“初めて天外魔境をプレイする人がうらやましい”と愚痴もこぼれるほどのデキ:「天外魔境 ZIRIA 〜遥かなるジパング〜」レビュー(1/2 ページ)
PCエンジン時代からのファンなら感涙モノ、初めて触れる人なら過去のRPGの偉大さを思い知らされるであろう「天外魔境」シリーズ。内容に定評のある過去の大作を最新ハードXbox 360で表現するとこうなる、という後続に向けたよい手本となった作品といえる。
過去について語ってもよいですか
「天外魔境」といえば、忘れもしない1989年6月に発売されたPCエンジン版。この作品を語るのに、PCエンジン版に触れない方法を筆者は知らない。当時画期的だったCD-ROMを記憶媒体にした初のゲーム機、PCエンジンCD-ROM2をプラットホームに、鳴り物入りで登場。ハード販売台数の向上にかなりの寄与をした、当時のゲーマーにすれば伝説的なタイトルなのである。
かくいう筆者も、PCエンジンCD-ROM2を購入するキッカケになったのがこのソフトだ。今となっては珍しくもないが、当時イベントシーンでアニメーションを使うという手法は、かなり斬新だった。このエポックメイキングな出来事に“ゲームもとうとうここまできたか!”と拍手喝采したものである。
しかも、あろうことかゲームミュージックは、あの世界の坂本龍一さんが担当。媒体はCD-ROMなので、イベントシーンでは生オーケストラがガンガン流れ、さらにはアニメーションもグリグリと動いた。その分、通常のゲーム画面に戻った時、内蔵音源のピコピコ音と当時のRPGを思わせるタイルマップに、かなりのギャップがあったのは確かだが……。
さまざまな物議をかもしたゲームでもあった。当時のRPGといえば、自分で名前を決め、その世界に入り込み、自分が冒険をするというのが当然の流れだった。しかし本作は、主人公の名前が最初から決まっており、しかもイベントごとに自分の意図や思いを完全に無視してストーリーが展開されてしまう。しかし、現在ではそんなRPGの手法は当たり前のように存在しているのである。
天外魔境三部作は、この物語から始まる……
天外魔境はもともと三部作として企画立案された、当時にすればかなり大きなプロジェクトだった。1989年に発売された「天外魔境 ZIRIA」(以下、ZIRIA)、1992年に発売された2部「天外魔境 卍MARU」までは順調に製品化されたが、PCエンジンの後継機であるPC-FXが業績不振だったこともあり、3作目は立ち消えになっていた。以後、外伝として「天外魔境 風雲カブキ伝」、「天外魔境 カブキ一刀涼談」、「天外魔境 真伝」、「天外魔境 電脳絡操格闘伝」が発売されるものの、物語の終結にあたる3作目「天外魔境 NAMIDA」が発表された2005年までには、実に13年ものブランクがあったのである。
最新ハードXbox 360で再登場した初代のリメイク「天外魔境 ZIRIA〜遥かなるジパング〜」は、目に映るものすべてが新鮮だ。今のハードウェアの力をもってすれば当然のことなのだが、アニメーションが劇的にキレイになっている。そして、アニメーションが終わっても、そのままのディテール表現を保ったまま3D化された主人公・自来也(じらいや)たちを操作できるのである。17年ぶりに再会した天外魔境は懐かしい反面、あまりに成長しすぎていてちょっと照れくさい感じだ。
懐かしさにばかり浸ってはいられない
ジパングという島国を一度は滅亡させかけた、魔王マサカド。そのマサカドを封じ込めた火の一族の末裔が主人公の自来也だ。筑波山のガマ仙人に師事し、武者修行を積んでいた自来也のもとに、突如異形の者たちが現れ、ガマ仙人を誘拐、筑波山の美しい木々をすべて燃やし尽くしてしまう。自来也はガマ仙人を助けるために旅立つ。
そのころジパングでは、大門教という一風変わった宗教がはやりだしており、時代に変化が訪れようとしていた。どうやらガマ仙人をさらった人物の裏には、この大門教が絡んでいる様子。自来也は、冒険を進めるごとに、大門教のなぞに踏み込んでいくことになる。
プレイしたことのある人も多いであろうZIRIAだが、そんな人が“懐かしさ”だけで本作を始めたとすれば、うれしい意味で期待を裏切られることになる。物語はPCエンジン版をより掘り下げた内容になっており、説明不足だった(というより、容量不足だった?)部分を補ってあまりあるストーリー展開が楽しめるからだ。
ストーリーはRPGの根幹とも言える部分なので詳細は避けるが、それ以外にも変わった部分がある。戦闘シーンだ。主人公たちはもちろん、モンスターなどすべてのキャラクターには「物・火・水・氷・雷・風」という自然属性が設定されており、「光・闇」といった精神属性、さらには「ガマはナメクジに、ナメクジはヘビに、ヘビはガマに強い」という3すくみ属性が用意されている。これらの属性をコントロールするのが「陣形」で、味方にとって不利な相手が登場したときは、その不利な効果を相殺する陣形を選択すると有利に戦闘を行えるようになっている。
最初はあまりに種類が多すぎて大混乱をきたしたのだが、プレイを進めるうちに徐々に慣れていき、その法則が当たり前のように感じられる。今となっては逆に、モンスターに属性が設定されていないゲームが味気なく思えるくらいだ。
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