早起きな「Wii」眠らない「Wii」――任天堂は「Playing=Believing」を提唱する:E3 2006「任天堂メディアブリーフィング」(3/3 ページ)
また岩田氏は、過去20年間でゲーム機の機能は向上しながらも、その起動時間が長くなっている点を挙げ、忙しい時などにはその待たされる時間にイライラすることも度々あると、プレーヤーの視点に立ったゲーム機であることを目指したという。DSでは蓋を閉じさえすればスリーブ状態となり、開ければすぐに再開できるなど、すでに実践しているわけだが、Wiiでもその問題を解決する術を内包させていると明かす。
「Wiiではバーチャルコンソールのゲームや、operaブラウザなどのフラッシュロム上のアプリケーションを、電話やテレビと同じくらい早く、たった数秒以内に起動することができます。また、どんなパワフルなゲーム機でも電源が入っていなければなにもできないものですが、Wiiではたとえ電源が入っていなくても、さまざまなサービスを提供できるようゲーム機を設計しました」と、“けっして眠らないシステム”という表現で岩田氏は、「Wii Connect 24」と呼んでいるシステムを搭載していることを明かした。
この機能によってコンソールは自動的にスタンバイモードになるという。ファンは止まるものの、コアとなる部分は作動し続けており、小さな豆電球1個分ほどの消費電力で稼働するのだという。これは、Wiiがインターネットと常時接続可能になるということを意味しており、眠っている時や遊んでいない時でも、開発者側からゲームの新しい兵器や乗り物などの追加データを自動的にダウンロードさせたり、「どうぶつの森」のように自分の村に友達が遊びに来たりメッセージを残していくといった、毎日電源を入れることが楽しみになるようなことを実現しているのだという。
「ネットワーク接続のためのソフトはゲーム機に内蔵されているので、ソフトの開発者は1行もネットワークのためのプログラムを書かなくても、ソフトの開発者が望む情報をユーザーに与えられるようになります。いつでもこれらの機能を追加できる。我々が目指しているものとは、毎日新しいシステムというものです」と、日々更新され生まれ変わっていくゲームの新しい形を岩田氏は提案する。
岩田氏は、もっとも困難な問題は1度もゲームをプレイしたことない人に、どのようにアピールしていくかと、いくつかの壁を乗り越えなくてはならないと、コントローラやバーチャルコンソールだけでなく、ソフトが大事と「やってみたい」と思わせるタイトルの存在がなくてはならないと、映像でも流された「Wii Sports」を取り上げる。
これはテニスやゴルフや野球などがひとつのパッケージになったWiiと同時発売のタイトルだが、はじめてプレイする人にはコントローラがいかに魅力的なものなのかと感じてもらえる、ゲーム人口の拡大に寄与するひとつの答えだと締めくくる――。「家庭においてゲームで遊ぶ人を増やすことを目的としています。ゲームをする人としない人がいるが、我々はWiiでこの壁を崩していきたいと考えています。年齢、性別、経験という障壁を取り払い、新鮮な体験を提供できるWiiは、毎日なにかが新しいはず。これが答えです」
手に取って見ると分かる。ではどうしたら手に取ってもらえるのか
再度宮本氏が登場し、ロンチタイトルとなる「Wii Sports」でテニスに挑戦するも、どうやら苦戦している様子。そこで、AOLが募集していたメディアブリーフィングへの参加権に当選した3人が紹介され、そのうち1人が宮本氏とダブルスを組むことになった。対する相手は、岩田氏とレジー氏。操作はスムーズに行われているようで、はじめての操作となる当選者でも、やすやすとショットを決めていた。結果は宮本氏と当選者ペアの勝利となった。
最後にレジー氏が残り、「大事なのはゲームのフィーリングであり、見た目は二次的なものです。そして次なる飛躍です。単なる一歩ではありません。我々任天堂は20年前から創造的破壊をしてきました。ゲームを進化させるためにも、我々はリスクを厭わない。リスクに立ち向かう会社として、ゲームの変化を望んでいます」と、DSそしてWiiを手に取って確かめてほしいと、明日から開催されるE3 2006において、任天堂フロアで試遊してほしいと呼びかける。最後は大きな拍手の中、幕となった。
今回のメディアブリーフィングでは発売日や価格については言及しなかったものの、「The Legend of ZELDA:Twilight Princess」がWiiのロンチタイトルとして発売することや、それがE3 2006においてプレイアブル出展されること、また27タイトルにも及ぶ試遊タイトルがあることなど、見どころは多かった。さらに、随所に小さく公開された新情報(リモコン型コントローラにスピーカーが内蔵されていたり、オペラブラウザを積んでいたり、さらにセンサーの存在など)も見逃せない。なによりも冒頭の宮本氏のマエストロぶりが象徴しているように、Wiiは感覚的に楽しく遊べるものであり、実際に触って見せることを重視したイベントなのだと実感。明日からWiiを触れるという期待感を煽る内容だった。ほかにもロンチタイトルがいくつか発表されるなど、いよいよカウントダウンが近づいてきた印象。任天堂が推し進める創造的破壊の先にある、新しいゲームの未来はもうすぐそこまで近づいてきている。
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