「BLOOD+」×「One Night Kiss」――藤咲淳一×須田剛一(1/6 ページ)

バンダイナムコゲームスから8月31日に発売される「BLOOD+ One Night Kiss」。この制作を担当したグラスホッパー・マニファクチュアの須田剛一氏と、TVアニメ「BLOOD+」の監督であるProduction I.Gの藤咲淳一氏の対談をお届けしよう。

» 2006年08月29日 13時57分 公開
[今藤弘一,ITmedia]
画像 藤咲淳一監督(左)と須田剛一氏(右)

――お2人の出会いはバンダイナムコゲームスのデベロッパーミーティングだと聞いていますが、そのときにはゲーム版の話を何かされたのでしょうか?

須田 そうですね。そのときには「BLOOD+ One Night Kiss」を担当することが決まっていたので、ごあいさつしました。

藤咲 わたしもその時点ですでにBLOOD+がゲーム化されることを聞いていましたし、「好きにやってください」とお伝えした記憶があります。グラスホッパー・マニファクチュアさんが作るゲームの方向性は知っていましたので、「いろいろ言っても聞かないだろう」と(笑)。好きに作っていただいた方が、いい意味でとんでもないものができあがってくると思っていましたので、キャラクター設定など最低限の項目をお送りして、あとは“放置プレイ”ですね。あとは1個だけ、クリーチャーを使っていいですかという質問が来たときにOKを出したくらいですか。

――ゲーム化の話があったときには、須田さんの作品はすでに知っていたわけですね。

藤咲 グラスホッパー・マニファクチュアを設立される前から、須田さんの作品は知っていました。クセがあって、作品がすごく目立つんですね。インパクトが強くて記憶に残るゲームが多かったので、この人がキャラクターものを手がけるとどういうゲームになるのか興味深かったですね。実際にプレイしたんですが、いろいろ凝っていますよね。

須田 (ゲームのキャラクターである)「青山」はいかがでしたか。

画像画像画像

藤咲 いや相変わらず……(笑)。でも全然アリですよ。

須田 ありがとうございます(笑)。

藤咲 シチュエーションが「学園もの」というか、1日だけ訪れた学校での話ですし、団地とか光化学スモッグとか、懐かしいフレーズを使ってますよね。わたしがBLOOD+の企画書をアニプレックスに出したときのモチーフに近いんです。当初の劇場版の流れをくんでいまして、地方問題を扱っていたりして、団地が1つのテーマだったんです。BLOOD+を作る前に、PS2版の攻殻機動隊を作っていたんですが、その話の中でも団地が登場します。人けがない、空虚な昼間の団地といった、うそっぽい空間をモチーフにしたらおもしろいかなと思ったんですね。あるはずのないところにものができている、という人工的な、作られた空間ですし。まさしくそういうテイストで来たな、と。

――須田さんとしては、このアイディアはどこから生まれたのでしょう。

須田 昔「ムーンライトシンドローム」というゲームを作ったときに、団地が出てくるんですね。その拡大版を作ってみようかと。アニメでは、小夜は沖縄で育っているじゃないですか。その小夜を地方都市に送り込んでみたいな、と。

画像

藤咲 そういう欲求に駆られますよね。アニメでは日本を飛び出て世界を巡るというロードムービーになっているので、ジュブナイルテイストなストーリーは作りにくくなっています。そのためテーマも、地域性よりも絆とか親子、兄弟といった、人間寄りに振っていますが。それがなかったら日本だけで終わっていると思うんですが。どうしてもやりたいことは、マイナーというか。「団地でゲーム」というのもあり得ませんよね(笑)。

須田 逆にそんな「BLOOD+」を見てみたかったですね。

藤咲 でもすごくアングラな感じになると思う(笑)。

須田 でもProduction I.Gっぽいですよね。

藤咲 I.Gっぽくってダメだと思う(笑)。あの放送時間にかけるのはやばいんじゃないかな、という。土曜の6時には。

須田 わたしは、ゲームではすかっとやらせていただいてるので(笑)。バンダイさんとは前に「サムライチャンプルー」を一緒に作ったんですが、そのときにもオリジナルストーリーを作っていまして。主役のキャラクターたちを、意外といじらずに作ったんですが、今回は小夜の回りにいろいろな人たちを集めて、アニメとは違うムードをとにかく出してみたい、と。

画像

藤咲 大人版になった気がしますよね。言い方は適切ではないかも知れないけど、「土曜ワイド」な「BLOOD+」というか。雰囲気はそんな感じですよね。青山という刑事の側でのストーリーもあるので、余計濃くなっていますよね。日本の刑事が出てきただけで、急に土着性が出ますね。この視点を入れただけで、日本のドラマになりますね。

須田 “公安”という言葉を1つ入れただけでもにおってきます。

藤咲 あ、“本店”とか出てきたな、とか(笑)。

――「BLOOD+」は、ゲーム版での絵のタッチは「killer7」のようなビジュアルにトライされていますが、藤咲さんとしてはどう感じましたか?

藤咲 わたしも「killer7」は知っていましたので、仕上がりは何となくイメージできていました。影の入れ方や色の使い方など。唯一心配していたのは「覆面が出てこないよな」ということでした(笑)。

須田 実はですね、ジョエルとコリンズに覆面をかぶしたんですが、ダメ出しがありまして(笑)。あとはそれに加えて、ジュリアにミニスカポリスのような格好をさせて……。それもあってダメだったのかもしれません(笑)。ですので、覆面は登場しません。

藤咲 アニメの場合は、髪型や服を変えるのは禁止なんです。設定資料を基にさまざまな人を経て作られているので、違うシーンで違う服になってしまったりとか、途中で変わるのは事故の元なんです。服装を変えるために設定を新たに起こしたりと、管理が大変になってしまいますので。「BLOOD+」はキャラクターや設定が多いと言われていますし。

       1|2|3|4|5|6 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/20/news096.jpg 新1000円札を300枚両替→よく見たら…… 激レアな“不良品”に驚がく 「初めて見た」「こんなのあるんだ」
  2. /nl/articles/2412/20/news034.jpg 「博物館行きでもおかしくない」 ハードオフ店舗に入荷した“33万円商品”に思わず仰天 「これは凄い!!」
  3. /nl/articles/2412/18/news015.jpg 家の壁に“ポケモン”を描きはじめて、半年後…… ついに完成した“愛あふれる作品”に「最高」と反響
  4. /nl/articles/2412/20/news050.jpg 「マジかーーー!」 新札の番号が「000001」だった…… レア千円を入手した人が幸運すぎると話題 「555555」の人も現る「御利益ありそう」「これは相当幸運」
  5. /nl/articles/2412/20/news148.jpg 浅田真央、男性と“デート” 驚きの場所に「気づいた人いるかな?」
  6. /nl/articles/2412/20/news016.jpg 身内にも頼れず苦労ばかりの“金髪ギャルカップル”→10年後…… まさかまさかの“現在”に「素敵」「美男美女でみとれた」
  7. /nl/articles/2412/18/news144.jpg 海岸で大量に拾った“石ころ”→磨いたら…… 目を疑う大変貌に「すごい発見!」「石って本当にすてき」【カナダ】
  8. /nl/articles/2412/18/news047.jpg トイレットペーパーの芯を毛糸でぐるっと埋めていくと…… 冬に大活躍しそうなアイテムが完成「編んでるのかと思いきや」【海外】
  9. /nl/articles/2412/15/news077.jpg 生後1カ月の保護子猫、後頭部を見るとあのアルファベットが……→9カ月の現在にびっくり 「プレミアム猫」「本当にPですね」
  10. /nl/articles/2412/19/news190.jpg 辻希美、17歳長女・希空に「ダサすぎるって」とツッコんだ格好 
先週の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  4. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  5. 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  6. 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  7. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  8. ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
  9. 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
  10. セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」