日本を感じろ――ドキドキ、ワクワクが止まらない由緒正しき冒険活劇「大神」レビュー(3/3 ページ)

» 2006年05月02日 14時45分 公開
[池谷勇人,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

“動かす”ことが純粋に楽しい

 主人公がオオカミという要素は、アクション面にも色濃く反映されている。広大なナカツクニを四足歩行で疾走する爽快感は、人間キャラクターを操作するのとはまた違った気持ち良さだ。ジャンプや攻撃といったアクションも、躍動感たっぷりに描かれている。

 先に書いたように、アマテラスのアクションに応じて花が咲いたり、草が茂ったりするのも心憎い演出だ(一瞬で消えてしまうけど)。開発初期のムービーでは確か、アマテラスが走った後には土煙が舞うだけだったのだが、製品版では土煙のかわりに草が生えるようになっていて驚かされた。ほかにもジャンプすれば木の葉が舞い、頭突きをすれば紅葉が散るといった具合に、プレーヤーの操作が「神の奇跡」となって跳ね返ってくる。“自分の操作が画面内に影響を与える”のがただただ楽しくて、つい意味もなくジャンプしたり、走ったりしたくなってしまう。

 もちろん、筆しらべの気持ち良さは言わずもがなだ。描いた線がたちまち風になる。枯れ木を囲めば桜が咲き乱れる。岩をも切り裂く剣筋も、立ちのぼる水柱も自由自在。とにかく“動かす”ことが気持ち良くて、コントローラを触っているだけでシアワセな気分になれる。初めてファミコンで遊んだとき、“画面内のキャラクターが動いた”というだけで大騒ぎしていたのを思い出してしまった。

photo アマテラスが走った後には草木が生い茂る。こうしたエフェクトを見ているだけでも楽しい
photo 壁面を蹴って三角飛び。蹴った所に草が生え、紅葉が散っているのが分かる
photo 戦闘中のアクションも多彩。□ボタン連打でどんどんコンボがつながっていく

たっぷり遊べる寄り道の数々。コンプリートは遠い?

 最初はかつての力を失ってしまっているアマテラスだが、人助けをしたり、自然をよみがえらせることで得られる「幸玉」を集めることで、体力や筆しらべに使う「墨ヒョウタン」の最大値などを強化していくことができる。こうした本筋とは無関係な寄り道要素がたっぷり用意されているのも、本作の魅力のひとつとなっている。

 幸玉の入手条件はそれこそ無数に転がっており、人々の頼みごとを聞いてあげた時などはもちろん、枯れた木を筆しらべで蘇らせたり、動物たちにエサをあげたりするだけでも、わずかではあるが幸玉を得ることが可能だ。中には思わぬところで筆しらべを使わないと入手できなかったり、フィールドの隅のほうにぽつりとたたずむ枯れ木があったりと、すべての幸玉を集めるのはなかなか大変だと思う。でも、それだけに意外なところで幸玉を見つけた時のうれしさ、達成感はまた格別だったりする。

 幸玉集め以外にも、世界のあちこちに散らばった「はぐれ珠」集めや、指名手配妖怪の討伐、図鑑のコンプリートなど、やるべきことは満載だ。ストーリーそっちのけで幸玉やアイテムの収集に走る人も多いことだろう。

photo 大神降ろしで大地に命を取り戻すと、一気に大量の幸玉を手に入れることができる
photo 会社名にちなんでか、あちこちに埋もれたクローバー。これを見つけても幸玉がもらえる
photo 「おかみさんから逃げつつ畑のダイコンを抜け!」といったサブイベントも豊富で飽きさせない

ひさびさに“ゲームって楽しい!”と思わせてくれる良作

photo ゲームの楽しさのすべてが詰まった良作。ゲーム好きにこそ遊んでもらいたい作品だ

 グラフィックや筆しらべといった派手な部分にどうしても目が行きがちだが、むしろ遊んでみて驚かされたのは、“動かす楽しさ”、“謎や仕掛けを解く楽しさ”、“物語を追う楽しさ”といった、言わばゲームの基本ともいえる要素に、ものすごく敬意を払って作られていることだった。くだいて言えば、“意外と普通で、それでいて上質のアクションアドベンチャーですよ”ということだ。

 インタビューでも言われていた通り、本作は初心者からコアなゲームマニアまで楽しめる、たいへんに間口の広い作品になっている。でも個人的には、その中でも特に、“最近のゲームには飽きちゃった”というコアユーザーにこそ、本作は遊んでいただきたいと思う。かつて味わった“ゲームって楽しい!”という感動を、きっと思い出すことができるはずだ。


 ……ところで、最後にもうひとつだけ強調しておきたいことがある。

 それは、アマテラスを含めた、出てくる動物たちのかわいらしさ! 特にアマテラスのバカオオカミ(いい意味ですよ)っぷりは、オオカミ好きはもちろん、犬好きならば思わずほおずりしたくなること間違いなし。動物好きなら、絶対に遊んでおくべき! と断言できる作品です。

photo 普通の人から見れば、アマテラスはただのオオカミ。この何も考えてなさそうな表情がたまりません
photophoto 口をあんぐり開けて、驚いているアマテラス。このあとはもちろん……落下、そして大開脚。時折見せるオトボケな一面が最高!

大神
対応機種プレイステーション 2
メーカーカプコン/クローバースタジオ
ジャンルネイチャーアドベンチャー
発売日発売中
価格7140円(税込)
前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/21/news189.jpg 「大物すぎ」「うそだろ」 活動中だった“美少女新人VTuber”の「衝撃的な正体」が判明 「想像の斜め上を行く正体」
  2. /nl/articles/2411/22/news014.jpg 川で拾った普通の石ころ→磨いたら……? まさかの“正体”にびっくり「間違いなく価値がある」「別の惑星を見ているよう」【米】
  3. /nl/articles/2411/22/news114.jpg 中村雅俊と五十嵐淳子の三女・里砂、2年間乗る“ピッカピカな愛車”との2ショを初公開 2023年には小型船舶免許1級を取得
  4. /nl/articles/2411/21/news027.jpg 大きくなったらかっこいいシェパードになると思っていたら…… 予想を上回るビフォーアフターに大反響!→さらに1年半後の今は? 飼い主に聞いた
  5. /nl/articles/2411/22/news032.jpg 「壊れてんじゃね?」 ハードオフで買った110円のジャンク品→家で試したら…… “まさかの結果”に思わず仰天
  6. /nl/articles/2411/22/news018.jpg 猫だと思って保護→2年後…… すっかり“別の生き物”に成長した元ボス猫に「フォルムが本当に可愛い」「抱きしめたい」
  7. /nl/articles/2411/22/news171.jpg なんと「身長差152センチ」 “世界一背が低い”30歳俳優&“世界一背が高い”27歳女性が奇跡の初対面<海外>
  8. /nl/articles/2411/22/news145.jpg 大谷翔平と真美子さん、「まさかの服装」に注目 愛犬デコピンも大谷家全員で“歩く広告塔”ぶり発揮か
  9. /nl/articles/2411/20/news027.jpg 「こんなことが出来るのか」ハードオフの中古電子辞書Linux化 → “阿部寛のホームページ”にアクセス その表示速度は……「電子辞書にLinuxはロマンある」
  10. /nl/articles/2411/22/news184.jpg 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  2. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  4. まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
  5. 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
  9. ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  10. 中央道から「宇宙戦艦ヤマト」が見える! 驚きの写真がSNSで注目集める 「結構でかい」「どう見てもヤマト」 撮影者の心境を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた