「北に援軍いきます」などのチャットによる情報交換も大事だ。チャットには範囲設定があり「軍団」という項目を選択すると、自軍のみに伝わるチャットモードになり文字の色が黄色になる。ここでの作戦チャットでばしばし援軍要請や指示が出るわけだ。
また、始まりと終わりには「よろしく」、「おつかれ」の挨拶はよく交わされるところだが、我が国ネツァワルの傾向として「よろしくがおー」とか「おつかれがおー」などと挨拶に「がおー」をつけるプレーヤーが多く見受けられた。これはネツァワル王の、戦争中に「がおーーーーー。ふぅ。吼えてみただけだ……」というメッセージを出したりする、そのおちゃめな「がおー」キャラに由来するものだと思われる。国の同胞という連帯感が生まれる、というと大げさだが、お国ごとに挨拶の風習が違うのであれば、それはなかなか面白いことではなかろうか。他の国でそのような独特の挨拶語尾はあるのだろうか。気になるところである。ちなみに筆者も「よろしくおねがおします」とか「がおつかれー」などと適当にアレンジして挨拶したりしている。
レベル20までのプレイでは、特定の友人ができるような個人チャットをすることがなかったが、戦争に何度も参加していると「あ、またあの人いるな」とすっかり自国キャラの名前を覚えたりして親近感がわきまくる。そして軍団チャットによる会話で指示を出したり出されたり、お願いしたりされたり、といったところでも充分にコミュニケーションとして面白いというのが、現段階での筆者の見解だ。今日もまたどこかで「よろがおー」と叫んでいるネツァワルの同胞に乾杯である。
20歳直前にして奇跡が……!
4月某日
とまあ、そんな感じで「コミュケーションをとろう」という目標は多少甘い判定であるが達成かなと思いつつ、さらに戦争をしていたある日のこと。
「あれ。今俺、あの人倒した?」
「あれれ。倒したよね……」
「このkirianが倒したんだよね!?」
ついに。ついにこの日がやってきました!製品版をプレイし続けて初めてのキル! レベル20を目前にしての奇跡の一発であった。なるべくダメージをくらわずになるべくダメージを与える、というちくちくプレイを続けてきた結果としての初キル。ちょうどHPの少なくなっている敵国プレーヤーが目の前にいて、確かトゥルーショットだっただろうか、狙って撃っていたら「うわあ」と声を上げて相手が倒れたのである。
今までも似たような状況があって、あわや初キルか、というところで、惜しくも自国の別プレーヤーに手柄を譲る場面が何度かあった。「これはそのうちキルいけそうだな」と思っていた矢先のこと。「キル数だけが栄誉じゃない」と前述はしたが、それでも明らかな手柄があると人はうれしいもの。そして筆者も人の子。敵を倒したとわかった瞬間に、思わず「よっしゃ」と小さく叫んでしまったのだ。
苦節19年、いやレベル19。十代最後の思い出として、なかなか素敵なものをもらえたな、と自分で自分を褒めてやった。ちなみにこの戦争でkirianのレベルはめでたく20に。何ともキリがよくめでたい話だ。戦争が終わり一息ついた筆者はビールを飲みながら、ワールドマップを眺めていた。もちろんこのビールはkirianの20歳のお祝いである。
さて。ギリギリのところで何とか当初の目標を達成したkirian。次回の目標は「召喚モンスターになる!」これでいこうと思う。ナイトにジャイアント、そして4月前半のバージョンアップではさらなる召喚モンスターも追加されると聞く。召喚モンスターになって敵陣に乗り込む味方を横目に「かっこええのう」と指をくわえていたものだ。そんなkirianも20歳。へたれながらも一応立派な大人になったので、いろんなことにチャレンジしていきたいと思っている。
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制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2006年4月30日