まさにディレクターズカット版――「ぼくなつポータブル」インタビュー(1/3 ページ)
「ぼくなつ」がPSPで帰ってくる――6月29日に発売される予定の「ぼくのなつやすみポータブル ムシムシ博士とてっぺん山の秘密!!」。この監督・脚本・ゲームデザインを手がける綾部和氏に、今回の作品について話を聞いた。
プレイステーション版「ぼくのなつやすみ」で、昔懐かしいその世界観とともに“自分だけの夏休み”を満喫した人も多いことだろう。今回新要素も加わり、新たにPSPをプラットフォームに移して、「ぼくのなつやすみポータブル ムシムシ博士とてっぺん山の秘密!!」(以下、ぼくなつポータブル)が6月29日に発売されることになった(関連記事参照)。このぼくなつポータブル発売前に、ぼくなつシリーズの監督・脚本・ゲームデザインをつとめる、ミレニアムキッチンの綾部和氏に、ぼくなつポータブルについて話を聞いた。
――ぼくなつポータブルのコンセプトをお聞かせください。
綾部 プレイステーション版「ぼくのなつやすみ」(以下、オリジナル版)のテイストを残すとともに、なおかつ今回は携帯ゲーム機となりますので、手軽に遊べる部分を拡張しました。具体的には登場するムシの数やイベントを追加してユーザーが楽しめる部分を増やした、といったところですね。
――「Newアイコン」など、ムシを見つけやすくする工夫が加えられていますね。
綾部 オリジナル版でもそうなのですが、ぼくなつのゲーム画面では、ムシがいるフィールドが画面から遠かったりすることがほとんどなんです。ただしNewアイコンを付けることによって、細かいところは見えないし、ムシ自体をプレーヤーが発見するわけではないんですが、「おや、ここにもいるぞ?」というように、ユーザーの意識がその瞬間だけクローズアップ状態になりますので、そこに新たなゲーム性が加わった気がします。
登場するムシの数は128種類あるので、全部を集めることは難しいですが、ユーザーの方は一生懸命集めてくださるものだと期待しています。「今日は何もすることがなくて暇だなぁ」というときに限って見つかったりするものですし。
――「希少昆虫図鑑」が用意されているんですが、これはどう活用したらよいのでしょう?
綾部 特に取るのが難しいムシを捕まえるためのアドバイスとして用意したんですが、ぼくなつの世界ではムシのほうも自由気ままにうろついています。ですので図鑑を見ても、そのまま捕まえられるとは限らないんです。でも、図鑑に載っているムシを捕まえたときにはうれしいですよね。逆に、本来は希少昆虫図鑑に載っているようなレアなムシなのに、この山の中には意外にたくさんいるな、と思える場合もあるかと思います。
――ぼくなつポータブルを制作するうえでの留意点などありましたか?
綾部 ポータブル機ですので、カメラが遠いところにある場所をボクくんが歩くシーンなどでは視認性が悪くなるんじゃないかと思ったんです。でも実際にプレイしてみると、TVでのプレイに比べて、ディスプレイを近くに持ってくることができるので、結果的にはその点はクリアになっていました。このほかには追加した項目をチューニングする作業も行いましたが。オリジナル版で至らなかったところをうまい具合に補完できるような作品に仕上がったと思っています。
たとえば、オリジナル版は意図的に詰め込みをしていないゲームなんです。ですので何もすることがなくて暇になるときも多いですし、それはそれでその“暇”を楽しんでください、といった部分もあるんですが。それでもやはり“もっとたくさん遊びたい”という人もいると思うんです。こういった“ぜいたくな悩み”についても、今回はできるだけ満足してもらえるような形でイベントを追加しています。オリジナル版でも「ここは薄いな」、「こことここは暇になるな」といった部分はありましたので、そのあたりを上手に、穴を埋めるような形でリメイクできたかなと思っています。
――PSPは携帯機といっても画面が広いので、視認性はいいですよね。
綾部 オリジナル版では、色味がきれいで、暗い部分もはっきり見えるようなTVを使って色味を調節していました。ところがPSPならば同じディスプレイを使うことになりますし、ユーザーの方は同じ環境でゲームをプレイできるわけです。しかもPSPで使っている液晶の色味が、先ほど述べたオリジナル版の時に色調整で使っていたTVとほとんど同じなんです。そういう意味では、わたしたちの望む形での、きれいな絵づくりができたと思っています。わたしたちが考えている“理想の世界”が、ぼくなつポータブルでは実現できました。
――「ぼくのなつやすみ」では、色づくりが世界観に重要な役割を果たしているわけですね。
綾部 そうですね。ですので、もともと存在する画面についてはできるだけ変えないようにしています。オリジナル版で「これ以上きれいにできない」というところまで作り込んだので、それをできるだけ再現するようにした、ということもありますし。追加で作成した画面やシナリオについては、できるだけオリジナル版のテイストを変えないようにしています。基本的にメインスタッフがオリジナル版の時から変わっていませんから、まさに“リメイク版だけど純正品”と呼べるような、いい作品になったと思っています。
――綾部さんはかつて自主映画を撮られていたそうですが、そのこともあってか、独特のカット割りによって“ぼくなつの世界”が形作られている気がします。
綾部 わたしは特に意識しているわけではないのですが、昔からわたしの作品を見ている人に言わせると、「この人は10代のころから変わっていないな」ということらしいです(笑)。カット割りであったり、カメラの位置が低いといったことなど……。誰かのまねをしたというわけではなく、それは若いころから自然に持っている特質だと思っていますので。ゲームを作っていく過程では、いろいろな人と分担をしていくことで効率よく作業ができることもありますが、シナリオや画面レイアウトは、全体の味にかかわる重要な要素なので、できるだけわたしが、直接担当するようにしています。
――オリジナル版はほとんど自分で担当されたという話も聞きましたが、今回も同じだったのですか?
綾部 結果的にはそう言えると思います。新規要素に関しては今回も、わたしが調整まで担当しています。移植部分に関してはわたしが作ったオリジナル版から“とにかくフレーム単位で寸分たがわず変えない”方針で移植してもらいました。ぼくなつは微妙なバランス感覚で成り立っている世界なので、無意識に変えてしまうとわたしでさえ、コントロールできない部分が出てきてしまうからです。オリジナル版とはハードが異なるので、変えない、というのは変えないように全体を再度微調整した、ということでもあります。今回は操作感もまったく変わりません。“どこを切ってもぼくなつの世界”だと言えるものになりました。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
昨日の総合アクセスTOP10
「うちの猫、こんな丸顔になるなんて」 とっても大きくなりました! 0歳→3歳のビフォーアフター写真にビックリ
「おつむをなでろニャ!」 飼い主がお腹をなでる→キックで頭に戻す猫ちゃんとの攻防戦がかわいい
「おばあさんの耳はどうしてそんなに大きいの?」 筋肉で解決する「赤ずきん」4コマ漫画が破壊力抜群
猫が“次のステージ”に到達した……!? とんでもない長さの猫ちゃんに「後ろの子もめちゃびっくりしてる」
「にゃ、にゃー……」「え、えいっ……」 気弱な猫2匹がバトル開始! 迫力のなさが面白い
【なんて読む?】今日の難読漢字「運否天賦」
チョコ玉の溶けた穴からアイスが出てくるはずだったのに…… おしゃれスイーツの理想と現実の落差に笑う
読者から「早く付き合ってくれ」の声 同じ大学に合格できたら付き合う2人の漫画の今後が気になる
「綺麗で腰抜かした」「シワ少ない!!」 67歳の研ナオコ、華やかメイク動画で披露したすっぴん姿に反響
子猫「あったかいニャ〜」……ってそれ炊飯器ですよ! とぼけた表情で暖をとる猫ちゃんがかわいい
先週の総合アクセスTOP10
- 鳥取砂丘から古い「ファンタグレープ」の空き缶が出土 → 情報を募った結果とても貴重なものと判明 ファンタ公式も反応
- 「モンストのせいで彼氏と別れました」→ 運営からの回答が“神対応”と反響 思いやりに満ちた言葉に「強く生きようと思う」と前向きに
- 「この抜き型、何ですか……?」 家で見つけた“謎のディズニーグッズ”にさまざまな推察、そして意外な正体が判明
- 人間に助けを求めてきた母犬、外を探すと…… びしょ濡れになったうまれたての子犬たちを保護
- 幼なじみと5年ぶりに再会したら…… 陸上選手から人間ではない何かに変わっていく姿を見てしまう漫画が切ない
- ブルボンの“公式擬人化”ついにラスト「ホワイトロリータ」公開 イメージ通り過ぎて満点のデザイン
- 「幸せな風景すぎて涙出ました」 じいちゃんの台車に乗って散歩するワンコのほのぼのとした関係に癒やされる
- 「遺伝ってすごい」「足長っ!」 仲村トオルの“美人娘”ミオがデビュー、両親譲りのスタイルに驚きの声
- 猫「飼い主、大丈夫か……?」 毎日の“お風呂の見守り”を欠かさない3匹の猫ちゃんたちがかわいい
- 天才科学者2人が最強最高のロボを作成するが…… 高性能過ぎて2人の秘密がバラされちゃう漫画に頬が緩む
先月の総合アクセスTOP10
- 「訃報」「愛猫」「手風琴」って読める? 常用漢字表に掲載されている“難読漢字”
- 安達祐実、グレー髪への“勘違い指摘”に「白髪は悲しくないですよ」と切り返し 加齢の考え方が称賛を呼ぶ
- 「これは妙案」「明日の朝はこれ」 “レジ袋1枚”でできるフロントガラス解氷テクに目からウロコ
- 嫌がらせ急ブレーキで追突 トラクターの進路を妨害した「あおり運転」ベンツ、ぶつけられたと運転手がブチギレ
- “東大王”鈴木光が『CanCam』デビュー “美しすぎる東大生”の新たな一面
- 柴犬たちが追いかけっこしていたら…… ワンコの“突然の裏切り”に「声出して笑った」「4コマみたい」の声
- 元「うたのおにいさん」今井ゆうぞうさんが脳内出血で急逝 生前最後のブログには“目の異常な充血”
- 「虚無僧」「言質」「古刹」って読める? 常用漢字表に掲載されている“難読漢字”
- 保護した子ネコに「寂しくないように」とあげたヌイグルミ お留守番後に見せた子ネコの姿に涙が出る
- 「えっ!? おきゃくさまっ!」 スターバックスでやけに長いレシートに遭遇 店員さんのテンションがすごかったエッセイ漫画