日本を感じろ――ドキドキ、ワクワクが止まらない由緒正しき冒険活劇:「大神」レビュー(1/3 ページ)
水墨画調のグラフィックや、画面に筆を走らせて様々な奇跡を起こす「筆しらべ」など、見た目の新しさについ目を奪われがちだが、「大神」はただ新しいだけの作品ではない。忘れかけていた“ゲームって楽しい!”という感情を、呼び覚ましてくれる良作だ。
新しいだけではない、良質なアクションアドベンチャー
制作発表から待つこと2年、クローバースタジオ渾身のオリジナルタイトル「大神」がついに発売を迎えた。開発元であるクローバースタジオは、もともと「バイオハザード」や「デビルメイクライ」、「逆転裁判」などの人気作を手がけてきたカプコン第4開発部のスタッフを中心に、2004年にカプコンの開発スタジオとして分社化・設立されたもの。言わば、カプコンの一番オイシイところだけを切り取ったようなメーカーだ。本作はそのクローバースタジオが放つ完全オリジナルタイトル第1弾ということで、個人的にも発表当初から期待を寄せていた作品だったりする。
本作を象徴する要素として、真っ先に思い浮かぶのが「水墨画調のグラフィック」と、画面に筆を走らせ、さまざまな奇跡を起こす「筆しらべ」だろう。確かにどちらの要素も、これまでのゲームにはなかった新しいモノだ。でも、本作は決してそれだけの作品ではない。アクション、謎解き、物語……むしろこうした基本的な部分にこそ、本作の魅力や、こだわりが詰まっているような気がする。パッと見のインパクトが強すぎることもあり、ともすれば「変化球」のイメージを与えがちな本作だが、むしろゲーム内容はストレート、それも極めて良質なアクションアドベンチャーに仕上がっている。
ポリゴンであることが信じられない、圧巻のグラフィック
とは言え、やはりその独特なグラフィックについて触れないわけにはいかないだろう。雑誌やWebなどでさんざん目にしてきたとは言え、「和」のイメージを強く打ち出した水墨画調のグラフィックはやはり圧巻だ。スクリーンショットを見ていても、いまだにこれがすべてポリゴンでできていることが信じられないくらいである。
静止画しかお見せできないのが残念だが、実際に動いている映像はまた一段階上の感動がある。草木はゆらゆらと風に揺れ、空には雲や風がたなびく。主人公であるアマテラスが走れば、その後には草が生え、敵を倒せば花が咲く。後述する「筆しらべ」を使えば、枯れた大地をよみがえらせたり、風や水を自在に操ることもできる。プレーヤーの操作に合わせて目まぐるしく表情を変えるナカツクニ(本作の舞台となる世界)は、それ自体がちょっとしたインタラクティブアートのようなものである。
こうした映像美の極致とも言えるのが、荒廃した大地に生命力を注ぎ、よみがえらせる「大神降ろし」の瞬間だ。それまで灰色だった大地にどわぁーっと緑が広がり、草花の波が大地を覆い尽くしていく演出は、何度見ても背筋がぞくぞくしてしまう。こうして失われた自然を少しずつ取り戻していくのもゲームの目的のひとつなのだが、大神降ろしの演出見たさについつい先へと進めたくなってしまう。
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