PS3のプレイアブルソフトを触ってきました(その1)E3 2006「SCEブース」(1/3 ページ)

SCEブース正面に設けられたプレイステーション 3(PS3)特設ブースには、PS3のプレイアブルソフトが多数展示されている。サーバを通じてオンライン対戦が気軽にできるようになっているタイトルも多く、開発は順調に進んでいるようだ。会場で実際にプレイアブルタイトルを触って判明したPS3タイトルの最新情報をお届けしよう。

» 2006年05月12日 04時01分 公開
[小林仁,ITmedia]

世界初のフルHD映像がこの目で体験できる「GRAN TURISMO HD」



 前々日に開かれたSCEカンファレンスでもポリフォニーデジタル代表の山内氏が説明していたように、E3会場に出展されているPS3版「GRAN TURISMO HD」はPS2版「GT4」に収録されていたデータをベースに高精度化、高解像度化した“HD品質の移植版”となっている。つまりE3機関限定の作品であり、将来的に発売されるPS3版「グランツーリスモ」との関係はない。とは言え実際にプレイした印象では各所に進歩の跡が見られ、正式なナンバリングタイトルである次期GTはさらなるドライビングプレジャーの進化がもたらされることは間違いない。

 「GRAN TURISMO HD」のコンセプトは、以下の3点。

  • Fully Playable(完全なプレイアブル)
  • True HighーDefinition 1920x1080p(真のハイデフィニション)
  • HDD Advantage(ハードディスク内蔵)

 1点目の“Fully Playable(完全なプレイアブル)”は、現在制作が進められているPS3版「GT」の映像を見せるよりもPS3の高性能を生で体感してもらうため”プレイアブル版として進化中のGTを遊んでもらう”ことにこだわったと言う。

 2点目の“True HighーDefinition 1920x1080p(真のハイデフィニション)”は、1920×1080ドットのフルHD解像度で秒間60フレームのプログレッシブ表示を行っているというもの。フルHDと呼ばれる多くの次世代ゲームタイトルでも実際は1080i(インターレス表示)出力であるため、1080pで描かれるゲーム画面は実質的にこの「GRAN TURISMO HD」が世界初の作品となる。

 True HighーDefinition 1920x1080pをサポートしたことで、プレーヤーは初めて現行のハイビジョン放送でも見られない“理論上最高スペックのフルHD映像の世界”を体験できることになる。画面写真ではわかりにくいが、1080pで描画される「GRAN TURISMO HD」の映像はまさに”鮮やか”。一般的な放送用のハイビジョン画質(HD-CAM)である1450x1080iと比べても3倍の情報量、PS2版「GT4」の640x480iでは12倍もの情報量となり、走行中でもニュルブルクリンクサーキットの路面に描かれたチョークサインすらくっきりと目視できる。

 3点目のHDD Advantage(ハードディスク内蔵)は、PS3に標準搭載されるHDDにより、メニューから実際のレース画面までのロード時間がわずか2〜3秒(GT4では12秒)となるもの。膨大なデータを扱う次世代機にとって、HDD内蔵のメリットは非常に大きい。

E3会場でプレイアブル出展されている「GRAN TURISMO HD」は、レーシングカー、クラシックカー、フォーミュラマシン、オートバイ、スクーターなど10種類の様々な車種の中から4つのコース(東京246、ニュルブルクリンク、サルササーキット、グランドキャニオン)を走れるデモとなっている
1920×1080ドットの高精細プレグレッシブ表示がもたらす映像は”一見するだけでわかるほど”鮮やかなものだが、E3版「GT HD」には「GT4」や「TT」のファンにとっては驚かされるフィーチャーがいろいろと用意されている。レースに登場するマシン台数が大幅に増えていたり、グランドキャニオンのギャラリーの動きがよりリアルになっていたりとPS3が持つ圧倒的なポテンシャルを十分に感じられるものとなっていた

「GT4」に収録されているオフロードコースのひとつ、グランドキャニオンも次世代仕様になり見た目が激変。雄大な大自然の峡谷がよりダイナミックに表示されただけでなく、ギャラリーの数も数倍に膨れあがっている。クルマを避ける人の動きも非常にリアルだ

 グラフィックの劇的な向上はもちろんだが、実際にプレイするとすぐにわかるのが「レース中に登場するマシンが倍以上に増えている」点だ。「GRAN TURISMO HD」ではクルマ4台、バイク4台の混成レースのほか、バイクレースでは9台によるレースが楽しめる(「TT」では最高4台まで)。それ以外にもサルササーキットでは路面の凹凸を感じ取れるリアルなドライビング感覚が味わえたりと(GT4ではニュルブルクリンクなどがこうしたリアルな路面感覚が味わえた)、高精度化されたデータがいかにゲームの質に大きな変化をもたらすかを実感できた。2輪バイクのライディングでは「TT」のライダー視点も導入され、今回のE3バージョンは単なる移植と言うより「GT4」や「TT」で培った経験が惜しみなく投入され、さらに最新の技術まで盛り込んだ新しい「GT」という印象だ。なお今回の完成度は20%と言うことなので、完成した暁にはプレイステーション3が可能にした「グランツーリスモ」の世界を体験できるはずだ。最後に、ポリフォニーデジタル代表の山内一典氏から「GRAN TURISMO HD」に関するコメントが出ている。最後にこちらを掲載してリポートを終了したい。

 今回のバージョンはE3に限定したものだということは先にお伝えしました。製品版のグランツーリスモは、スタンドアロンのゲームとしても、この「グランツーリスモHD」を軽々と上回るクオリティを達成するつもりですが、何よりネットワークへのフル対応により、グランツーリスモ世界の圧倒的な「拡張」――というより「爆発」を目指しています。

 まもなく日本と北米にて、GT4をベースにしたオンラインバージョンのサービス実験が始まります。すべては次世代グランツーリスモのための技術蓄積およびサービス検証のためです。次世代のグランツーリスモは、PS3のローンチから、それほど長い期間をおかずに発売しようと努力しています。楽しみに待っていてください。

2006年5月7日 グランツーリスモ・プロデューサー 山内一典

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