レビュー
» 2006年08月17日 16時30分 公開

三部作ついに完結――3作が揃って初めて奏でられる“フルオーケストラ”「ガンパレード・オーケストラ〜青の章〜光の海から手紙を送ります」レビュー(3/3 ページ)

[小泉公仁,ITmedia]
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多数のキャラの転属で「ドラマ・ジェネレーター」の本領発揮

 水着の話はこのぐらいにしておいて、“黒い月”の観測の成否にかかわらず「天体観測」ストーリーが終了すると、次回のプレイからは「ラブコメ」と「戦闘記録」という2つのストーリーを新たに選択できるようになる。特に意表をつかれたのが「ラブコメ」で、「天体観測」のような一本筋の通ったストーリーがあるわけではないのだが、キャラクター間での恋愛にまつわるイベントが多く発生して、これまでのガンパレードシリーズとはひと味違った雰囲気。

 例えば、主人公が他のクラスメートと話をしているところにヒロインにあたるキャラが現れ、嫉妬心をむき出しにして見せたり、クラスメートがヒロインのことをどう思っているのかと探りを入れてきたりするなど、ベタな学園モノ恋愛シミュレーションを見ているかのようでおかしい。なお、2周目からは主人公(ヒーロー)だけでなく、初めから主人公に対する評価値が高いヒロインや友人など、5人を任意のキャラで指定できるところや、3周目以降は級友を含む9人全員の配役を自由に設定できるのも前2作と同じだ。

画像 「天体観測」をクリアすると、新たに「ラブコメ」ストーリーが選択可能になる。恋愛に関するイベントが多発するという一風変わったモードだ
画像 2周目からは、プレーヤーキャラの「ヒーロー」だけでなく、「ヒロイン」や「友人」などのノンプレーヤーキャラ4人も自分で選べる

 今回、一番の注目点は、白の章や緑の章から転属させたキャラをノンプレーヤーキャラにも設定できるようになったこと。緑の章でも白の章のキャラを転属させることはできたが、プレーヤーキャラ(主人公)としてのみ設定可能で、ヒロインなどのノンプレーヤーキャラにはできなかった。青の章ではその制約がなくなり、白の章と緑の章の両方から複数のキャラを同時に転属させ、ゲーム中での配役を自由に割り当てられるようになった。

画像 セーブデータによる連動で、白の章、緑の章の両方からキャラを転属させることができる。青の章では、転属したキャラもノンプレーヤーキャラに設定できることが大きな特徴

 例えば、青の章のキャラを一切登場させずに、白の章と緑の章のキャラだけで青の章の各ストーリーをプレイするとか、各章から男子キャラ(女子キャラ)だけを集めて男子校(女子校)といったシチュエーションで楽しむなど、さまざまな組み合わせが可能になる。

 ここで活きてくるのが、オーケストラ三部作の売りでもあり、ジャンル名にも掲げられている「ドラマ・ジェネレーター」の存在。オーケストラの各章に登場するキャラクターたちは、それぞれが個別のA.I.を持っており、あたかも自らの意志を持っているかのように振る舞う。それとは別に、ゲーム全体を統括するA.I.があり、キャラクター間の人間関係や時間、場所など、さまざまな要素からA.I.がその都度シーンを形成していく……というのがドラマ・ジェネレーターの概要だ。

画像 真顔でこんな突飛なことを言い出したりするのも、ドラマ・ジェネレーターのなせる技?交換に応じるべきか、すごく悩むし……

 これまで白の章と緑の章をプレイした限りでは、シーンがただランダムに選ばれているだけのようにも思えたが、青の章で多数のキャラを登場させ、さまざまな組み合わせと配役でプレイしてみると、毎回微妙に異なる展開を見せながらも、人間関係やストーリーが破綻なく紡がれていくのはとても興味深い。「この配役で、主人公がこのように振る舞ったらどうなる?」という好奇心が出てきて、いろんなシチュエーションを試してみたくなる。

 また、オーケストラの各章で一定の条件を満たすと、マーチのキャラが“参戦者”として4人ずつ、3作合わせると12人が登場するが、そのマーチキャラだけを集めて青の章で「天体観測」をプレイすると、ちょっとおもしろいことが起こる(善行忠孝をメンバーに必ず加え、主人公にはしないことが条件)。オーケストラ三部作では、熊本戦線を戦い抜いたマーチのメンバーが精鋭部隊として英雄視されている面があるが、その彼らが父島に再結集していったい何を行うのか。彼らのセリフにもスパイスが効いていて、マーチからのファンなら必見の内容だ。

画像 オーケストラの各章である条件を満たすと、マーチのキャラが“参戦者”として4人ずつ登場する。今回の青の章では、ファンの間でも人気が高いと思われる原素子がいよいよ参戦。前作マーチでは気性の激しい一面を見せていたが、果たして今回は?
画像 ストーリーに「天体観測」を選び、主人公を含む9人全員をマーチのキャラにする。熊本で司令だった善行忠孝を必ずメンバー(主人公以外)に加えること
画像 すると、画面がPCのコマンドプロンプトのようなものに変わり、そこには“gunparade full orchestra”の文字が……。このメンバーで展開される新しいモードとは、どのような内容になるのか

 三部作を通してプレイしてみて思うのは、白と緑の章までは大局的なストーリーの進展があまり感じられず、マーチの続編としての位置づけもいまひとつピンとこなかったが、最後の青の章で大きな進展があり、一応の決着が見られたことには充足感が得られてよかった。また、転属キャラをノンプレーヤーキャラに設定できるようになったことで、さまざまな組み合わせが可能になり、ゲームに広がりが出た。

 ただ、あえて三部作でリリースする必要があったのかどうかには、なお疑問が残る……。それぞれの章で場所、季節、キャラが異なるというのは、毎回新鮮さが感じられてよかったが、キャラクターの転属以外に各章を結びつける要素が希薄に思えたのも事実で、「次の章ではどうなる?」と関心を持続させるような仕掛けも何かほしかったところ。また、前作のマーチから5年以上経っていたので、オーケストラの前にマーチのリメイク版があってもよかったかもしれない。

画像 風景の美しさも今回の見どころの一つ。特に、夕方の扇浦でひとりたたずむと、感傷的な気分になれる

 最後に、もし三部作のうちどれか1作をおすすめするとしたら、私は青の章を推したい(別に“水着があるから”というわけではなくて……)。1作ごとに細かな改良が加えられ、最後に発売された青の章がシステムとしてもっとも洗練されていて遊びやすいと感じられることと、ガンパレードシリーズ未体験の方にも比較的分かりやすいストーリーがあることがその理由。といっても、元々の世界観がかなり難解で特異なものだけに、初めてプレイする方は面食らう可能性大だが……。青の章だけでは転属キャラを登場させることができないものの、青の章単体でもこの夏休み中にたっぷり遊べるだけのボリュームはある。

(C)2006 Sony Computer Entertainment Inc./BANDAI・BANDAI VISUAL


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