「BLOOD+」×「One Night Kiss」――藤咲淳一×須田剛一(3/6 ページ)

» 2006年08月29日 13時57分 公開
[今藤弘一,ITmedia]

――藤咲さんもゲームの仕事をされていた期間が長いんですよね。

画像
advertisement

藤咲 長いというか、ゲームの仕事しかしてませんでしたね。劇場用アニメ「BLOOD THE LAST VAMPIRE」で初めてアニメの仕事をしました。これは企画だけでしたが、そのほかはずっとゲームにかかわっていましたので。その前にも脚本を書いたことはありましたが、アニメの現場にどっぷり入ったのは、今回の「BLOOD+」からですね。石川(注:Production I.G社長 石川光久氏)に呼び出されて「監督やれ」と。この一言で決まりましたので。

 ただしアニメの仕事の流れを全然知らなかったのできつかったですね。回りは“監督”ということで、すべて知っているような目で見られますし、すごいプレッシャーでした。演出はできないし、脚本を書くことくらいしかできないので、どうやってアニメを作っていったらいいのかを考えながら作りました。制作現場がどうやって動くのかを見ることから始めましたし。1話ができあがるのを横目で見ながら、昔の徒弟制度のように“見て覚える”ということをトップに立ちながらやってきたようなものですね(笑)。ただし、あり得ないことをやることでProduction I.Gも成長してきましたし。冒険しないと新しいものはできないですよね。

――ゲームの現場も見て学ぶことが多いんじゃないですか?

須田 うちもまったく教えないですね(笑)。

藤咲 わたしは20年くらい前のファミコン時代、ゲームがドットで成り立っていた時期に入りました。もともとはアーケードゲームを作っていたんですが、あのころは「8色も出るよすげー!」という時代でした(笑)。アーケードはそれより上位を行っていましたが、原理は一緒ですから。プログラムも、昔はBASICしか分からなかった人がアセンブラのコードを見て、「何が書いてあるのか分からない」みたいな、そんな時代でした。そのころドットを描くというか、打つ仕事をしていました。

advertisement

――もともと、ゲームの仕事を指向されたのですか?

藤咲 いや、わたしはアニメの学校に行っていましたし、高校時代も漫研に入っていました。もともとは漫画家になろうと思って上京してきて、あまり仕事がなかったので、バイトとしてゲームの仕事をしていたんです。20年がかりで戻って来ちゃったな、という感じですね。途中、漫画家のアシスタントをしながらゲームの企画を立てていたこともあって、どっちになろうか迷ったんですけど。アシスタントのバイトは1晩1万円だったんですが、肩は凝るわ指は痛いわできついですよね。そんな激務の中で、ゲームのほうが輝いて見えたんです。集団作業で楽しそうにやってるし。ちょうどスーパーファミコンが出た時期で、会社で一晩「F-ZERO」をプレイして、やっぱりゲームがいいかな、と。回転するってすごいな、とか。

画像

須田 そのころはカバンの卸問屋で仕事をしてました。わたしはもともとアニメっ子なんで、アニメ、特撮、プロレスは人並み以上にできた子でした(笑)。

藤咲 わたしも須田さんと同い年なんで、高校時代はアニメっ子でしたし。

advertisement

須田 きっかけは宇宙戦艦ヤマトですね。

藤咲 そう。劇場版の「さらば宇宙戦艦ヤマト」。白色彗星対超弩級戦艦という時代ですから。

須田 あのころはアニメーションを見て、金田伊功さんはすごいとか話していましたね。スターアニメーターがいた時代でした。

藤咲 わたしも「バース」を読んでました。

須田 いまだに「金田伊功画集」持ってますよ。

――お2人ともルーツは近いんですね。“作画オタク”というか。

藤咲 高校時代に「蒼き流星SPTレイズナー」が放送されてましたが、TVにサランラップを張って絵を写してました。1枚1枚、こうやって動くのかと思って。その原画を担当されていたのが黄瀬和哉さんや沖浦啓之さんだったんですが、いまはProduction I.Gにいますので、入社してからお会いしました。あの当時はアニメアールが一時代を築いていましたね。大阪のアニメってすごいなと。作画の人、個人個人に興味があったわけではないので、何となく知っていたという程度なんですが。押井守さんとか、安彦良和さんとか、まさかこんな近くにいることになるとは思ってもいませんでした。

――そういう意味では、Production I.Gに入って「やるドラ」を作られたのも自然だったんですね。

藤咲 不思議な感じでしたね。前の会社でも最初は企画を担当していて、そのうちに絵が描きたくなってドッターをやっていたんです。そのうちに先行きが見えなくなってきて、Production I.Gにゲームスタジオを作るからと誘われました。そのときはグラフィックのチーフになる予定だったんですが、行ってみたらディレクターがいないので急きょ担当してくれ、と。入って1カ月くらいは机くらいしかなくて、自分でワープロを持ち込んで企画書を書いていました。そこでアニメーションを使ったゲームを作ってくれと言われ、アドベンチャーをいろいろ考えていたんですが、そこから「やるドラ」が生まれました。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2503/29/news054.jpg 「全てが完璧」 無印良品の“1990円バッグ”に称賛続出 「やっぱりこれ」「文句なし」「使い勝手抜群」
  2. /nl/articles/2503/27/news056.jpg 福袋に入ってた“定価3万円”の高級魚を大事に育てたら…… 「やりやがったな」涙する結果に「すごい」「ほんと感動」
  3. /nl/articles/2503/29/news094.jpg 普通のクリップを2つつなげるだけで…… あると助かる“便利グッズ”に大変身 「マジで!」「素晴らしいアイデア」【海外】
  4. /nl/articles/2503/29/news091.jpg 「全色買いしてしまった」 ユニクロ“新作2990円ベルト”に称賛続出 「これは買い」「1万円以上に見える」
  5. /nl/articles/2503/29/news015.jpg 捨てるしかないトイレットペーパーの芯をそのまま通すだけで…… 目からウロコの簡単ライフハックに「天才!」「素晴らしいアイデア」【海外】
  6. /nl/articles/2503/25/news065.jpg パパに抱っこされる娘→30年後…… 同じポーズで撮影した“現在の姿”に驚き「私もお父さんが恋しくなった」【海外】
  7. /nl/articles/2503/30/news010.jpg 6年間外につながれひとりで取り残されていたワンコ、あれから半年後…… 別犬のような姿に「嬉しすぎて泣きそう」「只々感動です」
  8. /nl/articles/2503/29/news086.jpg 「これでいいんだよ」 ユニクロ新作“2990円バッグ”に高評価続出 「こんなの待ってた」「多用しそう」
  9. /nl/articles/2503/29/news013.jpg ホテルで使ったタオル、どこに置く? ホテル従業員が「こうしてもらえると助かる」とアドバイス【“ホテル従業員の本音”記事3選】
  10. /nl/articles/2503/29/news004.jpg 20代で貯蓄1000万円、30歳女性ミニマリストの部屋をのぞくと…… “驚きの光景”に「家具数違いすぎて笑った」「憧れます」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「うそでしょ!?」 東京ディズニーランド、“老舗”レストランの閉店を発表 「とうとう来てしまったか」「いやだああああ」と悲しみの声
  2. Koki,、豪邸すぎる“木村家の一室”がウソみたいな広さ! 共演者も間違えてしまうほどの空間にスタジオビックリ「コレ自宅!?」「ちょっと見せて」
  3. 息子の小学校卒業で腕を組んだ34歳母→中学校で反抗期を迎えて…… 6年後の姿に反響 「本当に素敵!」「お母さん、変わってない!?」
  4. プロが本気で“アンパンマンの塗り絵”をしたら…… 衝撃の仕上がりが550万再生「凄すぎて笑うしかないw」「チーズが、、、」 話題になった作者に話を聞いた
  5. ディズニーランドがオープンした1983年当時、カップルだった2人→37年後…… 目頭が熱くなる現在の姿に感動
  6. ニットで口元が隠れた赤ちゃん、そっと脱がせてみると…… “想像を超える”表情が2300万再生「心に刺さった」「今まで見た中で1番!」【海外赤ちゃん記事3選】
  7. 水族館のイカに“指でハート”をしてみたら… “まさかのお返し”が190万表示「こ、こんなことあるのか」
  8. 「ひどすぎ」 東京ディズニーランドで“約100人のドジャースファン”が一斉に“迷惑行為” 「やめてほしい」と物議
  9. 19万8000円で購入した超高級魚を、4年間育てたら…… ド肝を抜く“大変化”に「どんどん色が」「すごい」
  10. 初めて夫の実家に挨拶した妻、初々しかった表情が9年後…… “そうはならんやろ”な変わりっぷりが1150万再生
先月の総合アクセスTOP10
  1. 最初に軽く結ぶだけで…… 2000万再生された“マフラーの巻き方”に反響「これは使える」「素晴らしいアイデア」【海外】
  2. コメダ珈琲店で朝、ミックスサンドとコーヒーを頼んだら…… “とんでもない事態”に爆笑「恐るべし」「コントみたい」
  3. パパに抱っこされる娘、13年後の成人式に同じ場所とポーズで再現したら…… 「お父さん若返った?笑」「時止まってる」2人の姿に驚き
  4. 和菓子屋で、バイトの子に難題“はさみ菊”を切らせてみたら……「将来有望」と大反響 その後どうなった?現在を聞いた
  5. 古いバスタオルをザクザク切って縫い付けると…… 目からウロコの再利用に「すてきなアイデア」【海外】
  6. 「14歳でレコ大受賞」 人気アイドルがセクシー女優に転身した理由明かす 家族、メンバー、ファンの“意外な反応”
  7. 希少性ガンで闘病中だったアイドル、死去 「言葉も発せないほどの痛み」母親が闘病生活を明かす
  8. “きれいな少年”が大人になったら→「なんでそうなったw」姿に驚がく 「イケメンの無駄遣い」「どっちも好きです!笑」
  9. ドブで捕獲したザリガニを“清らかな天然水”で2週間育てたら…… 「こりゃすごい」興味深い結末が195万再生「初めて見た」
  10. 芸能界引退した「ショムニ」主演の江角マキコ、58歳の近影にネット衝撃「エグすぎた」 突然顔出しした娘とのやりとりも話題に