日本を感じろ――ドキドキ、ワクワクが止まらない由緒正しき冒険活劇「大神」レビュー(2/3 ページ)

» 2006年05月02日 14時45分 公開
[池谷勇人,ITmedia]

謎解き、探索、戦闘――すべての核となる筆しらべ

 オオカミの姿を借りているとは言え、仮にもアマテラスは神様。ゲーム中ではその力を振るい、さまざまな奇跡を起こすことができる。これが本作のもうひとつの見どころ、筆しらべだ。

 使い方は簡単、ゲーム中にR1ボタンを押すと画面が静止し、画面上に巨大な筆が現れる。これを左スティックで動かし、画面に線を走らせると、描いた模様によってさまざまな奇跡が起こるというわけだ。アマテラスが使える筆技は、壊れたものを元通りにする「画龍」(修復したい個所を塗りつぶす)、あらゆるものを両断する「一閃」(直線を引く)、枯れ木に花を咲かせる「桜花〜花咲の力〜」(枯れ木を円で囲む)など、全部で13種類。最初からすべてを使うことはできないが、各地に封印された筆神たちを解放することにより、1つずつ筆技を取り戻していく形となっている。

 新たな筆技を修得することで、これまで行けなかったところに行けるようになったり、これまで倒せなかった敵が倒せるようになったりするあたり、使い方としてはそう、例えた「ゼルダの伝説」のアイテムに近い。線の引き方ひとつで、武器にも、道具にも、移動手段にもなるという意味では、こちらのほうがずっと洗練されていると言っていいかもしれない。実際、本作の謎解きや探索、イベントのほとんどは筆しらべを使って行うようになっており、たったこれだけの要素でひとつのゲームを成立させてしまっていることに驚かされる。

 と、ややこしい話は抜きにしても、単純に“画面に線を引く”というアクションの気持ち良さと、描いた線がたちまち風や草花になって動き出す、というギミックだけで個人的には大満足だったりする。筆1本であらゆるものを生み出す気持ち良さは、まさに神様になった感覚だ。ぜひとも実際に触って、体験してみてほしい。

photophoto 橋が壊れていて先に進めない。こんな時は画龍で橋を直せば進めるようになる
photophoto 岩をもまっぷたつにする一閃。探索に、戦闘にと活躍するため、使用頻度は高い
photophoto 枯れ木をよみがえらせる桜花。桜花にはこのほか、ツタや蓮の葉といった植物を操る力もある

魅力的なキャラクターたちが織りなす笑いと感動のストーリー

 ここまで触れてきたのは、本作の“新しさ”の部分となる。もちろんこれだけでも十分に触ってみる価値はあるが、実はそれ以外の、物語や謎解き、アクションといった“ゲームの土台”となる部分にも、本作の魅力はたっぷり詰まっている。

 中でも魅力的なのが登場人物たちだ。特に主人公のアマテラスは、写真で見るかぎりはりりしい大神さまなのだが、実際遊んでみるとまったく神様っぽくない……というかまるっきりオオカミそのものだ。なにせこの神様、人々が話をしていても“クゥーン”とか“ワオ?”とか首をかしげながら尻尾をぶんぶん振るばかりというバカっぷり。華麗なアクションシーンなどから、勝手に寡黙な一匹狼を想像していた筆者としては、あまりのギャップに思わず噴き出してしまった。

 そんなアマテラスの代わりに物語の転がし役になってくれるのが、ふとしたことから旅をともにすることになる妖精のイッスン(こちらはちっちゃいくせに口だけは達者)だ。例えば人々が何か“困ったねぇ”と話を持ちかけてきても、アマテラスはトボけた顔で尻尾を振っているだけ。そこへイッスンがピョンピョン跳ねながら“よし、さっそく行ってみようぜ……聞いてンのカィ、アマ公!”とツッコむ。この奇妙な二人三脚が最高に楽しくて、見ているこっちも思わずほのぼのしてしまう。

 物語は誰でも知っている「ヤマタノオロチ伝説」をベースに、さまざまな神話や昔話のエッセンスを散りばめたものになっている。スサノオやヒミコといった「古事記」、「日本書紀」の人物が登場したかと思えば、桃太郎や浦島太郎、スズメのお宿に竜宮城まで出てくるため、“次は誰が出てくるんだろう”と想像するだけでもけっこう楽しかったりする。彼ら魅力的な脇役たちと絡み合いながらテンポよく二転三転するストーリーも秀逸で、ひさびさに物語でワクワク、ドキドキできるゲームに出会えたと思う。

photo 口は悪いが憎めない、大切なパートナーのイッスン。アマテラスとのかけ合いは最高!
photo 伝説の英雄イザナギの子孫スサノオ。最初は怠けてばかりで頼りないが、やがて……
photo 行く先々に現われては、おかしな予言を残していく謎の男ウシワカ。なぜ英語!?

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

先週の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  4. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  5. 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  6. 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  7. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  8. ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
  9. 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
  10. セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」